第31話 懐玉ー壱ー
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(そっか。私は待機か・・・)
反転術式使いは最後の砦。
七海さんがそう言ってた。
だから、不測の事態に備えて待機していることも重大な役目だ。
(でも、思い返すと私、大阪分校の件以来任務に就いていないような)
なんてことを考えていたら、
「何、オマエひょっとしてさみしーの?」
と五条さんが言った。
「寂しんぼかよ~。ガキだな」
「違うよ。ただ私は」
「何だよ」
「・・・皆が頑張ってるのに、私はあまり頑張れてないなって」
そう私が言うと、三人は目をパチクリさせた。
なんだかひとりいじけてるみたいになって情けなくて口を噤んでいたら、
「痛っ!?」
五条さんが私の頭に手刀を思い切り振り下ろした。
「な、何?」
「くだらねーこと考えるヒマあったら、交流会までに棒読み演技マシにしろよー」
「なっ・・・」
すると、夏油さんもうんうんと頷く。
「ホント、そうだね」
「えっ(ガーン)」
「あ、いや。棒読みうんぬんじゃなくて」
夏油さんは微笑みながら言った。
「そんな風に思ってるのは、和紗だけだよ」
「・・・・・・」
それでも、私ひとりが皆んなから置いてけぼりのような気持ちになる。
その理由は、わかってる。
私は、本当は存在しないからだ。
この青い春の日々の中では。
(わかってることじゃない)
私がここで出来ることは何もない。
だけど、いつしかここにいる皆んなのことを本当の友達みたいに思うようになってしまった。
だから、皆んなの力になりたいのに。
愚かだってわかってる。
私は、ただ現実逃避している。
明日に備えて、予定よりも早く自分の部屋に戻ることにした。
「じゃ、明日気をつけてね」
と五条さんと夏油さんの二人に告げて、階段を上がろうとした時だった。
「和紗」
と五条さんに呼び止められて、私は立ち止まった。
すると夏油さんは、
「・・・私は先に部屋に戻るよ」
と行ってしまった。
「・・・何?」
ふたりきりになってしまって気まずい。
私は顔を逸らしながら先を促した。
「なぁんかさぁ」
五条さんは顔をしかめながら言った。
「オマエ、最近ずっとそんなんじゃね?」
「・・・そんなって?」
「なんかずっとツンケンしてんじゃん」
「え・・・」
確かに感じは悪く見えるだろうけど。
ツンケンって、怒ってるように見えるのか。
「俺、なんかした~?」
「・・・別に」
『俺のものになってよ』
あれは、本当に何の気なしに 言っただけなんだな。
なのに、ひとりで動揺してバカみたい。
「じゃあなんでだよ」
「・・・・・・」
「ひょっとしてオマエ・・・」
「・・・・・・」
「カレシに会えなくて欲求不満なんだろ?」
「・・・は?」
以前にも、誰か(直哉)と同じようなこと言われたような・・・!
(どうして御三家ってこんな人ばっかりなの!?)
呆れて押し黙っていると、五条さんは当たりだと思ったらしく、ダメ押しとばかりに言葉を続けた。
「会いに行ったらいいじゃん。どうせオマエ任務もなくて暇なんだし~」
「・・・よ」
「あ?何?」
「会いに行けるならとっくにもう会いに行ってるわよ!それに暇で悪かったわね!」
「あ、おい」
と五条さんが何か言いかけたのを振り切って、私はドンドンと階段を上って自分の部屋に戻った。
翌日。
呪霊の結界に閉じ込められていた歌姫さんと冥さんは、無事五条さんたちによって救助された。
しかし、『帳』を忘れたうえ現場の洋館を滅茶苦茶に破壊し、それがニュースに取り上げられてしまう(表向きにはガス管の爆発として処理された)という失態を犯し、五条さんは夜蛾さんから指導の鉄拳を食らった。
「ったく、問題児め・・・」
その日。
提出する書類を持って職員室へ行くと、夜蛾さんはそう呟いて頭を抱えていた。
例の件で、色々対応に追われて大変らしい。
「・・・お疲れ様です」
と声をかけると、夜蛾さんは顔を上げて私を見た。
「あぁ、和紗か」
「提出する書類、持ってきました」
「あぁ、ありがとう。すまなかったな、手間をとらせて」
