第30話 呪術演劇部
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おぉ、ろみお。あなたはどうしてろみおなの」
と、私が台詞を読み上げた瞬間。
皆んな笑いを堪えるように俯いて、小さく肩を振るわせ始めた(七海さんまで!)。
そんな中、
「だーっはっはっはっは!!」
五条さんひとりがお腹を抱えて笑い出した。
「何だよ、その棒読み!」
「え?」
自覚のない私はキョトンとする。
「わ、笑っちゃダメだよ。悟」
と、五条さんをたしなめつつも、夏油さんもプルプル肩を震わせ笑いを堪えている。
「シェイクスピアは台詞回しが独特だからね。慣れてきたら大丈夫だよ」
「そ~かぁ~?」
「さ、続けよう」
私は不安ながらも再び台詞を読み上げた。
「ろみおなまえをすてて。あなたのからだのどこでもないそのなのかわりにわたしのすべてをうけとって」
「その言葉通りに受け取ろう。恋人とだけ呼んでくれれば、それが僕の新たな洗礼。今からもうロミオではない」
夏油さんは初見とは思えないほどスラスラと台詞を読み上げる。
「恋の軽い翼で塀は飛び越えた。石垣などでは恋を締め出すことはできない。恋は、出来ることなら何でもやってのける。だから、君の身内に邪魔はさせない」
「みつけたらあなたをころすわ」
「ああ、何十本の剣よりも君の目の方がずっと怖い。優しい眼差しを向けて欲しい」
「あなたがみつかるのはぜったいにいや」
「大丈夫、やつらの目から身を隠す夜の衣を纏っている。君が愛してくれないなら、いっそ見つかるほうがいい」
しかしそれにしても、すっごい歯が浮くような台詞だな、シェイクスピア。
最初は恥ずかしかったけれど、読み続けているうちに、あまりにも浮世絵離れした普段じゃ絶対口にしないような言葉を話すのがだんだん楽しくなってきた。
「わたしをあいしてる?こたえはわかっているわ。しんじるわ。でも、そうちかってもあなたはやぶるかもしれない。ああ、やさしいろみお。あいしているならほんきでいって」
「誓おう、あの清い月に賭けて」
「ああ、つきにかけてちかうのはやめて。うつりげなつきはひとつきことにみちかけをくりかえす」
依然として私は棒読みのままだけど、笑いを堪えていた周りの皆は私と夏油さんの台詞のやり取りに、いつの間にか聞き入っていた。
「わかれがこんなにあまくせつないならあさになるまでおやすみをいいつづけていたい」
「君の目には眠りが、胸には安らぎが訪れますように。ぼくがその眠りと安らぎになれれば、どんなにいいだろう」
と、そこへ突然。
「やいロミオ、貴様に対するなけなしの愛情では挨拶の言葉はこれしかない。貴様は悪党だ!」
私達の台詞のやり取りに乱入するように別の台詞が重なった。
私達は一斉にその台詞の主の方を見た。
「・・・悟」
「ん?」
「その台詞、今このタイミングじゃないけど」
「え、そお?」
夏油さんに指摘されて、五条さんは首を傾げる。
「なかなか出番が来なくって、暇だからフライングしたわ。あ、まだ出番来ないなら便所行ってくるわー」
そして、席を立ち教室から出て行ってしまった。
(な、何なんだ)
と、私は目を瞬かせた後、再び台本読み合わせに戻った。
「じゅんれいさま、そうおっしゃってはあなたのてがかわいそう」
その夜。
私は寮の屋上でひとり台本を読んでいた。
練習を始めて一日目だけれど、気持ちは焦っていた。
夏油さんは勿論、やる気のなさそうな五条さんも硝子さんも七海さんも、大根そうな灰原君まで台詞を読むのが上手だったからだ。
(私だけが棒読み・・・!)
