第27話 新世界
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(2006年・・・)
12年前だ。
それじゃあ、この夢の五条さんたちはやっぱり高専時代の頃ということだ。
でも私は?
2006年だとまだ小学校に上がったくらいのはずなのに。
夢だから、そこは関係ないのかな?
(どうして、こんな夢なんか・・・)
そんな時だった。
奇子が告げた言葉を思い出した。
『そう。本人でさえ気づいていない『魂の皺』に深く深く刻まれた願い。それを映し出し、叶えるための領域なの』
願い。
この夢は・・・、私の・・・。
「和紗!」
突然、スターンッと襖が開いて、私の名を呼ぶと同時に男の人が居間に飛び込んできた。そして、
「わっ!?」
ガバッと私を抱き締めた。
私が驚き戸惑うのも構わず、その人は更に腕に力を込めた。
「よかった・・・無事で・・・」
その声に私はハッとする。
「耕嗣郎」
と、おじいちゃんがその人の名を呼んだ。
すると身体を少し離して、その人は私の顔を見た。
目が合って、私はゆっくりと口を開いた。
「・・・お父さん・・・」
お父さんは目じりに涙を浮かべながら、安堵した笑みを浮かべる。
「本当に、よかった」
「・・・・・・」
私は言葉を失って、ただただお父さんの顔を見返すことしか出来ない。
ここにいるのは、全てここにいるはずのない人ばかりだ。
そして、起こり得ないことばかりが起きている。
「父さん!和紗が見つかったならすぐに連絡してくれよ」
「オマエ、ケータイ持たずに家を出てっただろ・・・」
「え?あ、ホントだ・・・」
と、お父さんとおじいちゃんが会話する。
その間にも、お父さんは腕の中に私を収めたままでいる。
「・・・・・・」
有り得ない。
お父さんが私を抱き締めるなんて。
「・・・・っ」
私はお父さんの腕を払いのけて、立ちあがった。
「和紗?」
そして、その場から走って立ち去りそのまま外へ出た。
「はっ・・・はっ・・・」
走って走って走り続けた。
ここは、奇子が作り上げた領域の中だ。
私はまだ領域に閉じ込められてるんだ。
早く出口を探さなきゃ。
だけど、走り続けても走り続けても、糠田が森の集落の風景が続いて行く。領域の端が見当たらない。
「はぁ・・・はぁ・・・」
走り続けていくと、ある場所に行き着いた。
住居が並ぶ国道沿いに突如現れる、100坪にも満たない小さな雑木林がある。
その雑木林は細竹や松、杉、柏などが手つかずのまま伸び放題で絡み合い、まるで爆発したかのように生い茂っている。見渡せば山や田んぼしかないこんな村の中にあっても、逆に不自然で、その周辺は鬱蒼として昼間でも暗く、不気味な雰囲気を漂わせている。
その雑木林は、禁足地『額多ヶ守 』と呼ばれている。
そこは、全ての始まりとなった場所。
『額多ヶ守』があるはずだった。
しかし。
「・・・・・・」
そこに『額多ヶ守』はなく、代わりに先程の廃校跡があった。
「なっ・・・」
愕然として立ち尽くしていると、
「おい」
背後から声を掛けられた。
振り返ると、そこには五条さんがいた。
私を追いかけてきていたらしい。
「突然どうしたんだよ」
「・・・・・・」
「雑に振り払われて、オマエの親父ショック受けてたぞ」
「・・・・・・」
「何だよ。黙ってないで何か言えよ」
そこで私は、
バシッ!
思い切り自分で自分の頬を打った。
「!?」
突然の奇行に、五条さんは驚くと共に不可解そうに顔をしかめた。
それでも、お構いなしに私は自分の頬を打ち続ける。
12年前だ。
それじゃあ、この夢の五条さんたちはやっぱり高専時代の頃ということだ。
でも私は?
2006年だとまだ小学校に上がったくらいのはずなのに。
夢だから、そこは関係ないのかな?
(どうして、こんな夢なんか・・・)
そんな時だった。
奇子が告げた言葉を思い出した。
『そう。本人でさえ気づいていない『魂の皺』に深く深く刻まれた願い。それを映し出し、叶えるための領域なの』
願い。
この夢は・・・、私の・・・。
「和紗!」
突然、スターンッと襖が開いて、私の名を呼ぶと同時に男の人が居間に飛び込んできた。そして、
「わっ!?」
ガバッと私を抱き締めた。
私が驚き戸惑うのも構わず、その人は更に腕に力を込めた。
「よかった・・・無事で・・・」
その声に私はハッとする。
「耕嗣郎」
と、おじいちゃんがその人の名を呼んだ。
すると身体を少し離して、その人は私の顔を見た。
目が合って、私はゆっくりと口を開いた。
「・・・お父さん・・・」
お父さんは目じりに涙を浮かべながら、安堵した笑みを浮かべる。
「本当に、よかった」
「・・・・・・」
私は言葉を失って、ただただお父さんの顔を見返すことしか出来ない。
ここにいるのは、全てここにいるはずのない人ばかりだ。
そして、起こり得ないことばかりが起きている。
「父さん!和紗が見つかったならすぐに連絡してくれよ」
「オマエ、ケータイ持たずに家を出てっただろ・・・」
「え?あ、ホントだ・・・」
と、お父さんとおじいちゃんが会話する。
その間にも、お父さんは腕の中に私を収めたままでいる。
「・・・・・・」
有り得ない。
お父さんが私を抱き締めるなんて。
「・・・・っ」
私はお父さんの腕を払いのけて、立ちあがった。
「和紗?」
そして、その場から走って立ち去りそのまま外へ出た。
「はっ・・・はっ・・・」
走って走って走り続けた。
ここは、奇子が作り上げた領域の中だ。
私はまだ領域に閉じ込められてるんだ。
早く出口を探さなきゃ。
だけど、走り続けても走り続けても、糠田が森の集落の風景が続いて行く。領域の端が見当たらない。
「はぁ・・・はぁ・・・」
走り続けていくと、ある場所に行き着いた。
住居が並ぶ国道沿いに突如現れる、100坪にも満たない小さな雑木林がある。
その雑木林は細竹や松、杉、柏などが手つかずのまま伸び放題で絡み合い、まるで爆発したかのように生い茂っている。見渡せば山や田んぼしかないこんな村の中にあっても、逆に不自然で、その周辺は鬱蒼として昼間でも暗く、不気味な雰囲気を漂わせている。
その雑木林は、禁足地『
そこは、全ての始まりとなった場所。
『額多ヶ守』があるはずだった。
しかし。
「・・・・・・」
そこに『額多ヶ守』はなく、代わりに先程の廃校跡があった。
「なっ・・・」
愕然として立ち尽くしていると、
「おい」
背後から声を掛けられた。
振り返ると、そこには五条さんがいた。
私を追いかけてきていたらしい。
「突然どうしたんだよ」
「・・・・・・」
「雑に振り払われて、オマエの親父ショック受けてたぞ」
「・・・・・・」
「何だよ。黙ってないで何か言えよ」
そこで私は、
バシッ!
思い切り自分で自分の頬を打った。
「!?」
突然の奇行に、五条さんは驚くと共に不可解そうに顔をしかめた。
それでも、お構いなしに私は自分の頬を打ち続ける。