第28話 問題児二人
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だけど、自白出来るような情報は私は持っていない。
そして、それをこの人たちは信じていない。
「・・・も、もう、やめて・・・!」
そう懇願するけれど、梨理衣ちゃんは術式を解こうとしない。
苦痛に意識が遠のき始める。
「気絶させるな」
万城目が言った。
「気絶したら、水をかけて起こしてやれ」
そんなことされたって、自白できることは本当にないんだってば。
(あぁ)
朦朧する意識の中で、私は思った。
(これは夢の中のはずなのに、どうして苦しみがこんなにリアルなんだろう)
でも、このまま死んだとしたら現実に戻れるのかな。
・・・でも、現実に戻ったとして、そこにはもう。
ピシッ
何かが割れる音が響いて、その場にいた全員がハッと顔を上げた。
天井にヒビが入ったのが目に飛び込んできた次の瞬間。
ズン
と、突き上げるような衝撃が奔って、学長室の壁や床や調度品が宙の一点に吸い上げられる。
「わぁっ」
私を閉じ込めていた籠も吸い上げられて、その衝撃風で私は床に転がる。
バキバキバキ・・・!
吸い上げられた物は、グシャグシャに握り潰されるかのようにひとまとめにされると、そのまま瓦礫になって辺りに飛び散った。
「・・・・・・」
私も、万城目も、菅田さんも、梨理衣ちゃんも、唖然として空が丸見えになった天井を見上げていた。
骨組みだけになった天蓋の上にヒョッコリとふたつの人影が見える。
「先生は、あくまでも調査って言ってたからさ」
緊張感のない声が上から響く。
「やっぱこれって怒られんのかな」
「いや、討伐に値する。言質も取った」
そんな会話をしながらふたつの人影は降りてきて、私たちの前にやって来た。
「五条さん、夏油さん・・・!」
と、私はその二人の名前を呼んだ。
「もう昼過ぎになっちゃったじゃねーか」
五条さんが言った。
「USJで遊ぶ時間が減っちまっただろ」
そして、私の前に立ち万城目達と対峙する。
「大丈夫かい、和紗」
と、夏油さんが私の腕を引き立ち上がらせる。
「もう安心だ。よく頑張ったね」
「・・・・・・」
そう笑いかけられて、不覚にも安堵してしまった。
「き、貴様達は・・・!」
万城目が驚愕したような声を上げる。
「東京校の、五条悟に夏油傑・・・!」
すると、五条さんはワザとらしく「てへっ」と恥じらうフリをした。
「やだ~、俺達ってそんなに有名人?照れちゃうなぁ」
「問題児でってことでかもね。悟の場合は」
「あ!?」
「・・・・・・」
こんな場面でもまるで緊張感のない二人のやり取りに私は苦笑いする。
でも、これ以上ないっていうくらい、心強い。
「三対三か」
五条さんが呟く。
その言葉通り、私達は対峙する。
そんな時に、
「あら、イイ男」
と、菅田さんが暢気に言った。
それを聞いて、五条さんが返す。
「よく言われるよ」
「アンタじゃないわよ。そこの前髪のカレのことよ」
「あー?」
そうして、菅田さんと夏油さんが対峙する。
「・・・じゃ、その年増のババアは傑に任せるとして」
五条さんはクルリと万城目の方に身体を向けた。
「俺の相手はオッサンかな」
「・・・・・・」
最初は怖気づいていた万城目だったけれど、腹を括ったのか表情が変わった。
そうなると、さすがに迫力がある。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
五条さんと万城目が対峙する横で、私と梨理衣ちゃんが向き合う。
「梨理衣ちゃん・・・」
「・・・・・・」
そこに人懐こい梨理衣ちゃんの姿はなかった。
恩人である万城目に歯向かう敵。
それに向けられる敵意の目をしている。
「さ、さっさと片付けて、夜のパレードには絶対間に合わせるぞ」
と、不敵な笑みを浮かべて五条さんが言った。
つづく
そして、それをこの人たちは信じていない。
「・・・も、もう、やめて・・・!」
そう懇願するけれど、梨理衣ちゃんは術式を解こうとしない。
苦痛に意識が遠のき始める。
「気絶させるな」
万城目が言った。
「気絶したら、水をかけて起こしてやれ」
そんなことされたって、自白できることは本当にないんだってば。
(あぁ)
朦朧する意識の中で、私は思った。
(これは夢の中のはずなのに、どうして苦しみがこんなにリアルなんだろう)
でも、このまま死んだとしたら現実に戻れるのかな。
・・・でも、現実に戻ったとして、そこにはもう。
ピシッ
何かが割れる音が響いて、その場にいた全員がハッと顔を上げた。
天井にヒビが入ったのが目に飛び込んできた次の瞬間。
ズン
と、突き上げるような衝撃が奔って、学長室の壁や床や調度品が宙の一点に吸い上げられる。
「わぁっ」
私を閉じ込めていた籠も吸い上げられて、その衝撃風で私は床に転がる。
バキバキバキ・・・!
