第28話 問題児二人
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「証拠集めする時間があるってことは、そんな切羽詰まった状況でもないってことだろ。それにアジトの場所も目星がついてる。だろ、傑」
と五条さんが言って、夏油さんが頷く。
「ああ。さっき先生から聞いた」
「ならちょっとぐらい寄り道してもいいじゃん。大阪に着くの、昼前だし。先生と合流する夕方から逆算しても、潜伏調査は昼過ぎに始めたらいいだろ」
「よくない!」
私が言った。
「切羽詰まった状況じゃなくても、テロが計画されてるかもしれないんだよ?もっと緊張感もって臨まなきゃ。USJに遊びになんて行ってる場合じゃ」
「春休みとゴールデンウィーク過ぎた今の次期のUSJって結構穴場らしいぜ」
と言う五条さんの言葉に、私は「うっ」と詰まる。
更にひと押しするように五条さんは言葉を続けた。
「そんな絶好のタイミングで大阪に来ることって滅多にないんだけどなぁ。まぁ、任務の方が大事だよなぁ~。そうだよなぁ~」
「・・・・・・」
私だって、本当は行ってみたい。
テレビのロケ番組で見る度に、いつか行きたいってずっと思ってたもん。
すると、夏油さんが言った。
「それじゃあこうしよう。先に任務をさっさと終わらせて、USJに行こう」
「え・・・」
その提案を聞いて、私は顔をパァッと輝かせた。
「そ、そうだね!それがいい」
「うん。そのためには和紗に頑張ってもらわないと」
「私?」
「うん。『土蜘蛛』のアジトには、和紗ひとりで潜伏してもらう」
「え・・・」
ウキウキする気分が弾けて、私は固まってしまった。
そんな私に、夏油さんは話を続けた。
「『土蜘蛛』のアジトは、呪術高専大阪分校だ」
それを聞いて、五条さんは訝し気に声を上げた。
「分校~?そんなの大阪にあったっけ。初耳だぞ」
「当然、非公認だよ。勝手に呪術高専を名乗り隠れ蓑にし、呪術の素質がある人間を集めて、反社会思想を刷り込み、密かに呪詛師を育成しているのではないかと言われている」
「ふーん?」
「元々の母体は、『万城目』という人物が開いていた私塾だそうだが」
「それが呪術高専を名乗ったと」
「そういうこと」
「それで、私ひとりで潜伏するっていうのは」
「転入生として大阪分校に入校するんだ」
私の疑問に、夏油さんが答える。
「元々、夜蛾先生がそう計画していたんだ。転入手続きも済んでるそうだ。特級である私と悟では、潜伏出来ない。私たちは、呪術界では顔が知れ渡っているからね。硝子も数少ない『反転術式』の使い手として、ある程度知られているだろうし」
「それで私が今回の任務に・・・」
「そういうことだね」
「・・・・・・」
それを聞いた途端、プレッシャーが肩にのしかかるのを感じた。
そんな私の様子に気づいて、夏油さんが優しく微笑みかける。
「大丈夫。私と悟でしっかり和紗をフォローする。危険な目には遭わせないよ」
新大阪に到着し、駅構内のカフェで早めの昼食をとりながら作戦会議を始めた。
「テロの計画の証拠って、どんなものだろう。計画表とか?」
私の疑問に、夏油さんが答える。
「そうだね。確実なのはそういう文書での証拠がある事だけど。今回は、それよりも一段階前の調査。大阪分校の実態を調査することさ」
「それってつまり・・・」
「普通に授業を受けて、その内容が洗脳教育であるのかを調査するだけでいい」
「っていうかさぁ」
私と夏油さんの会話に、五条さんが割り込んできて言った。
「そんな非公式な組織、すぐぶっ潰せばいいんじゃねぇの?」
「そんな単純なことじゃないんだ」
夏油さんが言った。
「『万城目』という人物は、根回し立ち回りが上手い人物らしくてね。関西の有力呪術師一族や財界・政界の権力者からの支援を受けて大阪分校を経営している。さっき非公式とは言ったけれど、それは東京校からの視点で、関西からするともうほぼ公認の組織だ。それを東京校の一方的な主張で潰せない。もしそんなことをすれば、呪術界の内紛となる。潰すのには、背後の連中に『万城目』の危険性を認識させるだけの証拠がいるのさ」
