第34話 玉折
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この村落で起きた怪事件の原因となる呪霊は、傑君によってすぐに祓除された。
しかし到着した時間が遅かったので、祓除が済んだ時にはもう夜が更けていた。
なので私達はこの村で一泊して帰ることにした。
「■■■(さあ、遠慮なく召し上がって下さい)」
と村長が私達にすすめる。
天ぷらやちらし寿司等ありったけのご馳走が、食卓に所狭しと並べられている。
私達は、村長さんの家で夕飯をご馳走になっていた。
食事だけでなく、村長はお酒まですすめようとする。
「■■■(さ、どうそどうぞ)」
「いえ、私達は学生なので・・・」
と夏油さんはやんわりとそれを断る。
それから、
「・・・亡くなった方々のことは残念です」
と言った。
そう。神隠しに遭い行方不明になっていた人々は、皆遺体で発見されたのだ。呪霊の腹の中で。
「■■■(もう戻ってこないと覚悟はしていました。家族の者も。残念ではありますが、これ以上の被害がもうでないことの方が大事です)」
と、村長さんが言った。
それに対して返す言葉がなく、私と夏油さんは口を噤んだ。
するとその時、
「■■■(本当にこれで終わりなのかしら)」
と奥様がポツリと零した。
その言葉に、私と夏油さんは奥様を見遣る。
「■■■(何を言うんだ!)」
すると、村長さんが声を荒げて奥様に向かって言った。
「■■■(彼らを信用していないというのか?失礼じゃないか!)」
「■■■(信用とかじゃない。この村で起こっていることは・・・!)」
とふたりは口論を始めた。
ふたりとも興奮していて、癖の強い方言がますますクセが強くなり、もはや外国の言葉の様だ。
「落ち着いてください」
夏油さんが間に入って諫める。
その一方で、私は違和感を覚えていた。
さっき、診療所で感じたような、違和感。
「きゃああああああっ!!」
突然、家の外から悲鳴が聞こえてきた。
すると村長夫婦はハッと息を飲んで口論を辞めた。
夏油さんは素早く駆け出し、家の外へ向かう。
それに私も続く。
村長宅を出て悲鳴の聞こえる方へ向かっていくと、
「!」
小学生くらいの男の子が、首にロープを括りつけて電信柱からぶら下がっていた。
男の子は首のロープに手をかけて、両足を宙でバタバタさせている。
その傍では母親らしき女性が男の子を助けようと電信柱を登ろうとしているところだった。
「・・・・っ」
夏油さんが右手を銃の様に構え、男の子の方に向かって構える。
すると指先からイカ型呪霊が放たれて、男の子の首に巻き付いたロープを嚙み千切る。
ロープが切れて、男の子はそのまま地面に向かって落下していく。
その間に夏油さんは駆けつけ、寸でのところで男の子を抱き留めた。
子どもとはいえ高いところから落ちる衝撃は大きく、夏油さんはそのまま地面に座り込んだ。
「・・・ふぅ」
と夏油さんは溜息を吐く。
遅れて、私は夏油さんと男の子のところに駆けつけた。
「傑君、大丈夫!?」
「あぁ。私は大丈夫。彼も何とか・・・」
と言ううちに、男の子の首のロープはホロホロと煤の様に消えていく。
私達は息を飲んだ。
初めは、イタズラか遊びでの不注意による事故と思っていたけれど。
これは、術式だ。
男の子は、術式による攻撃を受けたのだ。
(でも、どうして。怪現象の原因となる呪霊は祓ったのに・・・)
困惑していると、弱弱しいい声で、
「・・・ちょっと、からかっただけなんだ・・・」
と、男の子が呟いた。
(からかった・・・?)
