第30話 呪術演劇部
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「これは忠告で言ってんねんで。マイノリティな呪術師同士、助け合いは大切やん。でも、中にはそうちゃう呪術師もおる。人の足を引っ張り押しのけて出世を目論むヤツもおる。非術師の家の出のヤツが御三家の人間と並んで勘違いしてデカイ顔してんのが目障りに感じるヤツもおるからな」
「何が言いたいのかな」
「身を弁えて、でしゃばらず、引っ込んでた方がええっちゅーこっちゃ」
「・・・・・・」
忠告なんかじゃない。明らかな挑発だ。
夏油さんと直哉さんの間に一触即発の空気が流れる。
しかし、
「おーい」
欠伸交じりに五条さんが口を開いた。
「そろそろ一時間目も終わりだろ。次の授業行こーぜ」
「あ、ああ。そうだな」
その暢気な口ぶりに気を削がれたのか、夏油さんは穏やかに微笑んで頷く。
「私は硝子を探してくるよ」
そして、その場を離れた。
「直哉、オマエもさっさとジジイのとこへ行けよ」
と、五条さんは「シッシッ」と直哉さんを追い払う。
そんな態度に直哉さんはグスッと鼻を鳴らす。
「つれないなぁ、悟君」
「あと、アイツを侮辱すんじゃねぇよ」
と言った五条さんの真剣な口調に、直哉さんはふと真顔に戻る。
五条さんはジッと直哉さんの顔を見据えて言った。
「アイツの実力は、俺が一番知ってる。この俺が認めてるんだ。それをあーだこーだケチつけんじゃねーよ」
「・・・・・・」
直哉さんは一瞬だけ顔をこわばらせた後、フッと笑って、
「わかったわかった。悟君がそう言うなら認めてやらんこともないわ」
と両手を上げながら言った。
そして、また真顔になって続けた。
「でも、悟君と肩を並べるんは、この俺や」
「へーへー。わかったわかった」
しかし、五条さんはまともに取り合わない。
更に「シッシッシッシッ」と追い出しにかかる。
そうしてようやく直哉さんは立ち去って行った。
その遠ざかる後姿を見送りながら、五条さんはため息交じりに言った。
「ったく、直哉のヤツ。思い出したわ、アイツ、チビの頃から周りを常に見下してるようなヤなクソガキだったわ」
「・・・・・・」
それは五条さんだって人のこといえないんじゃないのかな、と思いながらも私は口を噤んでいた。
「・・・傑君、大丈夫かな。嫌なこと言われて、落ち込んでないかな」
「落ち込みはしねーだろうけど、アイツ、ああ見えて意外と短気だからなぁ」
私の言葉に五条さんが返す。
「直哉のこと待ち伏せして、今頃フルボッコにしてるかもな」
「えっ」
「冗談だよ。さ、教室行くぞ。外は暑っちーわ」
「・・・先に行ってて」
「どこ行くんだよ」
「自販機。走ってて喉渇いちゃった。飲み物買って来る」
と、私は駆けだす。
本当は夏油さんを追いかけるためだ。
心配だった。
五条さんはああ言っていたけれど、呪術師であることに強い自負がある人だから、あんな風なことを言われて何も感じないはずがない。
「はっ・・・はっ・・・」
夏油さんを探して、息を弾ませて校内のあちこちを駆け回っていると、自動販売機のところに辿り着いた。
すると、夏油さんはそこにいた。
「・・・・・・」
夏油さんは自販機の傍にあるベンチに座り、ジッと俯いている。
「傑君」
と私が呼びかけると、ハッと顔を上げた。
「和紗」
そして、どこか取り繕うに笑みを浮かべた。
「硝子のヤツ、ここにいると思ったんだけどね」
「・・・硝子なら、きっと寮の屋上にいると思う」
「え」
「タバコ吸う時、いつもそこに行くの」
「えぇ・・・一応授業中だぞ。困ったヤツだなアイツはホントに」
と、夏油さんは苦笑いを浮かべた。
「・・・大丈夫?」
と私が尋ねると、夏油さんは細い目を瞬かせた後、フッと笑った。
