第30話 呪術演劇部
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翌日。
9月に行われる姉妹校交流会を控えて、一時間目の授業はその自主練となった。
自主練といっても、五条さんと夏油さんは余裕綽々で自主練そっちのけでおしゃべりしていたり、硝子さんは隙を見てはタバコを吸いに姿を消してしまう。
全くやる気がない。
なので、私はひとりで黙々とグラウンドのトラックをランニングしていた。
「ピッチ落ちてんぞ~。しっかりしろ~」
と、五条さんに茶々を入れられる。
私はムッとして睨みつける。
「人のことに口出しするなら、少しは自主練したらどうなの?」
「これ以上俺が強くなったら、京都校の連中がカワイソ―じゃん」
「そんな余裕ぶってるうちに、京都校の人達が猛特訓して強くなってるかもしれないじゃない」
しかし五条さんは聞く耳持たず、
「傑~。待ち受け画面変えた~。見てこれ、いいだろ?」
と、夏油さんと携帯電話(懐かしのガラケー)を見せ合っている。
そんな風に相変わらずやる気のないふたりを見て、
「まったく・・・」
と肩をすくめて、視線を上げた。
すると、グラウンドの外からこちらを伺う人の姿がふと目に入った。
呪術高専の制服を着た男の子だ。
金色に染めた派手な髪が、遠目からでも目立って目につく。
(あんな生徒いたんだ)
と、しばらくその姿を見ていたら、私の視線に気づいたようで向こうもこちらを見返してきた。
すると、歩き出してグラウンド内に入ってきた。
そして、
「悟君~!久しぶりやな~」
と、五条さんに向かって手を振りながら歩み寄る。
どうやら五条さんの知り合いらしい。
釣り上がった鋭い目。
両耳に並んだ複数のピアス。
そしてヘラヘラと笑う顔つきから、どこか軟派な印象を受ける。
声をかけられて、五条さんは視線をそんな彼の方に向ける。
「オマエ・・・」
「いつぶりやろ?元気やった?」
「・・・誰だっけ」
と言う五条さんの言葉に、金髪の彼はガクッと項垂れる。
「ひどいな~、悟君。俺のこと忘れるなんて。直哉や」
「なおや?」
「禪院直哉」
と彼が名乗り、五条さんは「あぁ」とようやく思い出したようだ。
そして、私もハッと息を飲む。
(禪院って、真希ちゃんと真依ちゃんと同じ名字。そして・・・)
「お互い呪術界を背負って立つ御三家やん」
直哉さんは言った。
「それに時期当主同士。忘れるなんて、つれないことせんと仲良うしてや」
そして、ニヤリと笑った。
五条さんは悪びれることなく飄々としている。
「あのチビ直哉か。全然わかんなかったわ」
「俺がチビってどんだけ昔のことやねん。相変わらず悟君は男前やなぁ。おまけに更に背ぇ伸びた?さぞかし女にモテるんやろなぁ。あ、活躍も聞いてるでぇ。こないだ任務で大阪来とったんやろ?」
「オマエは何でここにいんだよ」
「姉妹校交流会の打ち合わせで、学長の付き添いや」
「ふーん」
「めんどいけど、久しぶりに悟君に会いたくてわざわざ来たんやでぇ。なんせ悟君は俺が認める数少ない男やからなぁ」
すっごい太鼓持ち・・・。
そんなふたりの会話を唖然として聞いていたら、
「はじめまして。私は夏油傑」
夏油さんが友好的な笑みを浮かべながら、直哉さんに近づく。
「悟の同級生だ。よろしく」
そして、握手を求めて右手を差し出す。
しかし、直哉さんはその手を一瞥しただけで、
「・・・君の話もよぉ聞いとるよ、夏油君」
と、手は差し出そうとしない。
夏油さんは少し困惑しながらもにこやかな笑みは絶えず手を引っ込めた。
「君も特級やねんてね。非術師の家の出やのに。スゴイやん」
「そりゃどうも」
「でも、買いかぶりすぎやと思うねんなぁ」
「・・・買いかぶりとは?」
「非術師の家の出の人間が、悟君と同格の特級って。よっぽどアタリの術式なんかな?悟君のおこぼれもろうて認められてるだけなんちゃうん?そこらへん自覚して、あんま調子乗らん方がええと思うで、自分」
「・・・・・・」
その瞬間、夏油さんは微かに眉をひそめた。
