第33話 青が散る
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そのスピードに私と夏油さんは驚く。
(早い・・・だけど、なんだか妙だ)
単純に早いというには違和感がある。
「あれ?」
直哉さんが首を傾げる。
「甘かったか。仕留め損ねたわ」
その言葉通り、呪霊は起き上がり再びこちらに襲いかかろうとしていた。
だが、
『キ''ョキ''ョッ!?』
呪霊の体は引き伸ばされ渦を巻き小さな黒い球体となって、夏油さんの手の中に収まった。
「呪霊操術やね」
直哉さんが言った。
「こないだ会った後に、調べさせてもらってん。夏油君の術式」
すると、夏油さんは警戒の色を見せた。
だけど、直哉さんは意に介さず続けた。
「気になったんよ。どんな術式故に君を特級たらしめているんか。高専生の術式情報は総監部で保管されてる。もちろんそれらは門外不出や。けど、そこは御三家の特権使わせてもろた」
「・・・・・・」
「知って納得したわ。えぇ術式やん」
「・・・別に隠すつもりもないけど」
夏油さんは言った。
「こそこそ嗅ぎまわられるのは不快だな」
すると直哉さんは、
「ごめんちゃい♡」
そうふざけた後で、
「・・・で、その呪霊どうやって取り込むん?まさか飲み込むん?」
と夏油さんに尋ねた。
それは興味というより、半ば侮蔑するような響きだった。
「その呪霊玉、味すんの?美味そうには・・・見えへんなぁ」
「・・・・・・」
「辛ないか?その術式」
「・・・・・・」
「そこまで自分の身を粉にして、呪霊を祓って人助けすんのって、やり甲斐ある?」
「ちょっと・・・!」
私はカッとなって、直哉さんに言った。
「いい加減にしなさいよ!さっきからベラベラと・・・!」
「心配してるんやん~」
直哉さんは気に留めず言った。
「夏油君、真面目でいい人そうやから自分のこと追い詰めそうやからさ」
「だからって・・・!」
「和紗」
夏油さんは私を諌める。
「相手にしなくていい。行こう」
と立ち去ろうとする夏油さんに構わず、直哉さんは話し続けた。
「これじゃフェアじゃないから教えたるわ。俺の術式は『投射呪法』。説明は・・・ややこしいから割愛するわ」
その言葉を背中で聞きながら、私達はその場を離れ始める。
「で、俺のホンネをぶっちゃけると、無能な非術師 のことはどうでもええねん。むしろ、見下してるねん」
という直哉さんの言葉に、
「・・・っ」
夏油さんは足を止めた。
「でも、俺は呪術師の家系やし呪霊はキモいし、まぁ義務として祓うよね。そんで金も入って敬われるなら、これ以上においしい生業はないね。俺が呪術師であり続ける理由は、これだけ」
「・・・・・」
「ケーベツした?」
「・・・いや」
夏油さんは直哉さんを振り向いて言った。
微かな笑みを浮かべながら。
「君らしいよ」
そして、
「行こう、和紗」
と、今度こそこの場から離れた。
団体戦は東京校の勝利となり、怪我人もなく一日目は無事終了した。
「やりましたね!二日目も頑張りましょう!」
と意気揚々としているのは灰原君。
「特に夏油さんに鶴來さん。主演のおふたりは頑張って下さいね!もちろん僕も一生懸命演じますので!」
「うっ・・・」
途端に私の両肩に大きなプレッシャーが圧し掛かって来る。
二日目は、演劇対決。
私達は『ロミオとジュリエット(現代Ver.)』を演じる。
主役二人を夏油さんと私が演じるのだ(詳しくは第30話参照)。
だけど、これまで何回も何回も練習してきたのだけれど、私のひどい大根演技はついに一向に改善しなかった。
(負けるとしたら、敗因は絶対に私だ・・・!)
