第28話 問題児二人
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「でも、ここが取り壊されたら、生徒たちはどうなるんですか?」
「え?」
思いも寄らない私の言葉に、菅田さんが一瞬キーボードを叩く手を止めた。
「・・・そんなこと、今はどうでもいいでしょう。このままここにいて、呪詛師にされるよりは・・・」
「何が、どうなるだって?」
突然、菅田さんの声に野太く低い声が被さった。
「!」
私と菅田さんは驚いて声の方を振り返った。
するとそこには、万城目が立っていた。
万城目は、その大きな目をギロリとさせて菅田さんの方を見た。
「菅田。お前は一体何をしているのだ」
「・・・それは・・・」
菅田さんは恐る恐るデスクから離れる。そして、
「東京校からのネズミが一匹、おびき寄せたところですわ」
と、笑みを浮かびながら言った。
「え・・・」
菅田さんの言葉に呆然としていると、
「そうか。よくやった」
と、万城目は右掌を私の方へ向けた。そして、
「『落檻籠地』」
と言葉を唱えた次の瞬間。
ガゴンッ
突如、籠が頭上から落ちてきて私はそのまま中に閉じ込められてた。
「なっ・・・」
すぐさま籠に手をかけて、揺り動かそうとするけれどビクともしない。
「ビックリしたかね」
万城目が言った。
「私の術式は、呪力で編み込まれた籠を出現させること。捕縛系の術式だ。ネズミならぬ飛んで火にいる夏の虫とは、君のことだな」
「・・・・・・」
やはり罠だったんだ。
それも、内部告発そのものが。
この人たちは、東京校からの潜伏者を待っていたのだ。
(でも、何のために・・・)
私はそっと襟の内側に手をやり、内側のテントウムシ型呪霊を外して、そっと放った。
だけど。
「あら」
菅田さんがそれを捕まえて、そのまま手の中で握り潰してしまった。
「虫がもう一匹♡」
「・・・・・・っ」
私はキリッと唇をかんだ。
「自白系の術が得意なのはー、え~っと、どいつだったかなぁ~・・・」
万城目が記憶を振り絞るように唸りつつ言った。
そしてふと思い出したように、
「そうだ、梨理衣だ。梨理衣を連れてこい」
と、言った。
それから間もなく、菅田さんに連れられて梨理衣ちゃんがやって来た。
「お呼びですか?万城目サン」
と意気揚々としていたものの、籠に閉じ込められた私の姿を気が付くと、
「和紗ちゃん?」
戸惑いで目を泳がせた。
「梨理衣。お前の術式で、コイツから東京校にある『天元』についての情報を自白させるのだ」
「え・・・」
梨理衣ちゃんと同様に、初めて聞く言葉に私も困惑する。
「天元なんて、私は知らない・・・!」
私は言った。
「だから、術式にかけても・・・」
「しらばくれるな」
万城目は言った。
「日本呪術界の基底である『天元』の存在を知らぬ呪術師などおらぬ。『天元』を我が手中に収めれば、呪術界の支配権は私のものになる。しかし、『天元』は幾重にも張り巡らせ、日々配置を変える結界の中にある故、接触は困難だという」
「・・・・・・」
「その『天元』と接触方法を知るために、東京校関係者をおびき寄せたのだ」
「・・・・・・」
「お前を利用して、『天元』を手にし、愚かな猿共が作った規定に縛られ利用されている愚かな呪術高専の者どもにとって代わり、私が呪術界の指導者となる。そして、『土蜘蛛』などと蔑まれた我々がこの日本を支配し、猿共を我らを奉ろう民とするのだ」
「・・・・・・」
「梨理衣、やれ」
初めは戸惑いを見せていた梨理衣ちゃんだったけれど、万城目にそう命じられて、ふっと感情が消えたような無表情で私に迫ってきた。
「梨理衣ちゃん・・・」
私が呼びかけるのも気に留めず、籠の隙間から両手を差し込んで、私の頭を掴むように両手を置いた。そして、
「・・・、・・・・」
ボソボソと呪文のようなものを唱え始めた。
その次の瞬間、
「・・・・・・っ!」
私の脳にビリビリとする電流のような衝撃が走った。
頭が、割れるように痛い。
