第33話 青が散る
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「納得いかないなぁ」
夏油さんが憮然としながら言った。
「あのハメ技は禁じ手じゃなかったっけ、悟」
「そだっけ?まんまと術中にハマる方が悪いんじゃない?」
五条さんは意に介さず、大きな口を開けてハンバーガーにかぶりつく。
それを見て夏油さんは「クソッ」と呟き頬杖をつく。
(そんな風に拗ねるなんて、夏油さんも年相応なところあるんだなぁ)
と夏油さんの顔を横目で見ながら、私はクスッと笑った。
そんな中、携帯電話の呼び出し音が鳴った。
「お」
それは硝子さんの電話だった。
「はい、もしもし。うん、すぐ行くー」
と硝子さんは手短に通話を切り、席を立った。
「ごめん、先に行くねー。ごちそうさん」
「どこ行くの?」
私の質問に硝子さんは、
「デート」
と答えた。
「「「「「えっ!?」」」」」
その衝撃的な言葉に、私達は驚嘆の声を上げた。
「そんなビックリする?私だってそういう相手くらいいるよ」
と、ちょっとムッとしたように硝子さんが言う。
なので、私は慌てて取り繕うように言った。
「や、そういう話を一切聞いたことがなかったからビックリして・・・」
「そうだっけ?じゃ、またねー」
そう言い残して、硝子さんは足取り軽く去って行った。
「・・・ビックリしたぁ。硝子にカレシがいたなんて」
私は言った。
「皆も知らなかったの?」
「うん。でも、硝子も年頃の女の子だしカレシのひとりやふたりいても不思議じゃないよね」
と夏油さん。
それを受けて五条さんは鼻で笑って、
「へっ。あんなヤニ臭い女のどこがいいのかね。どうせすぐ別れるだろ」
と言った。
(そっかぁ・・・)
やっぱり呪術師という立場柄、あまりお互いのプライベートに立ち入ったりしないのかな。
例え、これだけ仲良くしていても。
「私達もそろそろ暇します」
今度は七海さんと灰原君が席を立った。
「二人も用事?」
と尋ねてみたならば、
「もうすぐ一般教養のテストがあるでしょう。その勉強です」
「七海は問題ないんだけど、僕の方が結構ピンチで・・・」
という事で、七海さんと灰原君も立ち去って行った。
そうして、残ったのは。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
五条さん、夏油さん、私の三人になった。
(・・・他の皆も一緒の時は平気だったけど、ふたりの間に残されると気まずい・・・)
急に静まった空気に気づまりになりながら、ジュースのストローを加えていると。
「あ、そうだ」
五条さんがふいに口を開いた。
「実家から用事があるから帰って来いって言われてたんだった―。ヤベッ、すっかり忘れてたわ」
それは、どこかわざとらしい言い方だった。
だけど、それを指摘する間もなく、五条さんは目の前の食べ物を平らげて席を立った。
「じゃ、ふたりはごゆっくり!」
そして、あっという間に立ち去ってしまった。
そのスピード感に、私と夏油さんは呆気にとられる。
「どうしたんだ、悟のヤツ」
と呟く夏油さんの隣で、私は小さく肩をすくませる。
ふたりきりになると、劇中のキスのことを思い出してきて、どうしても意識してしまう。
「どうする?和紗」
言われて私は我に返った。
「え」
「門限までまだ早いけど。高専に戻る?」
「・・・傑君は、どこか行きたいところある?」
「私?」
そう言った後、夏油さんは考え込む。
そして、ハッと閃いた顔をした後、
「こないだ話したような、肉屋のコロッケ食べたいな」
と言った。
私は目を瞬かせた後、少し戸惑いながら言った。
「え、でも私ハンバーガー食べた後なんだけど」
「和紗なら食べられるでしょ」
「何よ、人を大食らいみたいに言って!」
「ハハッ。食べれそうにないなら持ち帰ればいいよ」
そうして、私と夏油さんは理想的な肉屋のコロッケを探し求めて散策を始めた。
それは、意外とすぐに見つかった。
繁華街から少し離れた庶民的な商店街の通りに広がる香ばしい匂いとパチパチという油の音に引き寄せられて、まさにこれだという感じの佇まいをした肉屋に辿り着いたのだ。
店先で手際よく次々と揚げられていく黄金色の小判型のコロッケ。