「いえ、私だけ任務もないし暇ですから」
「?(何か言葉にトゲがあるな)」
反転術式使いは最後の砦。
七海さんがそう言ってた。
だから、不測の事態に備えて待機していることも重大な役目だ。
(でも、思い返すと私、大阪分校の件以来任務に就いていないような)
なんてことを考えていたら、
「何、オマエひょっとしてさみしーの?」
と五条さんが言った。
「寂しんぼかよ~。ガキだな」
「違うよ。ただ私は」
「何だよ」
「・・・皆が頑張ってるのに、私はあまり頑張れてないなって」
そう私が言うと、三人は目をパチクリさせた。
なんだかひとりいじけてるみたいになって情けなくて口を噤んでいたら、
「痛っ!?」
五条さんが私の頭に手刀を思い切り振り下ろした。
「な、何?」
「くだらねーこと考えるヒマあったら、交流会までに棒読み演技マシにしろよー」
「なっ・・・」
すると、夏油さんもうんうんと頷く。
「ホント、そうだね」
「えっ(ガーン)」
「あ、いや。棒読みうんぬんじゃなくて」
夏油さんは微笑みながら言った。
「そんな風に思ってるのは、和紗だけだよ」
「・・・・・・」
それでも、私ひとりが皆んなから置いてけぼりのような気持ちになる。
その理由は、わかってる。
私は、本当は存在しないからだ。
この青い春の日々の中では。
(わかってることじゃない)
私がここで出来ることは何もない。
だけど、いつしかここにいる皆んなのことを本当の友達みたいに思うようになってしまった。
だから、皆んなの力になりたいのに。
愚かだってわかってる。
私は、ただ現実逃避している。
明日に備えて、予定よりも早く自分の部屋に戻ることにした。
「じゃ、明日気をつけてね」
と五条さんと夏油さんの二人に告げて、階段を上がろうとした時だった。
「和紗」
と五条さんに呼び止められて、私は立ち止まった。
すると夏油さんは、
「・・・私は先に部屋に戻るよ」
と行ってしまった。
「・・・何?」
ふたりきりになってしまって気まずい。
私は顔を逸らしながら先を促した。
「なぁんかさぁ」
五条さんは顔をしかめながら言った。
「オマエ、最近ずっとそんなんじゃね?」
「・・・そんなって?」
「なんかずっとツンケンしてんじゃん」
「え・・・」
確かに感じは悪く見えるだろうけど。
ツンケンって、怒ってるように見えるのか。
「俺、なんかした~?」
「・・・別に」
『俺のものになってよ』
あれは、本当に
なのに、ひとりで動揺してバカみたい。
「じゃあなんでだよ」
「・・・・・・」
「ひょっとしてオマエ・・・」
「・・・・・・」
「カレシに会えなくて欲求不満なんだろ?」
「・・・は?」
以前にも、誰か(直哉)と同じようなこと言われたような・・・!
(どうして御三家ってこんな人ばっかりなの!?)
呆れて押し黙っていると、五条さんは当たりだと思ったらしく、ダメ押しとばかりに言葉を続けた。
「会いに行ったらいいじゃん。どうせオマエ任務もなくて暇なんだし~」
「・・・よ」
「あ?何?」
「会いに行けるならとっくにもう会いに行ってるわよ!それに暇で悪かったわね!」
「あ、おい」
と五条さんが何か言いかけたのを振り切って、私はドンドンと階段を上って自分の部屋に戻った。
翌日。
呪霊の結界に閉じ込められていた歌姫さんと冥さんは、無事五条さんたちによって救助された。
しかし、『帳』を忘れたうえ現場の洋館を滅茶苦茶に破壊し、それがニュースに取り上げられてしまう(表向きにはガス管の爆発として処理された)という失態を犯し、五条さんは夜蛾さんから指導の鉄拳を食らった。
「ったく、問題児め・・・」
その日。
提出する書類を持って職員室へ行くと、夜蛾さんはそう呟いて頭を抱えていた。
例の件で、色々対応に追われて大変らしい。
「・・・お疲れ様です」
と声をかけると、夜蛾さんは顔を上げて私を見た。
「あぁ、和紗か」
「提出する書類、持ってきました」
「あぁ、ありがとう。すまなかったな、手間をとらせて」
「いえ、私だけ任務もないし暇ですから」
「?(何か言葉にトゲがあるな)」