第27話 新世界
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奇子は、昨夜会った時の魔女の仮装姿から打って変わって、喪服を思わせる真っ黒な丈の長いワンピースを着ている。右手についた血を振り払うように腕を数回大きく前後に振ると、辺りに血が飛び散った。
無残にも割かれたその遺体は、奇子の仕業だ。
「どうして・・・!」
私が責め立てるように言うと、
「どうして?ジャマだったから」
と、奇子は悪びれることなく言った。
「和紗のところに駆けつけたいのに、コイツが前をトロトロ歩いてジャマだったから。ずっとのいてって言ってるのに。コイツらが私たちのこと見えないのって、ホント無能よねぇ。ウジャウジャ多くてキショイし」
「・・・・・・」
「ね、そんなに急いでどこ行くの?」
と、奇子はまだ血が付いた手を馴れ馴れしく私の方へ伸ばす。
私はその手を思い切り撥ねつけた。
「私は、アンタなんかと話すことなんてない」
すると、奇子は驚いたように目を大きく丸くした。
「そんなにツンケンしなくてもいいでしょ。私は、今は和紗の味方よ」
「・・・・・・」
「愛する人を奪われた者同士、協力しましょう」
「協力・・・?」
何の冗談を。
だけど、奇子は至って真剣な表情で続けた。
「真人が夏油に『呪霊操術』で取り込まれた」
「・・・・・・」
「今になってはっきりわかった。やっぱりアイツは敵だった」
「・・・・・・」
「だから、今までゴメンね♡仲直りして、私たち協力しましょ。和紗は五条悟を、私は真人を夏油から取り戻すの」
「・・・・・・」
そんな提案、虫がいい話にのる訳ない。
怒りを通り越して呆れた果てた気持ちで、私は奇子を無視して歩き出した。
「和紗?」
奇子が横を通り過ぎる私を愕然として呼び止める。
「待って・・・。行かないで!私をひとりにしないで!だって、みんないなくなっちゃった。真人も、漏瑚も、花御も、陀艮も・・・」
私は振り返ることなく、背中で奇子の声を聞き流しながら歩き続ける。
「またひとりになっちゃった。また、私・・・っ」
と言葉の途中で、何かに気付いたかのように奇子はハッと息を呑んだ。そして、
「・・・私をまた土の中に閉じ込めるつもりなのね」
と、低くくぐもるような声で言った。
さっきまで、幼い子どもが駄々をこねるような声だったのが突然変容して、私は思わず足を止めて振り返った。
すると、そこには全身から呪力を立ち上らせる奇子の姿があった。
「・・・っ」
その威圧感に私は思わず半歩後ろに引いた。
奇子はその呪力を立ち上らせたまま、ゆっくりと私を追い立てるように近づいてくる。
「術式を取り戻す。そのために京都に向かうつもりなのね」
どうやら私の『魂の皺』を読んだらしい。
もし私が術式を取り戻すことが出来れば、糠田が森の呪いを抑え込むための、『明埜乃舞降鶴乃御砡 』を創れるようになるかもしれない。
それは、奇子にとっては脅威だろう。
だけど、今の私の目的は、お父さんたちを救い出すことだ。
今は、奇子をどうこうするつもりもなく、構っている時間もない。
だけど、奇子は臨戦態勢に入っており、
「・・・行かせない」
と、両の手の親指と人差し指の先をくっつけて印を組んだ。
その四本の指で作った円の中に私の姿を捉えると、
「『領域展開』」
と、信じがたい言葉を口にした。
「『暎魂蓮蓮夢苑』」
その次の瞬間。
「なっ・・・!」
私と奇子は、直径3メートルほどの球体の空間に閉じ込められた。
その球体の空間は、天井から足元まで全面鏡張りで構築されている。
一枚張りではなく、幾つもの鏡を継ぎ接ぎして作り上げられている。
それぞれの鏡に私の姿が映り、まるで万華鏡のように空間を埋め尽くしている。
無残にも割かれたその遺体は、奇子の仕業だ。
「どうして・・・!」
私が責め立てるように言うと、
「どうして?ジャマだったから」
と、奇子は悪びれることなく言った。
「和紗のところに駆けつけたいのに、コイツが前をトロトロ歩いてジャマだったから。ずっとのいてって言ってるのに。コイツらが私たちのこと見えないのって、ホント無能よねぇ。ウジャウジャ多くてキショイし」
「・・・・・・」
「ね、そんなに急いでどこ行くの?」
と、奇子はまだ血が付いた手を馴れ馴れしく私の方へ伸ばす。
私はその手を思い切り撥ねつけた。
「私は、アンタなんかと話すことなんてない」
すると、奇子は驚いたように目を大きく丸くした。
「そんなにツンケンしなくてもいいでしょ。私は、今は和紗の味方よ」
「・・・・・・」
「愛する人を奪われた者同士、協力しましょう」
「協力・・・?」
何の冗談を。
だけど、奇子は至って真剣な表情で続けた。
「真人が夏油に『呪霊操術』で取り込まれた」
「・・・・・・」
「今になってはっきりわかった。やっぱりアイツは敵だった」
「・・・・・・」
「だから、今までゴメンね♡仲直りして、私たち協力しましょ。和紗は五条悟を、私は真人を夏油から取り戻すの」
「・・・・・・」
そんな提案、虫がいい話にのる訳ない。
怒りを通り越して呆れた果てた気持ちで、私は奇子を無視して歩き出した。
「和紗?」
奇子が横を通り過ぎる私を愕然として呼び止める。
「待って・・・。行かないで!私をひとりにしないで!だって、みんないなくなっちゃった。真人も、漏瑚も、花御も、陀艮も・・・」
私は振り返ることなく、背中で奇子の声を聞き流しながら歩き続ける。
「またひとりになっちゃった。また、私・・・っ」
と言葉の途中で、何かに気付いたかのように奇子はハッと息を呑んだ。そして、
「・・・私をまた土の中に閉じ込めるつもりなのね」
と、低くくぐもるような声で言った。
さっきまで、幼い子どもが駄々をこねるような声だったのが突然変容して、私は思わず足を止めて振り返った。
すると、そこには全身から呪力を立ち上らせる奇子の姿があった。
「・・・っ」
その威圧感に私は思わず半歩後ろに引いた。
奇子はその呪力を立ち上らせたまま、ゆっくりと私を追い立てるように近づいてくる。
「術式を取り戻す。そのために京都に向かうつもりなのね」
どうやら私の『魂の皺』を読んだらしい。
もし私が術式を取り戻すことが出来れば、糠田が森の呪いを抑え込むための、『
それは、奇子にとっては脅威だろう。
だけど、今の私の目的は、お父さんたちを救い出すことだ。
今は、奇子をどうこうするつもりもなく、構っている時間もない。
だけど、奇子は臨戦態勢に入っており、
「・・・行かせない」
と、両の手の親指と人差し指の先をくっつけて印を組んだ。
その四本の指で作った円の中に私の姿を捉えると、
「『領域展開』」
と、信じがたい言葉を口にした。
「『暎魂蓮蓮夢苑』」
その次の瞬間。
「なっ・・・!」
私と奇子は、直径3メートルほどの球体の空間に閉じ込められた。
その球体の空間は、天井から足元まで全面鏡張りで構築されている。
一枚張りではなく、幾つもの鏡を継ぎ接ぎして作り上げられている。
それぞれの鏡に私の姿が映り、まるで万華鏡のように空間を埋め尽くしている。