これだ、と夏油さんと私は目を合わせて頷き合った。
そして、さっそくコロッケをふたつ注文した。
夏油さんが憮然としながら言った。
「あのハメ技は禁じ手じゃなかったっけ、悟」
「そだっけ?まんまと術中にハマる方が悪いんじゃない?」
五条さんは意に介さず、大きな口を開けてハンバーガーにかぶりつく。
それを見て夏油さんは「クソッ」と呟き頬杖をつく。
(そんな風に拗ねるなんて、夏油さんも年相応なところあるんだなぁ)
と夏油さんの顔を横目で見ながら、私はクスッと笑った。
そんな中、携帯電話の呼び出し音が鳴った。
「お」
それは硝子さんの電話だった。
「はい、もしもし。うん、すぐ行くー」
と硝子さんは手短に通話を切り、席を立った。
「ごめん、先に行くねー。ごちそうさん」
「どこ行くの?」
私の質問に硝子さんは、
「デート」
と答えた。
「「「「「えっ!?」」」」」
その衝撃的な言葉に、私達は驚嘆の声を上げた。
「そんなビックリする?私だってそういう相手くらいいるよ」
と、ちょっとムッとしたように硝子さんが言う。
なので、私は慌てて取り繕うように言った。
「や、そういう話を一切聞いたことがなかったからビックリして・・・」
「そうだっけ?じゃ、またねー」
そう言い残して、硝子さんは足取り軽く去って行った。
「・・・ビックリしたぁ。硝子にカレシがいたなんて」
私は言った。
「皆も知らなかったの?」
「うん。でも、硝子も年頃の女の子だしカレシのひとりやふたりいても不思議じゃないよね」
と夏油さん。
それを受けて五条さんは鼻で笑って、
「へっ。あんなヤニ臭い女のどこがいいのかね。どうせすぐ別れるだろ」
と言った。
(そっかぁ・・・)
やっぱり呪術師という立場柄、あまりお互いのプライベートに立ち入ったりしないのかな。
例え、これだけ仲良くしていても。
「私達もそろそろ暇します」
今度は七海さんと灰原君が席を立った。
「二人も用事?」
と尋ねてみたならば、
「もうすぐ一般教養のテストがあるでしょう。その勉強です」
「七海は問題ないんだけど、僕の方が結構ピンチで・・・」
という事で、七海さんと灰原君も立ち去って行った。
そうして、残ったのは。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
五条さん、夏油さん、私の三人になった。
(・・・他の皆も一緒の時は平気だったけど、ふたりの間に残されると気まずい・・・)
急に静まった空気に気づまりになりながら、ジュースのストローを加えていると。
「あ、そうだ」
五条さんがふいに口を開いた。
「実家から用事があるから帰って来いって言われてたんだった―。ヤベッ、すっかり忘れてたわ」
それは、どこかわざとらしい言い方だった。
だけど、それを指摘する間もなく、五条さんは目の前の食べ物を平らげて席を立った。
「じゃ、ふたりはごゆっくり!」
そして、あっという間に立ち去ってしまった。
そのスピード感に、私と夏油さんは呆気にとられる。
「どうしたんだ、悟のヤツ」
と呟く夏油さんの隣で、私は小さく肩をすくませる。
ふたりきりになると、劇中のキスのことを思い出してきて、どうしても意識してしまう。
「どうする?和紗」
言われて私は我に返った。
「え」
「門限までまだ早いけど。高専に戻る?」
「・・・傑君は、どこか行きたいところある?」
「私?」
そう言った後、夏油さんは考え込む。
そして、ハッと閃いた顔をした後、
「こないだ話したような、肉屋のコロッケ食べたいな」
と言った。
私は目を瞬かせた後、少し戸惑いながら言った。
「え、でも私ハンバーガー食べた後なんだけど」
「和紗なら食べられるでしょ」
「何よ、人を大食らいみたいに言って!」
「ハハッ。食べれそうにないなら持ち帰ればいいよ」
そうして、私と夏油さんは理想的な肉屋のコロッケを探し求めて散策を始めた。
それは、意外とすぐに見つかった。
繁華街から少し離れた庶民的な商店街の通りに広がる香ばしい匂いとパチパチという油の音に引き寄せられて、まさにこれだという感じの佇まいをした肉屋に辿り着いたのだ。
店先で手際よく次々と揚げられていく黄金色の小判型のコロッケ。
これだ、と夏油さんと私は目を合わせて頷き合った。
そして、さっそくコロッケをふたつ注文した。