もし、私が本当に『天元』についての情報を持っていたのなら、すぐに自白してしまっていただろう。
それくらいの苦痛だった。
「え?」
思いも寄らない私の言葉に、菅田さんが一瞬キーボードを叩く手を止めた。
「・・・そんなこと、今はどうでもいいでしょう。このままここにいて、呪詛師にされるよりは・・・」
「何が、どうなるだって?」
突然、菅田さんの声に野太く低い声が被さった。
「!」
私と菅田さんは驚いて声の方を振り返った。
するとそこには、万城目が立っていた。
万城目は、その大きな目をギロリとさせて菅田さんの方を見た。
「菅田。お前は一体何をしているのだ」
「・・・それは・・・」
菅田さんは恐る恐るデスクから離れる。そして、
「東京校からのネズミが一匹、おびき寄せたところですわ」
と、笑みを浮かびながら言った。
「え・・・」
菅田さんの言葉に呆然としていると、
「そうか。よくやった」
と、万城目は右掌を私の方へ向けた。そして、
「『落檻籠地』」
と言葉を唱えた次の瞬間。
ガゴンッ
突如、籠が頭上から落ちてきて私はそのまま中に閉じ込められてた。
「なっ・・・」
すぐさま籠に手をかけて、揺り動かそうとするけれどビクともしない。
「ビックリしたかね」
万城目が言った。
「私の術式は、呪力で編み込まれた籠を出現させること。捕縛系の術式だ。ネズミならぬ飛んで火にいる夏の虫とは、君のことだな」
「・・・・・・」
やはり罠だったんだ。
それも、内部告発そのものが。
この人たちは、東京校からの潜伏者を待っていたのだ。
(でも、何のために・・・)
私はそっと襟の内側に手をやり、内側のテントウムシ型呪霊を外して、そっと放った。
だけど。
「あら」
菅田さんがそれを捕まえて、そのまま手の中で握り潰してしまった。
「虫がもう一匹♡」
「・・・・・・っ」
私はキリッと唇をかんだ。
「自白系の術が得意なのはー、え~っと、どいつだったかなぁ~・・・」
万城目が記憶を振り絞るように唸りつつ言った。
そしてふと思い出したように、
「そうだ、梨理衣だ。梨理衣を連れてこい」
と、言った。
それから間もなく、菅田さんに連れられて梨理衣ちゃんがやって来た。
「お呼びですか?万城目サン」
と意気揚々としていたものの、籠に閉じ込められた私の姿を気が付くと、
「和紗ちゃん?」
戸惑いで目を泳がせた。
「梨理衣。お前の術式で、コイツから東京校にある『天元』についての情報を自白させるのだ」
「え・・・」
梨理衣ちゃんと同様に、初めて聞く言葉に私も困惑する。
「天元なんて、私は知らない・・・!」
私は言った。
「だから、術式にかけても・・・」
「しらばくれるな」
万城目は言った。
「日本呪術界の基底である『天元』の存在を知らぬ呪術師などおらぬ。『天元』を我が手中に収めれば、呪術界の支配権は私のものになる。しかし、『天元』は幾重にも張り巡らせ、日々配置を変える結界の中にある故、接触は困難だという」
「・・・・・・」
「その『天元』と接触方法を知るために、東京校関係者をおびき寄せたのだ」
「・・・・・・」
「お前を利用して、『天元』を手にし、愚かな猿共が作った規定に縛られ利用されている愚かな呪術高専の者どもにとって代わり、私が呪術界の指導者となる。そして、『土蜘蛛』などと蔑まれた我々がこの日本を支配し、猿共を我らを奉ろう民とするのだ」
「・・・・・・」
「梨理衣、やれ」
初めは戸惑いを見せていた梨理衣ちゃんだったけれど、万城目にそう命じられて、ふっと感情が消えたような無表情で私に迫ってきた。
「梨理衣ちゃん・・・」
私が呼びかけるのも気に留めず、籠の隙間から両手を差し込んで、私の頭を掴むように両手を置いた。そして、
「・・・、・・・・」
ボソボソと呪文のようなものを唱え始めた。
その次の瞬間、
「・・・・・・っ!」
私の脳にビリビリとする電流のような衝撃が走った。
頭が、割れるように痛い。
もし、私が本当に『天元』についての情報を持っていたのなら、すぐに自白してしまっていただろう。
それくらいの苦痛だった。