おそらく直哉さんもそれに気づいていながらも、挑発するような笑みを浮かべていた。
9月に行われる姉妹校交流会を控えて、一時間目の授業はその自主練となった。
自主練といっても、五条さんと夏油さんは余裕綽々で自主練そっちのけでおしゃべりしていたり、硝子さんは隙を見てはタバコを吸いに姿を消してしまう。
全くやる気がない。
なので、私はひとりで黙々とグラウンドのトラックをランニングしていた。
「ピッチ落ちてんぞ~。しっかりしろ~」
と、五条さんに茶々を入れられる。
私はムッとして睨みつける。
「人のことに口出しするなら、少しは自主練したらどうなの?」
「これ以上俺が強くなったら、京都校の連中がカワイソ―じゃん」
「そんな余裕ぶってるうちに、京都校の人達が猛特訓して強くなってるかもしれないじゃない」
しかし五条さんは聞く耳持たず、
「傑~。待ち受け画面変えた~。見てこれ、いいだろ?」
と、夏油さんと携帯電話(懐かしのガラケー)を見せ合っている。
そんな風に相変わらずやる気のないふたりを見て、
「まったく・・・」
と肩をすくめて、視線を上げた。
すると、グラウンドの外からこちらを伺う人の姿がふと目に入った。
呪術高専の制服を着た男の子だ。
金色に染めた派手な髪が、遠目からでも目立って目につく。
(あんな生徒いたんだ)
と、しばらくその姿を見ていたら、私の視線に気づいたようで向こうもこちらを見返してきた。
すると、歩き出してグラウンド内に入ってきた。
そして、
「悟君~!久しぶりやな~」
と、五条さんに向かって手を振りながら歩み寄る。
どうやら五条さんの知り合いらしい。
釣り上がった鋭い目。
両耳に並んだ複数のピアス。
そしてヘラヘラと笑う顔つきから、どこか軟派な印象を受ける。
声をかけられて、五条さんは視線をそんな彼の方に向ける。
「オマエ・・・」
「いつぶりやろ?元気やった?」
「・・・誰だっけ」
と言う五条さんの言葉に、金髪の彼はガクッと項垂れる。
「ひどいな~、悟君。俺のこと忘れるなんて。直哉や」
「なおや?」
「禪院直哉」
と彼が名乗り、五条さんは「あぁ」とようやく思い出したようだ。
そして、私もハッと息を飲む。
(禪院って、真希ちゃんと真依ちゃんと同じ名字。そして・・・)
「お互い呪術界を背負って立つ御三家やん」
直哉さんは言った。
「それに時期当主同士。忘れるなんて、つれないことせんと仲良うしてや」
そして、ニヤリと笑った。
五条さんは悪びれることなく飄々としている。
「あのチビ直哉か。全然わかんなかったわ」
「俺がチビってどんだけ昔のことやねん。相変わらず悟君は男前やなぁ。おまけに更に背ぇ伸びた?さぞかし女にモテるんやろなぁ。あ、活躍も聞いてるでぇ。こないだ任務で大阪来とったんやろ?」
「オマエは何でここにいんだよ」
「姉妹校交流会の打ち合わせで、学長の付き添いや」
「ふーん」
「めんどいけど、久しぶりに悟君に会いたくてわざわざ来たんやでぇ。なんせ悟君は俺が認める数少ない男やからなぁ」
すっごい太鼓持ち・・・。
そんなふたりの会話を唖然として聞いていたら、
「はじめまして。私は夏油傑」
夏油さんが友好的な笑みを浮かべながら、直哉さんに近づく。
「悟の同級生だ。よろしく」
そして、握手を求めて右手を差し出す。
しかし、直哉さんはその手を一瞥しただけで、
「・・・君の話もよぉ聞いとるよ、夏油君」
と、手は差し出そうとしない。
夏油さんは少し困惑しながらもにこやかな笑みは絶えず手を引っ込めた。
「君も特級やねんてね。非術師の家の出やのに。スゴイやん」
「そりゃどうも」
「でも、買いかぶりすぎやと思うねんなぁ」
「・・・買いかぶりとは?」
「非術師の家の出の人間が、悟君と同格の特級って。よっぽどアタリの術式なんかな?悟君のおこぼれもろうて認められてるだけなんちゃうん?そこらへん自覚して、あんま調子乗らん方がええと思うで、自分」
「・・・・・・」
その瞬間、夏油さんは微かに眉をひそめた。
おそらく直哉さんもそれに気づいていながらも、挑発するような笑みを浮かべていた。