第28話 問題児二人
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「ごきげんよう、和紗」
私とは裏腹に、奇子はニッコリと笑いながら言った。
「楽しんでくれてるようでなによりだわ」
「ここは一体何なの!?」
私は窓ガラスに両手をつき、張り付くように顔を近づけた。
「私の記憶と願望が作り出す世界だって・・・。でも、私の知らない人たちや過去が存在するのはどうしてなの?」
「ああ、言ってなかったっけ?」
奇子はとぼけた様子で言った。
「ここは、和紗だけの記憶で作られたわけじゃないのよ。これまで私か読んできた『魂の皺』の記憶の数々から幾つかピックアップして取り込んでいるのよ」
「・・・・・・」
「そう。幾つか例に挙げると、五条悟の記憶。そして、夏油傑の記憶」
「夏油・・・」
「夏油の記憶を読むの苦労したのよ~。アイツの魂、色んな人間のと重なり合ってグチャグチャだったからさ」
「・・・・・・」
「ちなみに、ここに出てくる人間の言動は、『魂の皺』から読み込まれた性格や思考に基づいてるから、あながち的外れじゃないでしょ?」
「・・・・・・」
「って、昔の五条悟や夏油傑がどんなだったかなんて和紗も知らないわよね~」
「・・・して」
「ん?何?」
私はドンッと拳で窓ガラスを叩いて、もう一度言った。
「ここから出して!」
しかし、奇子はニヤニヤと笑っている。
「いやよ~。私も楽しんで見てるのに」
「・・・・・・」
私はひとつふうっと短く息を吐いて、気を取り直してこう言った。
「・・・いいわ。協力する」
すると、奇子はキョトンとした顔をした。
「協力?」
「羂索が術式で取り込んだっていう、アンタの好きな人・・・呪霊を取り戻すのに協力する」
この時、ずっとヘラヘラしていた奇子の顔が初めて真顔になった。
「そのためにも、私には術式が必要だわ。でないと、羂索には立ち向かえない。だけど、その術式はアンタを封じ込めるために使わない。だから、ここから私を出して」
「・・・本当に?」
「約束する」
すると、奇子は考え込むように俯いた。
そしてしばらくして顔を上げると、
「やっぱり、いいや!」
と言った。
「・・・え」
思いも寄らない返事に、私は唖然とする。
奇子はそんな私をあざ笑うように言った。
「真人のことはもういいってゆーか。好きとかそんなの、もうどうでもいいってゆーか。私、所詮呪いだしね。それに今思えば、真人の最期、メチャクチャダサかったんだもん!なんか冷めちゃった」
「・・・・・・」
「それよりも、私はこのままこの和紗の夢の続きが見たい」
そう言いながら、窓ガラスに映る奇子の顔は次第に消え始めた。
「待って・・・」
私は焦りながら呼びかける。
「待って、奇子!私をここから出して!」
しかし奇子の顔は消えてしまい、代わりに私の顔が再び映しだされていた。
(・・・どうしよう。私が折れさえすれば、ここから出られると思ったのに)
交渉は失敗した。
もう私は自力でここから出るしかない。
「・・・・・・」
そこでふと、思いついた。
小説や漫画や映画で見たことがある。
夢の中で命を断てば、目覚めて現実に戻る。
そんな場面を。
「・・・・・・」
私は窓を開けて、外を覗き見た。
ここは4階だけど、まだ高さが足りないかもしれない。
なので、私は部屋を出て屋上に向かった。
階段を駆け上って、屋上に出る。
屋上の周辺は転落防止のためのフェンスが張り巡らされていた。
「・・・・・・」
フェンスに手をかけて下を覗き込むと、強い風が吹き上ってきた。
ひとつ階を上がっただけなのに、ずいぶん高さが変わった気がする。
思いついたまま屋上にきてみたものの、夜風に吹かれてふと冷静になってしまった。
(・・・大丈夫かな。夢の中で死んだら、現実でも死んでしまうなんてことは)
でも、他に方法がわからない。
このままいつまでも目が醒めなかったら?
この方法は、本当に試す価値はある?
