第28話 問題児二人
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呪術師が呪力を持たない非術師を見下す風潮が珍しくないことは、何となく感じていた。
(禪院家の話も聞いてたし・・・)
だから、この話だけで大阪分校が呪詛師を育成しテロを目論んでいるという確証にするには弱い。
けれど、万城目がここにいる生徒たちに絶大な影響を与えていることは明らかだった。
「ごめん、梨理衣ちゃん」
私は言った。
「私、ちょっとお腹痛いから保健室行ってくる!」
「え、一緒に行ってあげようか?」
「大丈夫!」
そして、梨理衣ちゃんを置いて駆け出した。
(とりあえず、万城目の周辺を探ろう。何か掴めるかもしれない)
学長室に向かって足早に歩いていると、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
生徒たちが急いで教室に戻るのと逆流して、私は進む。
そうして、学長室に辿り着き、扉に近づき中の様子を伺った。
「・・・・・・」
万城目は席を外しているのか、人がいる気配は感じられない。
鍵はかけられているのだろうか。
確かめようと扉に手をかけた、その時だった。
「何をしてるの」
声を掛けられて、振り返る。
そこには、菅田さんがいた。
「もう授業が始まるわ。教室に戻らないの?」
「あの、万城目学長にお話が」
菅田さんに問われ、私はそう答えた。
怪しまれているかもしれない。
内心、警戒を深める。
しかし菅田さんは、
「学長は今席を外しているわよ」
と、何の気なしに言った。
「用件なら私から伝えておくけれど」
「・・・いえ、急ぐことではないので」
と、私はその場をそそくさと離れようとしたけれど、
「私から万城目学長について教えられることがあれば、教えるけれど」
と菅田さんが言い、私は思わず立ち止まった。
「え・・・」
内心ドキドキしながら振り返る。
すると、菅田さんは微笑みながら言葉を続けた。
「あなた、東京校から派遣されてきたのでしょう」
そう言われて、私はつい押し黙ってしまった。
バレてる。
きっともう誤魔化しは通じない。
「・・・・・・」
私は密かに身構える。
戦いたくはない。だけど・・・。
「待って。私は味方よ」
と、慌てて菅田さんが言った。
「え」
唐突な言葉に私はますます警戒を深める。
が、思い当たる節があった。
「もしかして、インサイダーって・・・」
「そう、インサイダーは私。私がここを東京校にリークしたの」
「・・・でも、どうしてそんなことを」
「私も呪術師のはしくれよ。呪術師は呪いを祓うのが務め。それなのに、万城目はその力を呪術師ではなく、保護すべき非術師に向けようとしている。そんなこと許せないでしょう」
「・・・・・・」
「まだ疑っているのね。いいわ、テロ計画の証拠もある。それをあなたに見せてあげる」
と、菅田さんは学長室の扉を開けて中へ入っていった。
「・・・・・・」
それでも尚、私は信じられないでいた。
(罠?・・・だとしても、それで尻尾を掴むことが出来れば・・・)
と、そっと襟の内側のテントウムシ型呪霊に触れる。
私に何かあっても、後の事はきっとあの二人がどうにかしてくれる。
そう考えて、私は学長室に入った。
部屋に入ると、菅田さんが既に学長のデスクのパソコンを操作していた。
黙ってその様子を見ていたら、
「万城目が『土蜘蛛』の子孫だという事は?」
と、菅田さんが尋ねてきた。
なので、私は黙って頷いた。
「なら話は早いわね。万城目は、各地の『土蜘蛛』の子孫たちと連絡を取り合って、同時多発的に呪術テロを起こすことを計画している。今、その子孫たちとの連絡履歴を出しているわ」
と、菅田さんはキーボードを叩きながら話した。
「その履歴を持ち出せば、ここを取り壊す十分な理由になるでしょう」
思いも寄らぬ協力を得て、任務は速やかに完了できそうだ。