一日目はめでたく勝利したものの、その晩私の気分は晴れなかった。
夕食を済ませ入浴した後、自分の部屋に籠ってブツブツと台詞を諳んじていた。
が、ひとりだとどうしても上手くいかない。
(・・・傑君に練習付き合ってもらおうかな・・・)
そう思いついて、私は夏油さんの部屋を尋ねることにした。
(早い・・・だけど、なんだか妙だ)
単純に早いというには違和感がある。
「あれ?」
直哉さんが首を傾げる。
「甘かったか。仕留め損ねたわ」
その言葉通り、呪霊は起き上がり再びこちらに襲いかかろうとしていた。
だが、
『キ''ョキ''ョッ!?』
呪霊の体は引き伸ばされ渦を巻き小さな黒い球体となって、夏油さんの手の中に収まった。
「呪霊操術やね」
直哉さんが言った。
「こないだ会った後に、調べさせてもらってん。夏油君の術式」
すると、夏油さんは警戒の色を見せた。
だけど、直哉さんは意に介さず続けた。
「気になったんよ。どんな術式故に君を特級たらしめているんか。高専生の術式情報は総監部で保管されてる。もちろんそれらは門外不出や。けど、そこは御三家の特権使わせてもろた」
「・・・・・・」
「知って納得したわ。えぇ術式やん」
「・・・別に隠すつもりもないけど」
夏油さんは言った。
「こそこそ嗅ぎまわられるのは不快だな」
すると直哉さんは、
「ごめんちゃい♡」
そうふざけた後で、
「・・・で、その呪霊どうやって取り込むん?まさか飲み込むん?」
と夏油さんに尋ねた。
それは興味というより、半ば侮蔑するような響きだった。
「その呪霊玉、味すんの?美味そうには・・・見えへんなぁ」
「・・・・・・」
「辛ないか?その術式」
「・・・・・・」
「そこまで自分の身を粉にして、呪霊を祓って人助けすんのって、やり甲斐ある?」
「ちょっと・・・!」
私はカッとなって、直哉さんに言った。
「いい加減にしなさいよ!さっきからベラベラと・・・!」
「心配してるんやん~」
直哉さんは気に留めず言った。
「夏油君、真面目でいい人そうやから自分のこと追い詰めそうやからさ」
「だからって・・・!」
「和紗」
夏油さんは私を諌める。
「相手にしなくていい。行こう」
と立ち去ろうとする夏油さんに構わず、直哉さんは話し続けた。
「これじゃフェアじゃないから教えたるわ。俺の術式は『投射呪法』。説明は・・・ややこしいから割愛するわ」
その言葉を背中で聞きながら、私達はその場を離れ始める。
「で、俺のホンネをぶっちゃけると、無能な
という直哉さんの言葉に、
「・・・っ」
夏油さんは足を止めた。
「でも、俺は呪術師の家系やし呪霊はキモいし、まぁ義務として祓うよね。そんで金も入って敬われるなら、これ以上においしい生業はないね。俺が呪術師であり続ける理由は、これだけ」
「・・・・・」
「ケーベツした?」
「・・・いや」
夏油さんは直哉さんを振り向いて言った。
微かな笑みを浮かべながら。
「君らしいよ」
そして、
「行こう、和紗」
と、今度こそこの場から離れた。
団体戦は東京校の勝利となり、怪我人もなく一日目は無事終了した。
「やりましたね!二日目も頑張りましょう!」
と意気揚々としているのは灰原君。
「特に夏油さんに鶴來さん。主演のおふたりは頑張って下さいね!もちろん僕も一生懸命演じますので!」
「うっ・・・」
途端に私の両肩に大きなプレッシャーが圧し掛かって来る。
二日目は、演劇対決。
私達は『ロミオとジュリエット(現代Ver.)』を演じる。
主役二人を夏油さんと私が演じるのだ(詳しくは第30話参照)。
だけど、これまで何回も何回も練習してきたのだけれど、私のひどい大根演技はついに一向に改善しなかった。
(負けるとしたら、敗因は絶対に私だ・・・!)
一日目はめでたく勝利したものの、その晩私の気分は晴れなかった。
夕食を済ませ入浴した後、自分の部屋に籠ってブツブツと台詞を諳んじていた。
が、ひとりだとどうしても上手くいかない。
(・・・傑君に練習付き合ってもらおうかな・・・)
そう思いついて、私は夏油さんの部屋を尋ねることにした。