第26話 渋谷事変ー弐ー
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「・・・アンタはよくやったよ」
硝子さんは言った。
「渋谷で、どれだけの人間を治した?最初は軽傷者をって頼んでたのに、重傷者まで。アンタのおかげで一体どれだけの命が繋ぎとめられたと思ってる?」
「・・・・・・」
硝子さんが言おうとしてくれていることはわかる。
私がしてきたことに意味がないとは言わない。
だけど、一番守りたかった皆が、こうして身体も心も傷ついているのをただ見ていることに、耐えられなかった。
でも、私に出来ることは、もう何もなかった。
「・・・っ」
私は震える手をそっと野薔薇ちゃんから離した。そして、硝子さんも私から手を離した。
その時だった。
「一体何なんスか!アンタ達は!?」
医務室の外から新田さんの叫び声が聞こえてきた。
私と硝子さんは顔を見合わせてすぐ外に出た。
するとそこに、白と黒に上下が色分けされた、まるで忍者の様な装束姿の人が5人ほど、夜蛾さんを取り囲んでいる。
その傍にいる新田さんと真依ちゃんと三輪ちゃんが、その行為に抗議するように鋭い視線を向けている。
装束姿の連中を見て、硝子さんが驚いたように言った。
「総監部の関係者だ」
「え」
「どうしてここに・・・」
私と硝子さんは息を呑んで状況を見守る。
すると総監部のうち、鼻から下の顔の半分から首元までをマスクで覆い、左瞼の上に切傷痕がある人が一歩前に出て来て、
「夜蛾学長殿。・・・いや、夜蛾正道。貴方を『渋谷事変』を起こした首謀者として連行します」
と言った。
「なっ・・・」
その言葉を聞いて、私達は絶句する。
「・・・どういうつもりだ」
と、夜蛾さんが言った。
するとそこに、
「総監部からの通達じゃ」
という声が響いて振り向くと、そこには楽巌寺京都校学長がいた。
「楽巌寺学長」
と三輪ちゃんが声を上げ、真依ちゃんも驚いた顔をしている。
そして、夜蛾さんも。
「通達・・・?」
と夜蛾さんが呟くのを受けて、楽巌寺学長は言った。
「夏油傑の生存を確認。同人に対し再度の死刑を宣告する、とな」
その言葉を聞いて、私はハッと息を飲んだ。
(夏油・・・傑・・・)
そうだ。
あの男の名前は。
『僕が成長出来たのは、傑に会ったからだよ』
私は思い出した。
あの男の名前は、五条さんの親友と同じ名前。
「遂に耄碌したか、ジジィ」
硝子さんが珍しく声を荒げて言った。
「夏油が生きてるだって?アイツは、去年の『百鬼夜行』で五条が殺したんだ。五条がどんな気持ちで・・・!」
「それでは家入医師」
楽巌寺学長に食って掛かろうとする硝子さんの前に立ち、先程の左瞼の傷の男が言った。
「貴女はその夏油傑の遺体を見たのですか?貴女が解剖する前に、五条悟が独断で処理したのでは?」
そう言われて、硝子さんはクッと小さく唸って黙り込んだ。
「・・・・・・」
その会話を聞いて、私は茫然としていた。
『その首謀者ってのが、僕の親友でさ』
『僕がこの手で処刑したんだ』
あの男が、五条さんの親友?
でも、どうして生きているの?
よく似た他人?
術式で化けた偽物?
