第31話 懐玉ー壱ー
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「意識が戻ってるぞ!」
彼らは私が目覚めていることに気づくと、少し怯えたようにビクッと身体を震わせた。
その様子を見て、彼らが呪詛師ではないと予測した。
(ということは、盤星教の信者・・・?)
彼らは私が身動き出来ないことを確認すると、
「そのままおとなしくしていなさい」
中年男性が私の傍にしゃがみ込み、強気な態度で言った。
「貴女の仲間が穢れを連れてここに来れば、貴女達は解放する」
穢れ。
何の事だと考えているとそれを察したのか、
「穢れとは、『星漿体』・・・崇高なる天元様と同化を目論む不届きもののことじゃ」
と初老の女性が言った。
そう語る間も三人の信者は、皆年齢も性別の異なるはずなのに、張り付けたような笑顔の同じ顔をしている。
「我々盤星教は、ただ天元様の純潔をお守りしたいだけ。我々の望みは、穢れの掃滅。無益な殺しは望むところではない」
「んんーーーっ」
ひとりの女の子の命をつけ狙っておきながら、よくもそんなことを。
怒りで拘束する縄を解こうと手足をバタバタさせる。
すると信者たちはヒッと怯んで、
「と、とにかく抗おうと思わず、大人しくしているんだっ」
と言い残してそそくさと部屋を去って行った。
「ふーっ、ふーっ」
怒りは収まらず、息が荒くなる。
手足を縛る縄は頑丈で解けそうにない。
私は再びクッタリと横たわった。
(・・・情けない)
あんな一般人に拉致されるとは。
いや、もしかしたら盤星教が雇った術師がいるのかもしれない。
どちらにせよ、連中は五条さん達に私達を人質に取ったことを既に連絡したようだ。
(私だけならともかく、黒井さんがいるから二人はきっとここに来る)
理子ちゃんはどうするんだろう。先に高専に送り届けたのかな。
でも理子ちゃんの性分だ。
黒井さんが一緒でなければ、高専には行かないと言い張っているのかもしれない。
(もしこの連中が思った以上に上手だったら・・・?)
そんなことを考えていると、だんだん不安になってきた。
時間も、今が朝なのか昼なのか夜なのかもわからないことも不安を倍増させた。
そんな時だった。
「・・・?」
にわかに外の様子が騒がしくなった。
人の叫び声やバタバタとした足音が聞こえてくる。
すると次の瞬間、
「!」
再びドアが開きさっきの中年男性がやって来たかと思ったら、
「ごくろーさん」
と中年男性は背後から蹴りを食らって倒れ込み、そのまま気絶してしまった。
続けて中年男性を蹴り倒した人物が部屋に入って来る。
「ふふんふん!?」
私は顔を起こしてその人の顔を見た。
悟君。
名前を呼んだけど、もちろん言葉にはならない。
「黒井!」
理子ちゃんが五条さんを押しのけて部屋に入って来て、黒井さんの傍に座り込んだ。
肩を揺らすと、「う・・・」と小さく唸って意識を取り戻した。
そして理子ちゃんは「よかった~」と涙しながら、黒井さんの縄と猿轡を解き始めた。
「・・・・・・」
二人の再会にホッと胸を撫でおろしていたら、五条さんが私の縄と猿轡を解いてくれた。
「ぷはっ」
と久々に口で呼吸をする。そして、
「ありがとう、助けに来て・・・」
「足を引っ張りにきたのかよ、オマエはよーっ」
私の言葉を遮って、五条さんがすこぶる不機嫌そうに言った。
ギロリと睨みも利かされて、私は委縮して返す言葉もない。
「ごめんなさい・・・」
「ったく、反転術式以外つくづく役に立たねぇな、オマエは」
「そういうなよ、悟」
そう言いながら、部屋にやって来たのは夏油さんだ。
「元々は私の判断ミスだ。和紗を責めるな」
「判断ミスっつっても、連中が狙ってたのは黒井さんだろ。コイツが非術師なんかにやられずに黒井さんを守ってたら、こんなめんどくせぇことにならなかったんだぜ。ホント、何パンピーにやられてんだよ」
「悟~・・・」
「・・・・・・」
悔しい。
悔しいけれど、返す言葉もない。ぐうの音も出ない。
彼らは私が目覚めていることに気づくと、少し怯えたようにビクッと身体を震わせた。
その様子を見て、彼らが呪詛師ではないと予測した。
(ということは、盤星教の信者・・・?)