「あぁ、大丈夫だよ」
「でも、感じ悪い人だったよね!あの人」
「まぁ、それは否定しない。一瞬、殴ってやろうかと思ったよ」
「えっ」
「ウソウソ。冗談」
そう言って夏油さんは笑うので、私もつられて笑った。
「何が言いたいのかな」
「身を弁えて、でしゃばらず、引っ込んでた方がええっちゅーこっちゃ」
「・・・・・・」
忠告なんかじゃない。明らかな挑発だ。
夏油さんと直哉さんの間に一触即発の空気が流れる。
しかし、
「おーい」
欠伸交じりに五条さんが口を開いた。
「そろそろ一時間目も終わりだろ。次の授業行こーぜ」
「あ、ああ。そうだな」
その暢気な口ぶりに気を削がれたのか、夏油さんは穏やかに微笑んで頷く。
「私は硝子を探してくるよ」
そして、その場を離れた。
「直哉、オマエもさっさとジジイのとこへ行けよ」
と、五条さんは「シッシッ」と直哉さんを追い払う。
そんな態度に直哉さんはグスッと鼻を鳴らす。
「つれないなぁ、悟君」
「あと、アイツを侮辱すんじゃねぇよ」
と言った五条さんの真剣な口調に、直哉さんはふと真顔に戻る。
五条さんはジッと直哉さんの顔を見据えて言った。
「アイツの実力は、俺が一番知ってる。この俺が認めてるんだ。それをあーだこーだケチつけんじゃねーよ」
「・・・・・・」
直哉さんは一瞬だけ顔をこわばらせた後、フッと笑って、
「わかったわかった。悟君がそう言うなら認めてやらんこともないわ」
と両手を上げながら言った。
そして、また真顔になって続けた。
「でも、悟君と肩を並べるんは、この俺や」
「へーへー。わかったわかった」
しかし、五条さんはまともに取り合わない。
更に「シッシッシッシッ」と追い出しにかかる。
そうしてようやく直哉さんは立ち去って行った。
その遠ざかる後姿を見送りながら、五条さんはため息交じりに言った。
「ったく、直哉のヤツ。思い出したわ、アイツ、チビの頃から周りを常に見下してるようなヤなクソガキだったわ」
「・・・・・・」
それは五条さんだって人のこといえないんじゃないのかな、と思いながらも私は口を噤んでいた。
「・・・傑君、大丈夫かな。嫌なこと言われて、落ち込んでないかな」
「落ち込みはしねーだろうけど、アイツ、ああ見えて意外と短気だからなぁ」
私の言葉に五条さんが返す。
「直哉のこと待ち伏せして、今頃フルボッコにしてるかもな」
「えっ」
「冗談だよ。さ、教室行くぞ。外は暑っちーわ」
「・・・先に行ってて」
「どこ行くんだよ」
「自販機。走ってて喉渇いちゃった。飲み物買って来る」
と、私は駆けだす。
本当は夏油さんを追いかけるためだ。
心配だった。
五条さんはああ言っていたけれど、呪術師であることに強い自負がある人だから、あんな風なことを言われて何も感じないはずがない。
「はっ・・・はっ・・・」
夏油さんを探して、息を弾ませて校内のあちこちを駆け回っていると、自動販売機のところに辿り着いた。
すると、夏油さんはそこにいた。
「・・・・・・」
夏油さんは自販機の傍にあるベンチに座り、ジッと俯いている。
「傑君」
と私が呼びかけると、ハッと顔を上げた。
「和紗」
そして、どこか取り繕うに笑みを浮かべた。
「硝子のヤツ、ここにいると思ったんだけどね」
「・・・硝子なら、きっと寮の屋上にいると思う」
「え」
「タバコ吸う時、いつもそこに行くの」
「えぇ・・・一応授業中だぞ。困ったヤツだなアイツはホントに」
と、夏油さんは苦笑いを浮かべた。
「・・・大丈夫?」
と私が尋ねると、夏油さんは細い目を瞬かせた後、フッと笑った。
「あぁ、大丈夫だよ」
「でも、感じ悪い人だったよね!あの人」
「まぁ、それは否定しない。一瞬、殴ってやろうかと思ったよ」
「えっ」
「ウソウソ。冗談」
そう言って夏油さんは笑うので、私もつられて笑った。