第29話 まつろわぬ民
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それを聞いて、
「え」
「やったー!」
私は戸惑いの声を上げ、五条さんは歓喜の声を上げる。
「傑がそれでいいなら私は構わんが」
と言いながら夜蛾先さんは楽巌寺学長を伺う。
その楽巌寺学長はというと、
「・・・夏油一人の方が捗る」
と言って五条さんからそっぽを向いた。
「よっしゃー!んじゃっ、そんなワケで後の事はヨロシク!おつかれーっ」
と五条さんは足早にその場を離れようと歩き出し、
「さっさと行こーぜ」
と私を促す。
それでも私はどうしようか戸惑い、夏油さんを見遣った。
すると、夏油さんは「大丈夫」と言うように片目を瞑って目配せをした。
「・・・梨理衣ちゃん、これからどうなるんだろう・・・」
大阪分校を離れ環状線に乗りUSJへ向かう中、頭で考えていることが思わず言葉で漏れてしまった。
それを聞いて五条さんは眉をひそめる。
「オマエ、まだそんなこと気にしてんのかよ」
「・・・・・・」
「なんでそんなにあのガキのこと気にしてるわけ?ちょっと話しただけなんだろ」
「・・・・・・」
「・・・ま、洗脳を解くためにしばらく京都校の矯正施設に入れられるだろうな」
「矯正・・・」
「別におっかねぇ場所じゃねぇよ。高専で授業受けんのとそんな変わらない。それに、ああいうガキが矯正施設に送られんのは珍しくない。受け入れる方も慣れたもんだよ」
「・・・その後は?洗脳が解けた後はどうなるの?」
「中にはそのまま高専に入学するヤツもいるけどな。でも、大抵は呪術界を離れて、そのまま一般社会に帰っていくよ」
「・・・・・・」
帰っていく。
その時、梨理衣ちゃんを受け入れてくれる場所はあるのだろうか。
「・・・ま、あのガキがこの先どうするかは知らねぇけど」
五条さんは言った。
「きっと、オマエには感謝するはずだよ」
「・・・・・・」
私は顔を上げて五条さんの顔を見た。
五条さんもまた私の顔を見下ろして続けた。
「あのままあそこにいたら、あのガキは間違いなく不幸になってた。オマエが、あのガキを救ったんだ」
「・・・・・・」
「俺には出来ないことだよ」
「・・・・・・」
「俺達の任務はここまでだ。終わった任務をいつまでも引きずってたら、呪術師なんてやってられねぇぞ。切り替えろ」
そう言われて、私は五条さんから視線を外してうつむいた。
もう終わったこと。
わかっていても、こんな時、いつも苦しい。
誰かを助けるために手を差し伸べたつもりでも、逆にもっと辛いところへ連れ出してしまったんじゃないかって考えてしまって。
本当の幸せなんて、その人にしかわからないのに。
(ここにいる私だって・・・)
その時だった。
「わっ」
頭の上にバサッと広げた雑誌を被せられた。
手に取って見てみると、それはUSJのガイドブックだった。
「いつまでもシケたツラすんなよー。念願のUSJなんだろ?」
「いつのまにこんなの買ったの?」
「さっき電車待ってる間にキヨスクで」
「抜け目ないんだから・・・」
と言いながら、私はページをパラパラと捲り目を通す。
それでハッと息を飲んだ。
「ハ、ハリーポッターは?」
「あ?」
「ハリウッドドリームザライドも載ってない!」
「はぁ?」
私の言葉に五条さんは目を丸くする。
そこで私はハッと気づいた。
(そうだ、2006年当時にはまだ存在してないんだ!いちばん楽しみにしていたアトラクションなのに・・・)
と、ガックリ肩を落としている私を。
「ほーんと、ヘンな奴だな」
と、五条さんは笑った。
ハリウッドドリームザライドもハリーポッターもまだ存在しないけれど、ここはUSJである。
ジュラシックパーク!
ジョーズ!
ウォーターワールド!
スパイダーマン!
バックトゥザフューチャー!
E.T!
