第32話 懐玉ー弐ー
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伏黒君と何らかの繋がりがあるらしいこの男は、私が何も答えようとしないので、
「ま、どうでもいいか。じゃあな。あの世で五条悟が待ってるぞ」
と、参道を進んでいった。
「・・・・・・」
伏黒が立ち去った後、私は自分に反転術式をかけた。
ズズッ・・・
傷を治しながら、這う様にして黒井さんの元へ近づく。
「黒井さんっ・・・」
手を伸ばして、黒井さんの肩に手をかける。
黒井さんの顔が力無くこちらを振り向く。
既に黒井さんは絶命していた。
「っっ・・・!」
私は地面にグッと爪を立てて顔を伏せた。
『あの世で五条悟が待ってるぞ』
そんなことあるわけない。
五条さんが死ぬなんて。
今すぐ側に駆けつけたい。
でも、まだあの男は理子ちゃんを狙っている。
『次に理子ちゃん』
行かなければ、理子ちゃんのところへ。
私は顔を上げて、開いたままの黒井さんの瞼に手を置いて彼女の目を閉じた。
そしてゆらりと立ち上がり、追うようにして参道を進んだ。
「う・・・ぐっ・・・」
トンネルのような薄暗い参道に、私の足音と呻き声が響く。
反転術式で治したはずなのに、斬られた痕がまだ痛む。
それでも進んでいきトンネルを抜けると、
「!」
そこには見たことのない様な巨木と、それを取り囲むような幾層にも連なる円形の廻廊があった。
既に戦闘が起きたのか、その一部が崩れ落ちている。
息を飲んで辺りを見回していたら、
「理子ちゃん!」
理子ちゃんが血を流して倒れているのを見つけた。
「こんな・・・こんなのって・・・!」
私は理子ちゃんの元へ駆け寄る。
一縷の望みに縋って。
だけどもうそこには、泣いて笑って怒って・・・感情豊かな彼女はもういなかった。
「・・・っっ」
私は涙を堪えるためにグッと目を閉じた。
その次の瞬間、
ドゴオッ
龍の呪霊が廻廊を次々と突き破り天井に向かって登っていく。
(あの龍は、夏油さんの・・・)
そして、それに追い打ちを駆けるように呪霊が銃弾ミサイルの様に次々と撃ち込まれていく。
「きゃあっ!!」
その衝撃波に吹き飛ばされ、私は地面に叩きつけられる。
「っっ・・・」
後頭部を強打して、意識はブラックアウトしていった。
「・・・和紗・・・和紗・・・」
混濁する意識の中で、誰かが私の名を呼ぶ声が聞こえる。
「和紗」
意識が戻りゆっくりと開いていく視界の先に、硝子さんの顔が見えた。
「硝子・・・」
「よかった・・・。心配したよ、このまま目を覚まさなかったらって・・・」
「・・・・・・」
そこで、私は今、医務室のベッドで寝ていることに気づいた。
頭だけをゆっくり動かして辺りを見回すと、隣のベッドで夏油さんが眠っていることに気づいた。
「傑君・・・」
「大丈夫。生きてるよ」
そして、硝子さんは私と夏油さんが『薨星宮』で倒れているのを発見し治療してくれたことを話した。
「・・・メイドの女性の亡骸は、霊安室に安置されている」
「・・・理子ちゃんは・・・」
「星漿体の少女の亡骸は、私達が駆けつけた時には既に消えていた」
「え・・・」
まさかあの男が?