彼らは私が身動き出来ないことを確認すると、
「そのままおとなしくしていなさい」
中年男性が私の傍にしゃがみ込み、強気な態度で言った。
「貴女の仲間が穢れを連れてここに来れば、貴女達は解放する」
穢れ。
何の事だと考えているとそれを察したのか、
「穢れとは、『星漿体』・・・崇高なる天元様と同化を目論む不届きもののことじゃ」
と初老の女性が言った。
そう語る間も三人の信者は、皆年齢も性別の異なるはずなのに、張り付けたような笑顔の同じ顔をしている。
「我々盤星教は、ただ天元様の純潔をお守りしたいだけ。我々の望みは、穢れの掃滅。無益な殺しは望むところではない」
「んんーーーっ」
ひとりの女の子の命をつけ狙っておきながら、よくもそんなことを。
怒りで拘束する縄を解こうと手足をバタバタさせる。
すると信者たちはヒッと怯んで、
「と、とにかく抗おうと思わず、大人しくしているんだっ」
と言い残してそそくさと部屋を去って行った。
「ふーっ、ふーっ」
怒りは収まらず、息が荒くなる。
手足を縛る縄は頑丈で解けそうにない。
私は再びクッタリと横たわった。
(・・・情けない)
あんな一般人に拉致されるとは。
いや、もしかしたら盤星教が雇った術師がいるのかもしれない。
どちらにせよ、連中は五条さん達に私達を人質に取ったことを既に連絡したようだ。
(私だけならともかく、黒井さんがいるから二人はきっとここに来る)
理子ちゃんはどうするんだろう。先に高専に送り届けたのかな。
でも理子ちゃんの性分だ。
黒井さんが一緒でなければ、高専には行かないと言い張っているのかもしれない。
(もしこの連中が思った以上に上手だったら・・・?)
そんなことを考えていると、だんだん不安になってきた。
時間も、今が朝なのか昼なのか夜なのかもわからないことも不安を倍増させた。
そんな時だった。
「・・・?」
にわかに外の様子が騒がしくなった。
人の叫び声やバタバタとした足音が聞こえてくる。
すると次の瞬間、
「!」
再びドアが開きさっきの中年男性がやって来たかと思ったら、
「ごくろーさん」
と中年男性は背後から蹴りを食らって倒れ込み、そのまま気絶してしまった。
続けて中年男性を蹴り倒した人物が部屋に入って来る。
「ふふんふん!?」
私は顔を起こしてその人の顔を見た。
悟君。
名前を呼んだけど、もちろん言葉にはならない。
「黒井!」
理子ちゃんが五条さんを押しのけて部屋に入って来て、黒井さんの傍に座り込んだ。
肩を揺らすと、「う・・・」と小さく唸って意識を取り戻した。
そして理子ちゃんは「よかった~」と涙しながら、黒井さんの縄と猿轡を解き始めた。
「・・・・・・」
二人の再会にホッと胸を撫でおろしていたら、五条さんが私の縄と猿轡を解いてくれた。
「ぷはっ」
と久々に口で呼吸をする。そして、
「ありがとう、助けに来て・・・」
「足を引っ張りにきたのかよ、オマエはよーっ」
私の言葉を遮って、五条さんがすこぶる不機嫌そうに言った。
ギロリと睨みも利かされて、私は委縮して返す言葉もない。
「ごめんなさい・・・」
「ったく、反転術式以外つくづく役に立たねぇな、オマエは」
「そういうなよ、悟」
そう言いながら、部屋にやって来たのは夏油さんだ。
「元々は私の判断ミスだ。和紗を責めるな」
「判断ミスっつっても、連中が狙ってたのは黒井さんだろ。コイツが非術師なんかにやられずに黒井さんを守ってたら、こんなめんどくせぇことにならなかったんだぜ。ホント、何パンピーにやられてんだよ」
「悟~・・・」
「・・・・・・」
悔しい。
悔しいけれど、返す言葉もない。ぐうの音も出ない。