第26話 渋谷事変ー弐ー
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「・・・・・・」
突然過ぎて、あまりにも実感がなくて、でも胸は抉られるように痛んでいるのに、涙が出ない。
茫然としていたら、
「・・・俺は、もう皆のところへは帰れない」
悠仁君は更に言った。
「俺は、渋谷で沢山の人を殺した」
その言葉に私はハッと息を飲んだ。
『久方振りに、有象無象の人間共を屠った』
あの時、宿儺が言った言葉を思い出したのだ。
「・・・・・・」
もしその中に、陵 先生たちがいたら・・・。
そう想像して、私は怖くて、微かに身を竦ませた。
そのことを、悠仁君は見落としていなかった。
悠仁君は悲しそうに一瞬視線を落とした後で、
「だから、俺はもう皆とは一緒にいられない」
と言った。
その言葉で我に返り、私は慌てて口を開いた。
「悠仁君のせいじゃない」
「・・・・・・」
「悠仁君のせいじゃないよ。だから・・・」
「・・・・・・」
「だから、一緒にいられないなんて、そんなこと言わないで」
そして、悠仁君の腕に縋りつく。
「・・・和紗さん」
そう名前を呼んで私が顔をあげると、悠仁君は人差し指と中指でトンッと軽く私の額を突いた。
力なんてほとんど入っていないのに、反動と後から来る呪力の衝撃で、私は脳震とうを起こした。
「・・・・・・」
頭がクラクラして立っていられない。
倒れ込む私を悠仁君は抱き留めると、耳元で小さな声で言った。
「ごめん。和紗さんに、五条先生を独りにしないでって言われてたのに。なのに、五条先生を独りで戦わせて」
「・・・・・・」
「本当に、ごめん・・・」
「・・・・・・」
次第に私の意識は遠のいていく。
謝らないで。
謝らないといけないのは、私の方。
『これからも何があっても、私は悠仁君を肯定するよ』
そう言ったのに、怖がって、突き放してしまった。
(悠仁君・・・)
そして、そのまま悠仁君の腕の中で、私は意識を失った。
「・・・ん・・・」
目が覚めてゆっくりと意識が元に戻ると、私は自分が誰かの背におぶられて移動していることに気づいた。
「・・・悠仁君?」
だけど、
「気づいたか」
意識がはっきりして気づく。
それは、悠仁君ではなく脹相だった。
「なっ・・・」
私は驚く。
それとは対照的に、脹相は落ち着き払った様子だ。
「歩けるか。歩けるなら降ろすぞ」
と、私を背中から降ろした。
「・・・悠仁君は」
「オマエは俺が高専まで送る。悠仁にはついて来るなと言って置いてきた」
私の問いかけに、脹相は答える。
「宿儺を暴走させてしまったのが故意ではなくとも、もはや高専は悠仁を生かしておくまい。となると、悠仁を高専に向かわせるのは危険だ」
「・・・・・・」
「もっとも、悠仁が高専に戻ろうとしない理由はそんなことではないだろうがな」
「・・・・・・」
それからしばらくは、私も脹相も黙ったまま歩き続けた。
「・・・悠仁君はあなたのこと、色々あったけど今は仲間だって言ってたけど」
「俺はお兄ちゃんだ」
「いや、聞きたいのはそういう事じゃなくって」
「何だ」
「あなたは元々は敵だったってこと?つまり、この一連の渋谷の・・・」
すると脹相はやや間を置いてから、
「そうだ」
と、頷いた。
「俺は、この『渋谷事変』の首謀者・夏油と行動を共にしていた」
「・・・・・っ!」
夏油。
その名を聞いて、怒りなのか怖れなのか、どちらともわからないけれど、唇がワナワナと震えた。
「・・・それじゃあ・・・」
「何だ」
「あなたは、五条さんが封印されたことに関わったの・・・?」
すると脹相は僅かに眉をひそめた後、
「・・・ああ。俺は、五条悟が封印される場にいた」
と言った。
その言葉を聞いて、私は彼に飛びかかってめちゃくちゃに殴ってやりたい衝動にかられた。
だけど、そんなことをしても意味がない。
堪えるようにグッと両手を握って打ち震えていたら、
「・・・殴りたければ殴ればいい」
脹相は言った。
「悠仁から聞いた。オマエは五条悟の妻だと」
「・・・・・・」
「オマエが俺を憎むのは当然だ。だが・・・これはオマエには言い訳にしか聞こえないだろうが、俺は利用されていた。今では俺にとっても夏油は敵だ。悠仁は五条悟を取り戻すつもりだ。だから、俺もそれに協力する」