でも、どうしてそんなことを。
それに、どこへ連れて行ったというのだろう。
しかし、そんな疑問はすぐに消えて、
「悟君は!?」
私は身体起こして尋ねた。
すると、硝子さんは困惑した様な表情を浮かべた。
「・・・それが・・・」
戦闘の際の破壊音と蠅頭が大量発生に気づいた高専の者が、結界入口へ向かった時には、血痕だけが残され五条さんの姿はなかったという。
五条さんが重傷を負ったのは間違いない。
しかし、そんな傷を負ったままどこへ行ったのか。
「う・・・」
微かな呻き声がして、私と硝子さんはそちらを振り返る。
すると、夏油さんが意識を取り戻し、薄らと目を開いていた。
「ま、どうでもいいか。じゃあな。あの世で五条悟が待ってるぞ」
と、参道を進んでいった。
「・・・・・・」
伏黒が立ち去った後、私は自分に反転術式をかけた。
ズズッ・・・
傷を治しながら、這う様にして黒井さんの元へ近づく。
「黒井さんっ・・・」
手を伸ばして、黒井さんの肩に手をかける。
黒井さんの顔が力無くこちらを振り向く。
既に黒井さんは絶命していた。
「っっ・・・!」
私は地面にグッと爪を立てて顔を伏せた。
『あの世で五条悟が待ってるぞ』
そんなことあるわけない。
五条さんが死ぬなんて。
今すぐ側に駆けつけたい。
でも、まだあの男は理子ちゃんを狙っている。
『次に理子ちゃん』
行かなければ、理子ちゃんのところへ。
私は顔を上げて、開いたままの黒井さんの瞼に手を置いて彼女の目を閉じた。
そしてゆらりと立ち上がり、追うようにして参道を進んだ。
「う・・・ぐっ・・・」
トンネルのような薄暗い参道に、私の足音と呻き声が響く。
反転術式で治したはずなのに、斬られた痕がまだ痛む。
それでも進んでいきトンネルを抜けると、
「!」
そこには見たことのない様な巨木と、それを取り囲むような幾層にも連なる円形の廻廊があった。
既に戦闘が起きたのか、その一部が崩れ落ちている。
息を飲んで辺りを見回していたら、
「理子ちゃん!」
理子ちゃんが血を流して倒れているのを見つけた。
「こんな・・・こんなのって・・・!」
私は理子ちゃんの元へ駆け寄る。
一縷の望みに縋って。
だけどもうそこには、泣いて笑って怒って・・・感情豊かな彼女はもういなかった。
「・・・っっ」
私は涙を堪えるためにグッと目を閉じた。
その次の瞬間、
ドゴオッ
龍の呪霊が廻廊を次々と突き破り天井に向かって登っていく。
(あの龍は、夏油さんの・・・)
そして、それに追い打ちを駆けるように呪霊が銃弾ミサイルの様に次々と撃ち込まれていく。
「きゃあっ!!」
その衝撃波に吹き飛ばされ、私は地面に叩きつけられる。
「っっ・・・」
後頭部を強打して、意識はブラックアウトしていった。
「・・・和紗・・・和紗・・・」
混濁する意識の中で、誰かが私の名を呼ぶ声が聞こえる。
「和紗」
意識が戻りゆっくりと開いていく視界の先に、硝子さんの顔が見えた。
「硝子・・・」
「よかった・・・。心配したよ、このまま目を覚まさなかったらって・・・」
「・・・・・・」
そこで、私は今、医務室のベッドで寝ていることに気づいた。
頭だけをゆっくり動かして辺りを見回すと、隣のベッドで夏油さんが眠っていることに気づいた。
「傑君・・・」
「大丈夫。生きてるよ」
そして、硝子さんは私と夏油さんが『薨星宮』で倒れているのを発見し治療してくれたことを話した。
「・・・メイドの女性の亡骸は、霊安室に安置されている」
「・・・理子ちゃんは・・・」
「星漿体の少女の亡骸は、私達が駆けつけた時には既に消えていた」
「え・・・」
まさかあの男が?
でも、どうしてそんなことを。
それに、どこへ連れて行ったというのだろう。
しかし、そんな疑問はすぐに消えて、
「悟君は!?」
私は身体起こして尋ねた。
すると、硝子さんは困惑した様な表情を浮かべた。
「・・・それが・・・」
戦闘の際の破壊音と蠅頭が大量発生に気づいた高専の者が、結界入口へ向かった時には、血痕だけが残され五条さんの姿はなかったという。
五条さんが重傷を負ったのは間違いない。
しかし、そんな傷を負ったままどこへ行ったのか。
「う・・・」
微かな呻き声がして、私と硝子さんはそちらを振り返る。
すると、夏油さんが意識を取り戻し、薄らと目を開いていた。