第28話 問題児二人
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「冥さんは陰口なんて言われないでしょ。強いから」
と硝子さんが言った。
すると、歌姫さんが不貞腐れたように言った。
「冥さん「は」って、「は」ってどういう意味!?硝子ぉ!」
「あ・・・」
そんな二人の傍で、
「私は冥冥。そして、彼女は庵歌姫」
「鶴來和紗です」
と、冥さんと私はお互いに自己紹介する。
初対面じゃないから、やっぱりヘンな感じがする。
「で、問題児二人は?」
という冥さんの質問に、
「あぁ、なんか夜蛾先生に連れていかれました。和紗を迎えに行った後、直帰せず観光に繰り出したから、その罰を受けてるんでしょ」
「本堂の床の雑巾がけに連れていかれました・・・」
と硝子さんが答えたことに、私が補足する。
それを聞いて、歌姫さんはクスリと笑った。
「いい気味」
「おっと、のんびり立ち話してる場合じゃないね。行かなければ」
冥さんが言った。
「今度、女子だけで和紗の歓迎会を開こう」
「和紗、あの二人みたいになっちゃダメよ!」
そうして、冥さんと歌姫さんは去って行った。
「さて、私達も行こうか」
と硝子さんが言って、校内見学を再開する。
そして最後に向かったのは、学生寮だった。
「一階と二階が男子寮。そして、三階と四階が女子寮ね。和紗の部屋は401号室。ちなみに隣は私だから。そして、これが部屋の鍵」
と言いながら、硝子さんは私に向かって鍵を放り投げた。
私は慌ててそれをキャッチする。
「トイレと風呂は男女別だけど共同。食堂は夜八時まで。部屋に小さいけどキッチンもついてるから自炊できるよ」
「はい」
「これで校内はだいたい回ったかな。わからないことがあったらいつでも聞いて」
「はい、ありがとうございます」
「じゃ、教室に行こうか」
そして学舎に行き、階段を上って二年生の教室に向かう途中だった。
「こんにちは、家入さん!」
階段の踊り場で、今度は男子生徒の二人組に出くわした。
出くわすなり、黒髪の真ん丸な大きな目をした男子生徒が、元気な声で挨拶をしてきた。
元気過ぎて、声が大き過ぎて、私は少し面食らう。
硝子さんは慣れっこなのか、彼に「うんうん」と軽く頷いて返す。
そして次に、彼はクルっと顔を私の方に向けた。
「はじめまして!俺は灰原雄といいます。一年生です!あなたは?」
あまりにも真っ直な眼差しを向けられて、私は少々たじろぎながら答える。
「鶴來和紗です。えっと、二年生、です」
「先輩ですね!よろしくお願いします!」
「よ、よろしくお願いします」
灰原君。
確かにこの人とははじめましてだ。
そこで、ふと疑問を抱いた。
「・・・・・・」
これは、私の願望と記憶が作り出す夢の世界のはずだ。
なのに、どうして知らない人が存在するのだろう。
灰原君だけじゃない。
五条さんは写真で見たことがあるけれど、五条さん以外の人の高専時代の姿なんて知らないのに。
硝子さんも、歌姫さんも、冥さんも、そして夏油さんも。
彼らのことも、私の願望から作られた姿なの?