演劇とはいえ、勝敗がかかっているのだ。
私が皆の足を引っ張るわけにはいかない。
「こんなにもれいぎただしくきえするこころをしめしている・・・」
「相変わらずひでー棒読みだな」
突然声をかけられて振り返る。
するとそこには五条さんがいた。
と、私が台詞を読み上げた瞬間。
皆んな笑いを堪えるように俯いて、小さく肩を振るわせ始めた(七海さんまで!)。
そんな中、
「だーっはっはっはっは!!」
五条さんひとりがお腹を抱えて笑い出した。
「何だよ、その棒読み!」
「え?」
自覚のない私はキョトンとする。
「わ、笑っちゃダメだよ。悟」
と、五条さんをたしなめつつも、夏油さんもプルプル肩を震わせ笑いを堪えている。
「シェイクスピアは台詞回しが独特だからね。慣れてきたら大丈夫だよ」
「そ~かぁ~?」
「さ、続けよう」
私は不安ながらも再び台詞を読み上げた。
「ろみおなまえをすてて。あなたのからだのどこでもないそのなのかわりにわたしのすべてをうけとって」
「その言葉通りに受け取ろう。恋人とだけ呼んでくれれば、それが僕の新たな洗礼。今からもうロミオではない」
夏油さんは初見とは思えないほどスラスラと台詞を読み上げる。
「恋の軽い翼で塀は飛び越えた。石垣などでは恋を締め出すことはできない。恋は、出来ることなら何でもやってのける。だから、君の身内に邪魔はさせない」
「みつけたらあなたをころすわ」
「ああ、何十本の剣よりも君の目の方がずっと怖い。優しい眼差しを向けて欲しい」
「あなたがみつかるのはぜったいにいや」
「大丈夫、やつらの目から身を隠す夜の衣を纏っている。君が愛してくれないなら、いっそ見つかるほうがいい」
しかしそれにしても、すっごい歯が浮くような台詞だな、シェイクスピア。
最初は恥ずかしかったけれど、読み続けているうちに、あまりにも浮世絵離れした普段じゃ絶対口にしないような言葉を話すのがだんだん楽しくなってきた。
「わたしをあいしてる?こたえはわかっているわ。しんじるわ。でも、そうちかってもあなたはやぶるかもしれない。ああ、やさしいろみお。あいしているならほんきでいって」
「誓おう、あの清い月に賭けて」
「ああ、つきにかけてちかうのはやめて。うつりげなつきはひとつきことにみちかけをくりかえす」
依然として私は棒読みのままだけど、笑いを堪えていた周りの皆は私と夏油さんの台詞のやり取りに、いつの間にか聞き入っていた。
「わかれがこんなにあまくせつないならあさになるまでおやすみをいいつづけていたい」
「君の目には眠りが、胸には安らぎが訪れますように。ぼくがその眠りと安らぎになれれば、どんなにいいだろう」
と、そこへ突然。
「やいロミオ、貴様に対するなけなしの愛情では挨拶の言葉はこれしかない。貴様は悪党だ!」
私達の台詞のやり取りに乱入するように別の台詞が重なった。
私達は一斉にその台詞の主の方を見た。
「・・・悟」
「ん?」
「その台詞、今このタイミングじゃないけど」
「え、そお?」
夏油さんに指摘されて、五条さんは首を傾げる。
「なかなか出番が来なくって、暇だからフライングしたわ。あ、まだ出番来ないなら便所行ってくるわー」
そして、席を立ち教室から出て行ってしまった。
(な、何なんだ)
と、私は目を瞬かせた後、再び台本読み合わせに戻った。
「じゅんれいさま、そうおっしゃってはあなたのてがかわいそう」
その夜。
私は寮の屋上でひとり台本を読んでいた。
練習を始めて一日目だけれど、気持ちは焦っていた。
夏油さんは勿論、やる気のなさそうな五条さんも硝子さんも七海さんも、大根そうな灰原君まで台詞を読むのが上手だったからだ。
(私だけが棒読み・・・!)
演劇とはいえ、勝敗がかかっているのだ。
私が皆の足を引っ張るわけにはいかない。
「こんなにもれいぎただしくきえするこころをしめしている・・・」
「相変わらずひでー棒読みだな」
突然声をかけられて振り返る。
するとそこには五条さんがいた。