吸い上げられた物は、グシャグシャに握り潰されるかのようにひとまとめにされると、そのまま瓦礫になって辺りに飛び散った。
「・・・・・・」
私も、万城目も、菅田さんも、梨理衣ちゃんも、唖然として空が丸見えになった天井を見上げていた。
骨組みだけになった天蓋の上にヒョッコリとふたつの人影が見える。
「先生は、あくまでも調査って言ってたからさ」
緊張感のない声が上から響く。
「やっぱこれって怒られんのかな」
「いや、討伐に値する。言質も取った」
そんな会話をしながらふたつの人影は降りてきて、私たちの前にやって来た。
「五条さん、夏油さん・・・!」
と、私はその二人の名前を呼んだ。
「もう昼過ぎになっちゃったじゃねーか」
五条さんが言った。
「USJで遊ぶ時間が減っちまっただろ」
そして、私の前に立ち万城目達と対峙する。
「大丈夫かい、和紗」
と、夏油さんが私の腕を引き立ち上がらせる。
「もう安心だ。よく頑張ったね」
「・・・・・・」
そう笑いかけられて、不覚にも安堵してしまった。
「き、貴様達は・・・!」
万城目が驚愕したような声を上げる。
「東京校の、五条悟に夏油傑・・・!」
すると、五条さんはワザとらしく「てへっ」と恥じらうフリをした。
「やだ~、俺達ってそんなに有名人?照れちゃうなぁ」
「問題児でってことでかもね。悟の場合は」
「あ!?」
「・・・・・・」
こんな場面でもまるで緊張感のない二人のやり取りに私は苦笑いする。
でも、これ以上ないっていうくらい、心強い。
「三対三か」
五条さんが呟く。
その言葉通り、私達は対峙する。
そんな時に、
「あら、イイ男」
と、菅田さんが暢気に言った。
それを聞いて、五条さんが返す。
「よく言われるよ」
「アンタじゃないわよ。そこの前髪のカレのことよ」
「あー?」
そうして、菅田さんと夏油さんが対峙する。
「・・・じゃ、その年増のババアは傑に任せるとして」
五条さんはクルリと万城目の方に身体を向けた。
「俺の相手はオッサンかな」
「・・・・・・」
最初は怖気づいていた万城目だったけれど、腹を括ったのか表情が変わった。
そうなると、さすがに迫力がある。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
五条さんと万城目が対峙する横で、私と梨理衣ちゃんが向き合う。
「梨理衣ちゃん・・・」
「・・・・・・」
そこに人懐こい梨理衣ちゃんの姿はなかった。
恩人である万城目に歯向かう敵。
それに向けられる敵意の目をしている。
「さ、さっさと片付けて、夜のパレードには絶対間に合わせるぞ」
と、不敵な笑みを浮かべて五条さんが言った。
つづく
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