第28話 問題児二人
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ドキドキしながら声の方を振り返ると、屋上への昇降口の屋根の上で、五条さんが座り込んでいた。
五条さんは、サングラスの奥の目を丸めて私を見ている。
私が何も答えず、ずっとフェンスから張り付いて動かないでいるのを訝し気にしている。
「どうしたんだよ」
「・・・・・・」
「まさか、オマエ」
と、ハッと何かに勘づいたように息を飲んだ。
そして屋根から飛び降りて、ゆっくりと慎重に私に歩み寄る。
「落ち着け、早まんなよ。環境の変化ってのは辛くて当たり前なんだよ。人間の脳ミソってのは、変化を嫌うらしいからな」
「え?」
「でも、人間ってのは慣れるんだよ。どんなことにも慣れちまうんだよ」
とトンチンカンな事を言いながら、五条さんは私に向かって右手を差し出した。
「だから、そんな思い詰めんな。そっから離れろ」
「・・・・・・」
どうやら、私がホームシックか何かで悲しみのあまり身投げをしようとしていると勘違いしているらしい。
(いや、確かに飛び降りようとかどうしようか考えてたけれど)
なので、私は言った。
「・・・違うよ。私は、ただ風に当たりに来ただけだよ」
すると五条さんは、「へ?」と間の抜けた声を出した。
しかしすぐにムッとして、
「んだよ、紛らわしいことすんなよ。思いつめた空気だしやがって。勘違いすんじゃねーか」
と、差し出した手を引っ込めた。
「ごめん・・・」
私は言った。
「でも、行き詰まって落ち込んでたのは本当」
「・・・・・・」
「五条さんは?どうしてここに」
やや間があってから、五条さんは答えた。
「俺の特等席なんだよ」
「特等席?」
「星がよくみえるだろ?」
そして、顔を上げる。
私もつられて顔を上げると、夜空に沢山の星が輝いてるのが見えた。
「・・・綺麗」
と、私は呟く。
でも、この星空を見るのは初めてじゃない。
初めて呪術高専に連れてこられた時も、屋上で五条さんと見ていた。
この星空は、その時の記憶が作り出したものなのかもしれない。
しばらくぼうっとして星空を見上げていたら、
「部屋、戻れよ」
五条さんが声をかけてきた。
「明日は任務だ。さっさと寝ろ」
「五条さんこそ」
「俺はいいんだよ。でも、オマエは初任務だろ。しかも実地試験も兼ねてる。オマエは試されるんだからな」
「うん・・・」
「そんなに不安なのかよ」
「・・・・・・」
任務にそれほど不安はない。
ただ、いつまでもこの世界に入り浸ることになってしまうのが不安なのだ。
このままここに居続けたら、違う意味で私は帰れなくなってしまう。
だって、ここには。
「大丈夫だよ、俺達最強だから」
ふいにかけられた言葉に、私はハッとする。
振り向くと、五条さんがもう一度言った。
「俺と傑が一緒なんだ。どんな奴らが相手だろうと、屁でもねーよ」
そして、不敵に笑う。
自分の事を『俺』って呼ぶ。
私の事を『オマエ』って呼ぶ。
粗野な言葉遣い。
思慮に欠けた言動。
私の知らなかった五条さん。
それでも。
不敵な笑みや、何だかんだ言っても、困った人がいたら放っておけない世話焼きなところとか。
今と繋がる面影が確かにあって、嬉しくて、でも切ない。
抱き締めてほしいけれど、この五条さんはきっとそんな事はしない。
「・・・しょーがねーなぁ」
いつまでも部屋に戻ろうとしない私に、五条さんは諦めたように言った。
「そんなに不安で眠れねぇってなら、俺の部屋来いよ」
「・・・え」
「ほら、行くぞ」
と、五条さんはさっさと行ってしまった。
「え、え・・・?」
私は戸惑いながらも、慌ててそれについて行く。
五条さんはトントンと軽い歩調で階段を降りていく。
(部屋に来いって・・・)
いや、ノコノコついて行っていいの?