「はあ~、面倒くせ」
と、五条さんは心の底からそう呟いた。
と五条さんが言って、夏油さんが頷く。
「ああ。さっき先生から聞いた」
「ならちょっとぐらい寄り道してもいいじゃん。大阪に着くの、昼前だし。先生と合流する夕方から逆算しても、潜伏調査は昼過ぎに始めたらいいだろ」
「よくない!」
私が言った。
「切羽詰まった状況じゃなくても、テロが計画されてるかもしれないんだよ?もっと緊張感もって臨まなきゃ。USJに遊びになんて行ってる場合じゃ」
「春休みとゴールデンウィーク過ぎた今の次期のUSJって結構穴場らしいぜ」
と言う五条さんの言葉に、私は「うっ」と詰まる。
更にひと押しするように五条さんは言葉を続けた。
「そんな絶好のタイミングで大阪に来ることって滅多にないんだけどなぁ。まぁ、任務の方が大事だよなぁ~。そうだよなぁ~」
「・・・・・・」
私だって、本当は行ってみたい。
テレビのロケ番組で見る度に、いつか行きたいってずっと思ってたもん。
すると、夏油さんが言った。
「それじゃあこうしよう。先に任務をさっさと終わらせて、USJに行こう」
「え・・・」
その提案を聞いて、私は顔をパァッと輝かせた。
「そ、そうだね!それがいい」
「うん。そのためには和紗に頑張ってもらわないと」
「私?」
「うん。『土蜘蛛』のアジトには、和紗ひとりで潜伏してもらう」
「え・・・」
ウキウキする気分が弾けて、私は固まってしまった。
そんな私に、夏油さんは話を続けた。
「『土蜘蛛』のアジトは、呪術高専大阪分校だ」
それを聞いて、五条さんは訝し気に声を上げた。
「分校~?そんなの大阪にあったっけ。初耳だぞ」
「当然、非公認だよ。勝手に呪術高専を名乗り隠れ蓑にし、呪術の素質がある人間を集めて、反社会思想を刷り込み、密かに呪詛師を育成しているのではないかと言われている」
「ふーん?」
「元々の母体は、『万城目』という人物が開いていた私塾だそうだが」
「それが呪術高専を名乗ったと」
「そういうこと」
「それで、私ひとりで潜伏するっていうのは」
「転入生として大阪分校に入校するんだ」
私の疑問に、夏油さんが答える。
「元々、夜蛾先生がそう計画していたんだ。転入手続きも済んでるそうだ。特級である私と悟では、潜伏出来ない。私たちは、呪術界では顔が知れ渡っているからね。硝子も数少ない『反転術式』の使い手として、ある程度知られているだろうし」
「それで私が今回の任務に・・・」
「そういうことだね」
「・・・・・・」
それを聞いた途端、プレッシャーが肩にのしかかるのを感じた。
そんな私の様子に気づいて、夏油さんが優しく微笑みかける。
「大丈夫。私と悟でしっかり和紗をフォローする。危険な目には遭わせないよ」
新大阪に到着し、駅構内のカフェで早めの昼食をとりながら作戦会議を始めた。
「テロの計画の証拠って、どんなものだろう。計画表とか?」
私の疑問に、夏油さんが答える。
「そうだね。確実なのはそういう文書での証拠がある事だけど。今回は、それよりも一段階前の調査。大阪分校の実態を調査することさ」
「それってつまり・・・」
「普通に授業を受けて、その内容が洗脳教育であるのかを調査するだけでいい」
「っていうかさぁ」
私と夏油さんの会話に、五条さんが割り込んできて言った。
「そんな非公式な組織、すぐぶっ潰せばいいんじゃねぇの?」
「そんな単純なことじゃないんだ」
夏油さんが言った。
「『万城目』という人物は、根回し立ち回りが上手い人物らしくてね。関西の有力呪術師一族や財界・政界の権力者からの支援を受けて大阪分校を経営している。さっき非公式とは言ったけれど、それは東京校からの視点で、関西からするともうほぼ公認の組織だ。それを東京校の一方的な主張で潰せない。もしそんなことをすれば、呪術界の内紛となる。潰すのには、背後の連中に『万城目』の危険性を認識させるだけの証拠がいるのさ」
「はあ~、面倒くせ」
と、五条さんは心の底からそう呟いた。