第27話 新世界
夢小説設定
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私は今、一体何処にいるんだろう。
そして、いつの時代にいるんだろう。
廃校跡を出ると、外は夕暮れだった。
何処までも広がる田んぼと畑。
周囲を取り囲む山々。
畦道の脇にある道祖神を祀る小さな祠。
細く流れる川にかけられた小さな橋。
そこは知らないはずの場所なのに、私の足は意識せずとも勝手に歩みを進めていく。
いいや、私はここを知っている。
そうして歩いていくと、一軒の家の前にたどり着いた。
一階部分が店舗になっている古民家。
そこは、取り壊されたはずの『つるぎ庵』。そして、鶴來家だった。
「和紗!?」
玄関の前までたどり着くと、中から扉が勢いよく開いて、そこにはもう存在しないはずの人が姿を見せた。
その姿が視界に飛び込んできた瞬間に、私の目から涙が零れた。
「・・・おじいちゃん・・・」
と、私は涙声でその人のことを呼んだ。
これは夢なんだ。
夢だとわかっていても、おじいちゃんがもう一度私の名前を呼んでくれたことが、戸惑いよりも嬉しさの方が大きくて、私は泣いた。
「馬鹿野郎!オマエはまた無茶しやがって!」
と、おじいちゃんは私を叱りつける。
「あれほど無鉄砲なことはするなと言ってるだろうが・・・!」
「まぁまぁ、お爺様」
夏油さんが間に入っておじいちゃんをなだめる。
「和紗さんのお陰で私達も今回の件が呪霊の仕業だと気づけましたし、子ども達を救出出来たんです。そんな怒らないであげて下さい」
「だが、オメェらが来なきゃ子ども達も和紗もその呪霊ってヤツにやられてたかもしれねぇだろ」
「それは・・・」
「オレはやっぱり反対だ!東京に行って呪術師になるだなんて」
と言うおじいちゃんの言葉に、私はハッと顔を上げた。
どうやら、この夢の中の私は呪術師になる為に上京するという設定らしい。
「オマエが生まれつき、人とは違う力があることには気づいてた。が、その力を人の為に活かしたいとか、自分の身も守れねぇのに馬鹿げたことを・・・!」
「その為なんですよ」
おじいちゃんの言葉を遮り、夏油さんが言った。
「人の為だけじゃない。和紗が自分自身を守れるようになる為に、呪術高専に学びに行くんです」
「・・・・・・」
「呪霊の存在に気づいた者は、気づかない者よりも、その災いが身に降りかかる危険性がある。呪術を学ぶことは、和紗にとって身を守るために必要なことなんです」
「・・・・・・」
「お爺様が心配されるのもわかります。が、和紗はひとりじゃない。私達、学友がいる」
「・・・・・・」
「私達が、和紗を支えます」
その言葉に納得したのか、あるいは納得してなくても反論出来ないのか、黙り込んでしまった。
「ねぇ」
そこで、ずっと傍観していた五条さんが欠伸をしながら言った。
「俺達東京から遥々やって来たその足で、呪霊の生得領域に侵入して、ガキんちょ探して、呪霊祓ってで結構疲れてんの。家に上げてもらって茶の一杯くらい出してもらってもバチ当たらないと思うんだけどなぁ」
「悟」
すかさず夏油さんはたしなめるけれど、おじいちゃんは「それもそうだ」と思ったのか、
「・・・孫を助けてくれて礼を言う。上がってくれ」
と、言った。
そうして、私たちは家の中に上がった。
その家は、部屋の間取りも家具の配置も、私の育ったおじいちゃんの家そのものだった。
夢とは思えないくらい、部屋の細かいところまで再現されている。
「さ、食ってくれ」
と、おじいちゃんは五条さんと夏油さんに緑茶と羊羹を差し出した。
「おおっ」
と、五条さんは喜色を浮かべて早速頬張る。
一方、夏油さんは「いただきます」と言いながらも、
「この家の人で、和紗以外に呪力がある人はいるんですか?家系に呪術師だった人がいたとか」
と、羊羹そっちのけでおじいちゃんに尋ねた。
「いいや。見ての通り、ウチは代々続く和菓子屋だよ」
おじいちゃんが言った。
「だから、アンタらの学校の関係者がスカウトに来た時は戸惑ったよ。怪しい宗教かとも思ったしな」
なるほど、そういう経緯なんだ。
夢にしては、妙に話の設定がリアルだな・・・なんて思いながら、私はふと壁の方に視線を向けた。
そこには、カレンダーが貼ってある。
毎年酒屋さんでもらうものだ。
(こんな細部まで再現されてる・・・)