「超楽しーいっ!」
私はちゃっかりすっかり楽しんでいた。
(現在 だとクローズしちゃったアトラクションが乗れて嬉しいな)
「え」
「やったー!」
私は戸惑いの声を上げ、五条さんは歓喜の声を上げる。
「傑がそれでいいなら私は構わんが」
と言いながら夜蛾先さんは楽巌寺学長を伺う。
その楽巌寺学長はというと、
「・・・夏油一人の方が捗る」
と言って五条さんからそっぽを向いた。
「よっしゃー!んじゃっ、そんなワケで後の事はヨロシク!おつかれーっ」
と五条さんは足早にその場を離れようと歩き出し、
「さっさと行こーぜ」
と私を促す。
それでも私はどうしようか戸惑い、夏油さんを見遣った。
すると、夏油さんは「大丈夫」と言うように片目を瞑って目配せをした。
「・・・梨理衣ちゃん、これからどうなるんだろう・・・」
大阪分校を離れ環状線に乗りUSJへ向かう中、頭で考えていることが思わず言葉で漏れてしまった。
それを聞いて五条さんは眉をひそめる。
「オマエ、まだそんなこと気にしてんのかよ」
「・・・・・・」
「なんでそんなにあのガキのこと気にしてるわけ?ちょっと話しただけなんだろ」
「・・・・・・」
「・・・ま、洗脳を解くためにしばらく京都校の矯正施設に入れられるだろうな」
「矯正・・・」
「別におっかねぇ場所じゃねぇよ。高専で授業受けんのとそんな変わらない。それに、ああいうガキが矯正施設に送られんのは珍しくない。受け入れる方も慣れたもんだよ」
「・・・その後は?洗脳が解けた後はどうなるの?」
「中にはそのまま高専に入学するヤツもいるけどな。でも、大抵は呪術界を離れて、そのまま一般社会に帰っていくよ」
「・・・・・・」
帰っていく。
その時、梨理衣ちゃんを受け入れてくれる場所はあるのだろうか。
「・・・ま、あのガキがこの先どうするかは知らねぇけど」
五条さんは言った。
「きっと、オマエには感謝するはずだよ」
「・・・・・・」
私は顔を上げて五条さんの顔を見た。
五条さんもまた私の顔を見下ろして続けた。
「あのままあそこにいたら、あのガキは間違いなく不幸になってた。オマエが、あのガキを救ったんだ」
「・・・・・・」
「俺には出来ないことだよ」
「・・・・・・」
「俺達の任務はここまでだ。終わった任務をいつまでも引きずってたら、呪術師なんてやってられねぇぞ。切り替えろ」
そう言われて、私は五条さんから視線を外してうつむいた。
もう終わったこと。
わかっていても、こんな時、いつも苦しい。
誰かを助けるために手を差し伸べたつもりでも、逆にもっと辛いところへ連れ出してしまったんじゃないかって考えてしまって。
本当の幸せなんて、その人にしかわからないのに。
(ここにいる私だって・・・)
その時だった。
「わっ」
頭の上にバサッと広げた雑誌を被せられた。
手に取って見てみると、それはUSJのガイドブックだった。
「いつまでもシケたツラすんなよー。念願のUSJなんだろ?」
「いつのまにこんなの買ったの?」
「さっき電車待ってる間にキヨスクで」
「抜け目ないんだから・・・」
と言いながら、私はページをパラパラと捲り目を通す。
それでハッと息を飲んだ。
「ハ、ハリーポッターは?」
「あ?」
「ハリウッドドリームザライドも載ってない!」
「はぁ?」
私の言葉に五条さんは目を丸くする。
そこで私はハッと気づいた。
(そうだ、2006年当時にはまだ存在してないんだ!いちばん楽しみにしていたアトラクションなのに・・・)
と、ガックリ肩を落としている私を。
「ほーんと、ヘンな奴だな」
と、五条さんは笑った。
ハリウッドドリームザライドもハリーポッターもまだ存在しないけれど、ここはUSJである。
ジュラシックパーク!
ジョーズ!
ウォーターワールド!
スパイダーマン!
バックトゥザフューチャー!
E.T!
「超楽しーいっ!」
私はちゃっかりすっかり楽しんでいた。
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