突然過ぎて、あまりにも実感がなくて、でも胸は抉られるように痛んでいるのに、涙が出ない。
茫然としていたら、
「・・・俺は、もう皆のところへは帰れない」
悠仁君は更に言った。
「俺は、渋谷で沢山の人を殺した」
その言葉に私はハッと息を飲んだ。
『久方振りに、有象無象の人間共を屠った』
あの時、宿儺が言った言葉を思い出したのだ。
「・・・・・・」
もしその中に、
そう想像して、私は怖くて、微かに身を竦ませた。
そのことを、悠仁君は見落としていなかった。
悠仁君は悲しそうに一瞬視線を落とした後で、
「だから、俺はもう皆とは一緒にいられない」
と言った。
その言葉で我に返り、私は慌てて口を開いた。
「悠仁君のせいじゃない」
「・・・・・・」
「悠仁君のせいじゃないよ。だから・・・」
「・・・・・・」
「だから、一緒にいられないなんて、そんなこと言わないで」
そして、悠仁君の腕に縋りつく。
「・・・和紗さん」
そう名前を呼んで私が顔をあげると、悠仁君は人差し指と中指でトンッと軽く私の額を突いた。
力なんてほとんど入っていないのに、反動と後から来る呪力の衝撃で、私は脳震とうを起こした。
「・・・・・・」
頭がクラクラして立っていられない。
倒れ込む私を悠仁君は抱き留めると、耳元で小さな声で言った。
「ごめん。和紗さんに、五条先生を独りにしないでって言われてたのに。なのに、五条先生を独りで戦わせて」
「・・・・・・」
「本当に、ごめん・・・」
「・・・・・・」
次第に私の意識は遠のいていく。
謝らないで。
謝らないといけないのは、私の方。
『これからも何があっても、私は悠仁君を肯定するよ』
そう言ったのに、怖がって、突き放してしまった。
(悠仁君・・・)
そして、そのまま悠仁君の腕の中で、私は意識を失った。
「・・・ん・・・」
目が覚めてゆっくりと意識が元に戻ると、私は自分が誰かの背におぶられて移動していることに気づいた。
「・・・悠仁君?」
だけど、
「気づいたか」
意識がはっきりして気づく。
それは、悠仁君ではなく脹相だった。
「なっ・・・」
私は驚く。
それとは対照的に、脹相は落ち着き払った様子だ。
「歩けるか。歩けるなら降ろすぞ」
と、私を背中から降ろした。
「・・・悠仁君は」
「オマエは俺が高専まで送る。悠仁にはついて来るなと言って置いてきた」
私の問いかけに、脹相は答える。
「宿儺を暴走させてしまったのが故意ではなくとも、もはや高専は悠仁を生かしておくまい。となると、悠仁を高専に向かわせるのは危険だ」
「・・・・・・」
「もっとも、悠仁が高専に戻ろうとしない理由はそんなことではないだろうがな」
「・・・・・・」
それからしばらくは、私も脹相も黙ったまま歩き続けた。
「・・・悠仁君はあなたのこと、色々あったけど今は仲間だって言ってたけど」
「俺はお兄ちゃんだ」
「いや、聞きたいのはそういう事じゃなくって」
「何だ」
「あなたは元々は敵だったってこと?つまり、この一連の渋谷の・・・」
すると脹相はやや間を置いてから、
「そうだ」
と、頷いた。
「俺は、この『渋谷事変』の首謀者・夏油と行動を共にしていた」
「・・・・・っ!」
夏油。
その名を聞いて、怒りなのか怖れなのか、どちらともわからないけれど、唇がワナワナと震えた。
「・・・それじゃあ・・・」
「何だ」
「あなたは、五条さんが封印されたことに関わったの・・・?」
すると脹相は僅かに眉をひそめた後、
「・・・ああ。俺は、五条悟が封印される場にいた」
と言った。
その言葉を聞いて、私は彼に飛びかかってめちゃくちゃに殴ってやりたい衝動にかられた。
だけど、そんなことをしても意味がない。
堪えるようにグッと両手を握って打ち震えていたら、
「・・・殴りたければ殴ればいい」
脹相は言った。
「悠仁から聞いた。オマエは五条悟の妻だと」
「・・・・・・」
「オマエが俺を憎むのは当然だ。だが・・・これはオマエには言い訳にしか聞こえないだろうが、俺は利用されていた。今では俺にとっても夏油は敵だ。悠仁は五条悟を取り戻すつもりだ。だから、俺もそれに協力する」