と、感心しながらそこに書かれた数字を見た。
そこには、2006年6月とある。
そして、いつの時代にいるんだろう。
廃校跡を出ると、外は夕暮れだった。
何処までも広がる田んぼと畑。
周囲を取り囲む山々。
畦道の脇にある道祖神を祀る小さな祠。
細く流れる川にかけられた小さな橋。
そこは知らないはずの場所なのに、私の足は意識せずとも勝手に歩みを進めていく。
いいや、私はここを知っている。
そうして歩いていくと、一軒の家の前にたどり着いた。
一階部分が店舗になっている古民家。
そこは、取り壊されたはずの『つるぎ庵』。そして、鶴來家だった。
「和紗!?」
玄関の前までたどり着くと、中から扉が勢いよく開いて、そこにはもう存在しないはずの人が姿を見せた。
その姿が視界に飛び込んできた瞬間に、私の目から涙が零れた。
「・・・おじいちゃん・・・」
と、私は涙声でその人のことを呼んだ。
これは夢なんだ。
夢だとわかっていても、おじいちゃんがもう一度私の名前を呼んでくれたことが、戸惑いよりも嬉しさの方が大きくて、私は泣いた。
「馬鹿野郎!オマエはまた無茶しやがって!」
と、おじいちゃんは私を叱りつける。
「あれほど無鉄砲なことはするなと言ってるだろうが・・・!」
「まぁまぁ、お爺様」
夏油さんが間に入っておじいちゃんをなだめる。
「和紗さんのお陰で私達も今回の件が呪霊の仕業だと気づけましたし、子ども達を救出出来たんです。そんな怒らないであげて下さい」
「だが、オメェらが来なきゃ子ども達も和紗もその呪霊ってヤツにやられてたかもしれねぇだろ」
「それは・・・」
「オレはやっぱり反対だ!東京に行って呪術師になるだなんて」
と言うおじいちゃんの言葉に、私はハッと顔を上げた。
どうやら、この夢の中の私は呪術師になる為に上京するという設定らしい。
「オマエが生まれつき、人とは違う力があることには気づいてた。が、その力を人の為に活かしたいとか、自分の身も守れねぇのに馬鹿げたことを・・・!」
「その為なんですよ」
おじいちゃんの言葉を遮り、夏油さんが言った。
「人の為だけじゃない。和紗が自分自身を守れるようになる為に、呪術高専に学びに行くんです」
「・・・・・・」
「呪霊の存在に気づいた者は、気づかない者よりも、その災いが身に降りかかる危険性がある。呪術を学ぶことは、和紗にとって身を守るために必要なことなんです」
「・・・・・・」
「お爺様が心配されるのもわかります。が、和紗はひとりじゃない。私達、学友がいる」
「・・・・・・」
「私達が、和紗を支えます」
その言葉に納得したのか、あるいは納得してなくても反論出来ないのか、黙り込んでしまった。
「ねぇ」
そこで、ずっと傍観していた五条さんが欠伸をしながら言った。
「俺達東京から遥々やって来たその足で、呪霊の生得領域に侵入して、ガキんちょ探して、呪霊祓ってで結構疲れてんの。家に上げてもらって茶の一杯くらい出してもらってもバチ当たらないと思うんだけどなぁ」
「悟」
すかさず夏油さんはたしなめるけれど、おじいちゃんは「それもそうだ」と思ったのか、
「・・・孫を助けてくれて礼を言う。上がってくれ」
と、言った。
そうして、私たちは家の中に上がった。
その家は、部屋の間取りも家具の配置も、私の育ったおじいちゃんの家そのものだった。
夢とは思えないくらい、部屋の細かいところまで再現されている。
「さ、食ってくれ」
と、おじいちゃんは五条さんと夏油さんに緑茶と羊羹を差し出した。
「おおっ」
と、五条さんは喜色を浮かべて早速頬張る。
一方、夏油さんは「いただきます」と言いながらも、
「この家の人で、和紗以外に呪力がある人はいるんですか?家系に呪術師だった人がいたとか」
と、羊羹そっちのけでおじいちゃんに尋ねた。
「いいや。見ての通り、ウチは代々続く和菓子屋だよ」
おじいちゃんが言った。
「だから、アンタらの学校の関係者がスカウトに来た時は戸惑ったよ。怪しい宗教かとも思ったしな」
なるほど、そういう経緯なんだ。
夢にしては、妙に話の設定がリアルだな・・・なんて思いながら、私はふと壁の方に視線を向けた。
そこには、カレンダーが貼ってある。
毎年酒屋さんでもらうものだ。
(こんな細部まで再現されてる・・・)
と、感心しながらそこに書かれた数字を見た。
そこには、2006年6月とある。