私はホッとした。
でも、その後すぐに梨理衣ちゃん達、ここの生徒たちのことが思い浮かんだ。
(禪院家の話も聞いてたし・・・)
だから、この話だけで大阪分校が呪詛師を育成しテロを目論んでいるという確証にするには弱い。
けれど、万城目がここにいる生徒たちに絶大な影響を与えていることは明らかだった。
「ごめん、梨理衣ちゃん」
私は言った。
「私、ちょっとお腹痛いから保健室行ってくる!」
「え、一緒に行ってあげようか?」
「大丈夫!」
そして、梨理衣ちゃんを置いて駆け出した。
(とりあえず、万城目の周辺を探ろう。何か掴めるかもしれない)
学長室に向かって足早に歩いていると、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
生徒たちが急いで教室に戻るのと逆流して、私は進む。
そうして、学長室に辿り着き、扉に近づき中の様子を伺った。
「・・・・・・」
万城目は席を外しているのか、人がいる気配は感じられない。
鍵はかけられているのだろうか。
確かめようと扉に手をかけた、その時だった。
「何をしてるの」
声を掛けられて、振り返る。
そこには、菅田さんがいた。
「もう授業が始まるわ。教室に戻らないの?」
「あの、万城目学長にお話が」
菅田さんに問われ、私はそう答えた。
怪しまれているかもしれない。
内心、警戒を深める。
しかし菅田さんは、
「学長は今席を外しているわよ」
と、何の気なしに言った。
「用件なら私から伝えておくけれど」
「・・・いえ、急ぐことではないので」
と、私はその場をそそくさと離れようとしたけれど、
「私から万城目学長について教えられることがあれば、教えるけれど」
と菅田さんが言い、私は思わず立ち止まった。
「え・・・」
内心ドキドキしながら振り返る。
すると、菅田さんは微笑みながら言葉を続けた。
「あなた、東京校から派遣されてきたのでしょう」
そう言われて、私はつい押し黙ってしまった。
バレてる。
きっともう誤魔化しは通じない。
「・・・・・・」
私は密かに身構える。
戦いたくはない。だけど・・・。
「待って。私は味方よ」
と、慌てて菅田さんが言った。
「え」
唐突な言葉に私はますます警戒を深める。
が、思い当たる節があった。
「もしかして、インサイダーって・・・」
「そう、インサイダーは私。私がここを東京校にリークしたの」
「・・・でも、どうしてそんなことを」
「私も呪術師のはしくれよ。呪術師は呪いを祓うのが務め。それなのに、万城目はその力を呪術師ではなく、保護すべき非術師に向けようとしている。そんなこと許せないでしょう」
「・・・・・・」
「まだ疑っているのね。いいわ、テロ計画の証拠もある。それをあなたに見せてあげる」
と、菅田さんは学長室の扉を開けて中へ入っていった。
「・・・・・・」
それでも尚、私は信じられないでいた。
(罠?・・・だとしても、それで尻尾を掴むことが出来れば・・・)
と、そっと襟の内側のテントウムシ型呪霊に触れる。
私に何かあっても、後の事はきっとあの二人がどうにかしてくれる。
そう考えて、私は学長室に入った。
部屋に入ると、菅田さんが既に学長のデスクのパソコンを操作していた。
黙ってその様子を見ていたら、
「万城目が『土蜘蛛』の子孫だという事は?」
と、菅田さんが尋ねてきた。
なので、私は黙って頷いた。
「なら話は早いわね。万城目は、各地の『土蜘蛛』の子孫たちと連絡を取り合って、同時多発的に呪術テロを起こすことを計画している。今、その子孫たちとの連絡履歴を出しているわ」
と、菅田さんはキーボードを叩きながら話した。
「その履歴を持ち出せば、ここを取り壊す十分な理由になるでしょう」
思いも寄らぬ協力を得て、任務は速やかに完了できそうだ。
私はホッとした。
でも、その後すぐに梨理衣ちゃん達、ここの生徒たちのことが思い浮かんだ。