「鶴來さん?」
黙り込んでしまった私の顔を灰原君がグイっと覗き込む。
そんな時だった。
「灰原、近い」
もうひとりの男子生徒がそう言いながら、灰原君の腕を引いた。
「初対面の相手に馴れ馴れしい。オマエはパーソナルスペースが狭過ぎる」
落ち着いた低い声。
私は息を飲んで、その人の顔を見上げた。
「あ・・・」
色素の薄い切れ長の瞳。
神経質そうに顰めた細い眉。
真っ直ぐな鼻筋に、どこか日本人離れした彫りの深い顔立ち。
瞳と同じ色素の薄い色の髪を7対3に分けて、少し長い前髪を撫でつけている。
まだ頬は痩せこけてなくて、特徴的な眼鏡も掛けていないけれど、この人が誰なのかわかった。
(七海さん・・・)
そう認識した瞬間、私の目から自然と涙が溢れた。
と硝子さんが言った。
すると、歌姫さんが不貞腐れたように言った。
「冥さん「は」って、「は」ってどういう意味!?硝子ぉ!」
「あ・・・」
そんな二人の傍で、
「私は冥冥。そして、彼女は庵歌姫」
「鶴來和紗です」
と、冥さんと私はお互いに自己紹介する。
初対面じゃないから、やっぱりヘンな感じがする。
「で、問題児二人は?」
という冥さんの質問に、
「あぁ、なんか夜蛾先生に連れていかれました。和紗を迎えに行った後、直帰せず観光に繰り出したから、その罰を受けてるんでしょ」
「本堂の床の雑巾がけに連れていかれました・・・」
と硝子さんが答えたことに、私が補足する。
それを聞いて、歌姫さんはクスリと笑った。
「いい気味」
「おっと、のんびり立ち話してる場合じゃないね。行かなければ」
冥さんが言った。
「今度、女子だけで和紗の歓迎会を開こう」
「和紗、あの二人みたいになっちゃダメよ!」
そうして、冥さんと歌姫さんは去って行った。
「さて、私達も行こうか」
と硝子さんが言って、校内見学を再開する。
そして最後に向かったのは、学生寮だった。
「一階と二階が男子寮。そして、三階と四階が女子寮ね。和紗の部屋は401号室。ちなみに隣は私だから。そして、これが部屋の鍵」
と言いながら、硝子さんは私に向かって鍵を放り投げた。
私は慌ててそれをキャッチする。
「トイレと風呂は男女別だけど共同。食堂は夜八時まで。部屋に小さいけどキッチンもついてるから自炊できるよ」
「はい」
「これで校内はだいたい回ったかな。わからないことがあったらいつでも聞いて」
「はい、ありがとうございます」
「じゃ、教室に行こうか」
そして学舎に行き、階段を上って二年生の教室に向かう途中だった。
「こんにちは、家入さん!」
階段の踊り場で、今度は男子生徒の二人組に出くわした。
出くわすなり、黒髪の真ん丸な大きな目をした男子生徒が、元気な声で挨拶をしてきた。
元気過ぎて、声が大き過ぎて、私は少し面食らう。
硝子さんは慣れっこなのか、彼に「うんうん」と軽く頷いて返す。
そして次に、彼はクルっと顔を私の方に向けた。
「はじめまして!俺は灰原雄といいます。一年生です!あなたは?」
あまりにも真っ直な眼差しを向けられて、私は少々たじろぎながら答える。
「鶴來和紗です。えっと、二年生、です」
「先輩ですね!よろしくお願いします!」
「よ、よろしくお願いします」
灰原君。
確かにこの人とははじめましてだ。
そこで、ふと疑問を抱いた。
「・・・・・・」
これは、私の願望と記憶が作り出す夢の世界のはずだ。
なのに、どうして知らない人が存在するのだろう。
灰原君だけじゃない。
五条さんは写真で見たことがあるけれど、五条さん以外の人の高専時代の姿なんて知らないのに。
硝子さんも、歌姫さんも、冥さんも、そして夏油さんも。
彼らのことも、私の願望から作られた姿なの?
「鶴來さん?」
黙り込んでしまった私の顔を灰原君がグイっと覗き込む。
そんな時だった。
「灰原、近い」
もうひとりの男子生徒がそう言いながら、灰原君の腕を引いた。
「初対面の相手に馴れ馴れしい。オマエはパーソナルスペースが狭過ぎる」
落ち着いた低い声。
私は息を飲んで、その人の顔を見上げた。
「あ・・・」
色素の薄い切れ長の瞳。
神経質そうに顰めた細い眉。
真っ直ぐな鼻筋に、どこか日本人離れした彫りの深い顔立ち。
瞳と同じ色素の薄い色の髪を7対3に分けて、少し長い前髪を撫でつけている。
まだ頬は痩せこけてなくて、特徴的な眼鏡も掛けていないけれど、この人が誰なのかわかった。
(七海さん・・・)
そう認識した瞬間、私の目から自然と涙が溢れた。