もう何もかもわからない。
ただ、ひとつわかったのは。
(きっと、五条さんは会ったんだ)
それで動揺して、隙をつかれて、封印された。
「・・・夏油傑の顔は写真で見たことがある」
真依ちゃんが口を開いた。
「私達が戦ったのは、確かに『夏油傑』の姿をしていた。でも、それは側だけで、中は『加茂憲倫』だって。本人も数ある名前の一つに過ぎないって・・・」
「その正体が何者であるかは問題ではない」
楽巌寺学長は言った。
「『夏油傑』の姿をしている者が、このような呪術テロを起こしていることが問題なのじゃ。このような凶悪事件を二度も起こした人物を呪術総監部は決して取り逃がすことは出来ぬ」
「・・・面子の問題って訳か」
再び硝子さんが口を開いた。
「で、それで何故夜蛾学長が『渋谷事変』の首謀者だと?」
「・・・・・・」
硝子さんは言った。
「渋谷で、どれだけの人間を治した?最初は軽傷者をって頼んでたのに、重傷者まで。アンタのおかげで一体どれだけの命が繋ぎとめられたと思ってる?」
「・・・・・・」
硝子さんが言おうとしてくれていることはわかる。
私がしてきたことに意味がないとは言わない。
だけど、一番守りたかった皆が、こうして身体も心も傷ついているのをただ見ていることに、耐えられなかった。
でも、私に出来ることは、もう何もなかった。
「・・・っ」
私は震える手をそっと野薔薇ちゃんから離した。そして、硝子さんも私から手を離した。
その時だった。
「一体何なんスか!アンタ達は!?」
医務室の外から新田さんの叫び声が聞こえてきた。
私と硝子さんは顔を見合わせてすぐ外に出た。
するとそこに、白と黒に上下が色分けされた、まるで忍者の様な装束姿の人が5人ほど、夜蛾さんを取り囲んでいる。
その傍にいる新田さんと真依ちゃんと三輪ちゃんが、その行為に抗議するように鋭い視線を向けている。
装束姿の連中を見て、硝子さんが驚いたように言った。
「総監部の関係者だ」
「え」
「どうしてここに・・・」
私と硝子さんは息を呑んで状況を見守る。
すると総監部のうち、鼻から下の顔の半分から首元までをマスクで覆い、左瞼の上に切傷痕がある人が一歩前に出て来て、
「夜蛾学長殿。・・・いや、夜蛾正道。貴方を『渋谷事変』を起こした首謀者として連行します」
と言った。
「なっ・・・」
その言葉を聞いて、私達は絶句する。
「・・・どういうつもりだ」
と、夜蛾さんが言った。
するとそこに、
「総監部からの通達じゃ」
という声が響いて振り向くと、そこには楽巌寺京都校学長がいた。
「楽巌寺学長」
と三輪ちゃんが声を上げ、真依ちゃんも驚いた顔をしている。
そして、夜蛾さんも。
「通達・・・?」
と夜蛾さんが呟くのを受けて、楽巌寺学長は言った。
「夏油傑の生存を確認。同人に対し再度の死刑を宣告する、とな」
その言葉を聞いて、私はハッと息を飲んだ。
(夏油・・・傑・・・)
そうだ。
あの男の名前は。
『僕が成長出来たのは、傑に会ったからだよ』
私は思い出した。
あの男の名前は、五条さんの親友と同じ名前。
「遂に耄碌したか、ジジィ」
硝子さんが珍しく声を荒げて言った。
「夏油が生きてるだって?アイツは、去年の『百鬼夜行』で五条が殺したんだ。五条がどんな気持ちで・・・!」
「それでは家入医師」
楽巌寺学長に食って掛かろうとする硝子さんの前に立ち、先程の左瞼の傷の男が言った。
「貴女はその夏油傑の遺体を見たのですか?貴女が解剖する前に、五条悟が独断で処理したのでは?」
そう言われて、硝子さんはクッと小さく唸って黙り込んだ。
「・・・・・・」
その会話を聞いて、私は茫然としていた。
『その首謀者ってのが、僕の親友でさ』
『僕がこの手で処刑したんだ』
あの男が、五条さんの親友?
でも、どうして生きているの?
よく似た他人?
術式で化けた偽物?
もう何もかもわからない。
ただ、ひとつわかったのは。
(きっと、五条さんは会ったんだ)
それで動揺して、隙をつかれて、封印された。
「・・・夏油傑の顔は写真で見たことがある」
真依ちゃんが口を開いた。
「私達が戦ったのは、確かに『夏油傑』の姿をしていた。でも、それは側だけで、中は『加茂憲倫』だって。本人も数ある名前の一つに過ぎないって・・・」
「その正体が何者であるかは問題ではない」
楽巌寺学長は言った。
「『夏油傑』の姿をしている者が、このような呪術テロを起こしていることが問題なのじゃ。このような凶悪事件を二度も起こした人物を呪術総監部は決して取り逃がすことは出来ぬ」
「・・・面子の問題って訳か」
再び硝子さんが口を開いた。
「で、それで何故夜蛾学長が『渋谷事変』の首謀者だと?」
「・・・・・・」