いつまでも踏ん切りがつかず、フェンスの前で佇んでいると、
「何やってんだよ」
突然声を掛けられて、
「わぁっ!?」
私はビクッとして驚きの声を上げた。
私とは裏腹に、奇子はニッコリと笑いながら言った。
「楽しんでくれてるようでなによりだわ」
「ここは一体何なの!?」
私は窓ガラスに両手をつき、張り付くように顔を近づけた。
「私の記憶と願望が作り出す世界だって・・・。でも、私の知らない人たちや過去が存在するのはどうしてなの?」
「ああ、言ってなかったっけ?」
奇子はとぼけた様子で言った。
「ここは、和紗だけの記憶で作られたわけじゃないのよ。これまで私か読んできた『魂の皺』の記憶の数々から幾つかピックアップして取り込んでいるのよ」
「・・・・・・」
「そう。幾つか例に挙げると、五条悟の記憶。そして、夏油傑の記憶」
「夏油・・・」
「夏油の記憶を読むの苦労したのよ~。アイツの魂、色んな人間のと重なり合ってグチャグチャだったからさ」
「・・・・・・」
「ちなみに、ここに出てくる人間の言動は、『魂の皺』から読み込まれた性格や思考に基づいてるから、あながち的外れじゃないでしょ?」
「・・・・・・」
「って、昔の五条悟や夏油傑がどんなだったかなんて和紗も知らないわよね~」
「・・・して」
「ん?何?」
私はドンッと拳で窓ガラスを叩いて、もう一度言った。
「ここから出して!」
しかし、奇子はニヤニヤと笑っている。
「いやよ~。私も楽しんで見てるのに」
「・・・・・・」
私はひとつふうっと短く息を吐いて、気を取り直してこう言った。
「・・・いいわ。協力する」
すると、奇子はキョトンとした顔をした。
「協力?」
「羂索が術式で取り込んだっていう、アンタの好きな人・・・呪霊を取り戻すのに協力する」
この時、ずっとヘラヘラしていた奇子の顔が初めて真顔になった。
「そのためにも、私には術式が必要だわ。でないと、羂索には立ち向かえない。だけど、その術式はアンタを封じ込めるために使わない。だから、ここから私を出して」
「・・・本当に?」
「約束する」
すると、奇子は考え込むように俯いた。
そしてしばらくして顔を上げると、
「やっぱり、いいや!」
と言った。
「・・・え」
思いも寄らない返事に、私は唖然とする。
奇子はそんな私をあざ笑うように言った。
「真人のことはもういいってゆーか。好きとかそんなの、もうどうでもいいってゆーか。私、所詮呪いだしね。それに今思えば、真人の最期、メチャクチャダサかったんだもん!なんか冷めちゃった」
「・・・・・・」
「それよりも、私はこのままこの和紗の夢の続きが見たい」
そう言いながら、窓ガラスに映る奇子の顔は次第に消え始めた。
「待って・・・」
私は焦りながら呼びかける。
「待って、奇子!私をここから出して!」
しかし奇子の顔は消えてしまい、代わりに私の顔が再び映しだされていた。
(・・・どうしよう。私が折れさえすれば、ここから出られると思ったのに)
交渉は失敗した。
もう私は自力でここから出るしかない。
「・・・・・・」
そこでふと、思いついた。
小説や漫画や映画で見たことがある。
夢の中で命を断てば、目覚めて現実に戻る。
そんな場面を。
「・・・・・・」
私は窓を開けて、外を覗き見た。
ここは4階だけど、まだ高さが足りないかもしれない。
なので、私は部屋を出て屋上に向かった。
階段を駆け上って、屋上に出る。
屋上の周辺は転落防止のためのフェンスが張り巡らされていた。
「・・・・・・」
フェンスに手をかけて下を覗き込むと、強い風が吹き上ってきた。
ひとつ階を上がっただけなのに、ずいぶん高さが変わった気がする。
思いついたまま屋上にきてみたものの、夜風に吹かれてふと冷静になってしまった。
(・・・大丈夫かな。夢の中で死んだら、現実でも死んでしまうなんてことは)
でも、他に方法がわからない。
このままいつまでも目が醒めなかったら?
この方法は、本当に試す価値はある?
いつまでも踏ん切りがつかず、フェンスの前で佇んでいると、
「何やってんだよ」
突然声を掛けられて、
「わぁっ!?」
私はビクッとして驚きの声を上げた。