その言葉の真意を考えていると、男の子の母親が涙ながらに駆けつけて男の子を奪い取る様に抱き寄せた。
「■■■(ほら、やっぱりまだ終わってない!)」
と叫ぶ声が聞こえて、私達はそちらを振り向いた。
すると、私達と同様に駆けつけてきた村長夫婦が立っていた。
「■■■(やっぱりあの双子をどうにかしなきゃ・・・!)」
「■■■(黙れ!)」
叫ぶ奥様を村長が怒鳴りつける。
その様子を唖然として見ていたら、
「和紗」
夏油さんがゆらりと立ち上がり言った。
「その男の子の治療を頼む」
そして、村長夫婦のところへ詰め寄って行く。
二人はヒッと肩をすくませた。
「・・・教えてください。まだ、何か隠していることがありますよね」
と夏油さんは二人に問い詰める。
その後ろ姿を、私は胸騒ぎを覚えながら見つめた。
しかし到着した時間が遅かったので、祓除が済んだ時にはもう夜が更けていた。
なので私達はこの村で一泊して帰ることにした。
「■■■(さあ、遠慮なく召し上がって下さい)」
と村長が私達にすすめる。
天ぷらやちらし寿司等ありったけのご馳走が、食卓に所狭しと並べられている。
私達は、村長さんの家で夕飯をご馳走になっていた。
食事だけでなく、村長はお酒まですすめようとする。
「■■■(さ、どうそどうぞ)」
「いえ、私達は学生なので・・・」
と夏油さんはやんわりとそれを断る。
それから、
「・・・亡くなった方々のことは残念です」
と言った。
そう。神隠しに遭い行方不明になっていた人々は、皆遺体で発見されたのだ。呪霊の腹の中で。
「■■■(もう戻ってこないと覚悟はしていました。家族の者も。残念ではありますが、これ以上の被害がもうでないことの方が大事です)」
と、村長さんが言った。
それに対して返す言葉がなく、私と夏油さんは口を噤んだ。
するとその時、
「■■■(本当にこれで終わりなのかしら)」
と奥様がポツリと零した。
その言葉に、私と夏油さんは奥様を見遣る。
「■■■(何を言うんだ!)」
すると、村長さんが声を荒げて奥様に向かって言った。
「■■■(彼らを信用していないというのか?失礼じゃないか!)」
「■■■(信用とかじゃない。この村で起こっていることは・・・!)」
とふたりは口論を始めた。
ふたりとも興奮していて、癖の強い方言がますますクセが強くなり、もはや外国の言葉の様だ。
「落ち着いてください」
夏油さんが間に入って諫める。
その一方で、私は違和感を覚えていた。
さっき、診療所で感じたような、違和感。
「きゃああああああっ!!」
突然、家の外から悲鳴が聞こえてきた。
すると村長夫婦はハッと息を飲んで口論を辞めた。
夏油さんは素早く駆け出し、家の外へ向かう。
それに私も続く。
村長宅を出て悲鳴の聞こえる方へ向かっていくと、
「!」
小学生くらいの男の子が、首にロープを括りつけて電信柱からぶら下がっていた。
男の子は首のロープに手をかけて、両足を宙でバタバタさせている。
その傍では母親らしき女性が男の子を助けようと電信柱を登ろうとしているところだった。
「・・・・っ」
夏油さんが右手を銃の様に構え、男の子の方に向かって構える。
すると指先からイカ型呪霊が放たれて、男の子の首に巻き付いたロープを嚙み千切る。
ロープが切れて、男の子はそのまま地面に向かって落下していく。
その間に夏油さんは駆けつけ、寸でのところで男の子を抱き留めた。
子どもとはいえ高いところから落ちる衝撃は大きく、夏油さんはそのまま地面に座り込んだ。
「・・・ふぅ」
と夏油さんは溜息を吐く。
遅れて、私は夏油さんと男の子のところに駆けつけた。
「傑君、大丈夫!?」
「あぁ。私は大丈夫。彼も何とか・・・」
と言ううちに、男の子の首のロープはホロホロと煤の様に消えていく。
私達は息を飲んだ。
初めは、イタズラか遊びでの不注意による事故と思っていたけれど。
これは、術式だ。
男の子は、術式による攻撃を受けたのだ。
(でも、どうして。怪現象の原因となる呪霊は祓ったのに・・・)
困惑していると、弱弱しいい声で、
「・・・ちょっと、からかっただけなんだ・・・」
と、男の子が呟いた。
(からかった・・・?)
その言葉の真意を考えていると、男の子の母親が涙ながらに駆けつけて男の子を奪い取る様に抱き寄せた。
「■■■(ほら、やっぱりまだ終わってない!)」
と叫ぶ声が聞こえて、私達はそちらを振り向いた。
すると、私達と同様に駆けつけてきた村長夫婦が立っていた。
「■■■(やっぱりあの双子をどうにかしなきゃ・・・!)」
「■■■(黙れ!)」
叫ぶ奥様を村長が怒鳴りつける。
その様子を唖然として見ていたら、
「和紗」
夏油さんがゆらりと立ち上がり言った。
「その男の子の治療を頼む」
そして、村長夫婦のところへ詰め寄って行く。
二人はヒッと肩をすくませた。
「・・・教えてください。まだ、何か隠していることがありますよね」
と夏油さんは二人に問い詰める。
その後ろ姿を、私は胸騒ぎを覚えながら見つめた。