いくら夢でも、いくら五条さんでも、男の子の部屋に。
でも、高専時代の五条さんの部屋がどんなのなのか興味をひかれて、私は五条さんについて行った。
五条さんは、サングラスの奥の目を丸めて私を見ている。
私が何も答えず、ずっとフェンスから張り付いて動かないでいるのを訝し気にしている。
「どうしたんだよ」
「・・・・・・」
「まさか、オマエ」
と、ハッと何かに勘づいたように息を飲んだ。
そして屋根から飛び降りて、ゆっくりと慎重に私に歩み寄る。
「落ち着け、早まんなよ。環境の変化ってのは辛くて当たり前なんだよ。人間の脳ミソってのは、変化を嫌うらしいからな」
「え?」
「でも、人間ってのは慣れるんだよ。どんなことにも慣れちまうんだよ」
とトンチンカンな事を言いながら、五条さんは私に向かって右手を差し出した。
「だから、そんな思い詰めんな。そっから離れろ」
「・・・・・・」
どうやら、私がホームシックか何かで悲しみのあまり身投げをしようとしていると勘違いしているらしい。
(いや、確かに飛び降りようとかどうしようか考えてたけれど)
なので、私は言った。
「・・・違うよ。私は、ただ風に当たりに来ただけだよ」
すると五条さんは、「へ?」と間の抜けた声を出した。
しかしすぐにムッとして、
「んだよ、紛らわしいことすんなよ。思いつめた空気だしやがって。勘違いすんじゃねーか」
と、差し出した手を引っ込めた。
「ごめん・・・」
私は言った。
「でも、行き詰まって落ち込んでたのは本当」
「・・・・・・」
「五条さんは?どうしてここに」
やや間があってから、五条さんは答えた。
「俺の特等席なんだよ」
「特等席?」
「星がよくみえるだろ?」
そして、顔を上げる。
私もつられて顔を上げると、夜空に沢山の星が輝いてるのが見えた。
「・・・綺麗」
と、私は呟く。
でも、この星空を見るのは初めてじゃない。
初めて呪術高専に連れてこられた時も、屋上で五条さんと見ていた。
この星空は、その時の記憶が作り出したものなのかもしれない。
しばらくぼうっとして星空を見上げていたら、
「部屋、戻れよ」
五条さんが声をかけてきた。
「明日は任務だ。さっさと寝ろ」
「五条さんこそ」
「俺はいいんだよ。でも、オマエは初任務だろ。しかも実地試験も兼ねてる。オマエは試されるんだからな」
「うん・・・」
「そんなに不安なのかよ」
「・・・・・・」
任務にそれほど不安はない。
ただ、いつまでもこの世界に入り浸ることになってしまうのが不安なのだ。
このままここに居続けたら、違う意味で私は帰れなくなってしまう。
だって、ここには。
「大丈夫だよ、俺達最強だから」
ふいにかけられた言葉に、私はハッとする。
振り向くと、五条さんがもう一度言った。
「俺と傑が一緒なんだ。どんな奴らが相手だろうと、屁でもねーよ」
そして、不敵に笑う。
自分の事を『俺』って呼ぶ。
私の事を『オマエ』って呼ぶ。
粗野な言葉遣い。
思慮に欠けた言動。
私の知らなかった五条さん。
それでも。
不敵な笑みや、何だかんだ言っても、困った人がいたら放っておけない世話焼きなところとか。
今と繋がる面影が確かにあって、嬉しくて、でも切ない。
抱き締めてほしいけれど、この五条さんはきっとそんな事はしない。
「・・・しょーがねーなぁ」
いつまでも部屋に戻ろうとしない私に、五条さんは諦めたように言った。
「そんなに不安で眠れねぇってなら、俺の部屋来いよ」
「・・・え」
「ほら、行くぞ」
と、五条さんはさっさと行ってしまった。
「え、え・・・?」
私は戸惑いながらも、慌ててそれについて行く。
五条さんはトントンと軽い歩調で階段を降りていく。
(部屋に来いって・・・)
いや、ノコノコついて行っていいの?
いくら夢でも、いくら五条さんでも、男の子の部屋に。
でも、高専時代の五条さんの部屋がどんなのなのか興味をひかれて、私は五条さんについて行った。