第26話 渋谷事変ー弐ー
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「悠仁君・・・なのね?」
と私が確認するように尋ねると、
「ん?うん」
悠仁君は不思議そうに頷いた。
しかし、すぐにハッとして、
「そっか・・・。さっき会った時は宿儺だったから・・・」
と小さく呟いて俯いた。
だけど、私がききたいのはそういうことじゃなかった。
今の悠仁君は呪術高専の制服ではない服を着ている。顔に傷痕が増えている。
だけど、変化はそんな目に見えるところではない。
この子を取り巻いていた無邪気な明るい雰囲気が、決定的に変わってしまった。
もう、今までの悠仁君とは違う。
「和紗さんはどうしてこんなところに」
と悠仁君が尋ねて、私は我に返った。
「ひょっとして渋谷にいて巻き込まれた・・・?」
「渋谷の近くにいたの。それで夜蛾さんから連絡が来て、硝子さんと治療活動をしてたんだけど、撤退することになって・・・」
と私が言ったのを聞いて、悠仁君の顔色が変わった。
「釘崎は!?そっちに運ばれてきた?」
「野薔薇ちゃん?搬送されてないけど・・・」
すると、悠仁君は落胆した。
「そっか・・・。じゃあ高専の方に搬送されたのか・・・」
「悠仁君・・・」
私は恐る恐る尋ねた。
「野薔薇ちゃんに何かあったの?大丈夫なんだよね?」
「・・・・・・」
悠仁君の目が激しく動揺して揺らいだ。
少し長い沈黙が続いた後、
「釘崎は、真人の・・・敵の攻撃を喰らって、倒れた」
言葉をすり潰すような、重々しい口調で話し始めた。
「でも、その直後に東堂ともう一人、京都校の人が、助けに来て」
「東堂君が・・・」
「その京都校の人が、俺と釘崎に術式を施してくれた。受けた傷が、これ以上悪化しない術式を。釘崎の、呼吸も脈も止まってたけれど、時間がそんなに経ってないから、助かる可能性はゼロじゃないって・・・」
と話しながら、悠仁君の手が震えている。
私は悠仁君の手に自分の手を重ねた。
「・・・悠仁君」
帰ろう。
一緒に高専へ帰ろう。
そう言おうとした時だった。
「悠仁」
悠仁君の名前を呼んで、知らない男の人がやって来た。
ツンツンと毛先が跳ねた髪を二つ結びにして(どことなくミッ〇ーマウスみたい。トゲトゲのミッ〇ーマウス)、黒と白の和装とも洋装とも見える不思議な服装をしている。
目の周りはクマで青紫色で不健康そうな印象を受ける。そして印象的なのは、鼻筋を横に走る入れ墨のような模様。
私が不思議に思いながらまじまじと見ていると、その人は訝し気に私を見返しながら、言った。
「何をしている。その女は誰だ」
「脹相」
と、悠仁君はその人のことをそう呼んだ。
「警戒しなくていい。和紗さんは、俺の姉ちゃんみたいな人だよ」
と悠仁君が言うと、脹相という人はムッと眉をしかめた。
「お姉ちゃん?」
と呟くと、ズイッと私の目の前まで近づいてきて、
「俺は、悠仁のお兄ちゃんだ」
と、何故かドヤ顔で言った。
「え、お、おにいちゃん??」
悠仁君って一人っ子じゃなかったっけ?
私が戸惑っていると、
「あー、もー!!ややこしいから余計な事言うなよ!」
と、悠仁君が脹相を私から遠ざけた。
「ごめん、和紗さん。アイツとは色々あったんだけど、今はまぁ・・・一応味方というか・・・」
「う、うん・・・」
「・・・とにかく、高専まで送るよ」
「・・・・・・」
私は悠仁君の顔を見上げた。
「送るって・・・悠仁君は?」
「俺は・・・」
「一緒に帰ろう。伏黒君も、きっと野薔薇ちゃんも元気になって待ってるから。それに、七海さんだって・・・」
「和紗さん」
悠仁君は、泣きそうな声で言った。
「ナナミンは、死んだ」
その言葉を聞いて、比喩じゃなくて、本当に一瞬私の呼吸は止まった。
長い沈黙を経ても、
「・・・え」
としか言葉は出てこなかった。
嘘でしょう?
勘違いでしょう?
だって。
『『あけづる』、美味しかったです』
あれが、最後の会話だなんて。
と私が確認するように尋ねると、
「ん?うん」
悠仁君は不思議そうに頷いた。
しかし、すぐにハッとして、
「そっか・・・。さっき会った時は宿儺だったから・・・」
と小さく呟いて俯いた。
だけど、私がききたいのはそういうことじゃなかった。
今の悠仁君は呪術高専の制服ではない服を着ている。顔に傷痕が増えている。
だけど、変化はそんな目に見えるところではない。
この子を取り巻いていた無邪気な明るい雰囲気が、決定的に変わってしまった。
もう、今までの悠仁君とは違う。
「和紗さんはどうしてこんなところに」
と悠仁君が尋ねて、私は我に返った。
「ひょっとして渋谷にいて巻き込まれた・・・?」
「渋谷の近くにいたの。それで夜蛾さんから連絡が来て、硝子さんと治療活動をしてたんだけど、撤退することになって・・・」
と私が言ったのを聞いて、悠仁君の顔色が変わった。
「釘崎は!?そっちに運ばれてきた?」
「野薔薇ちゃん?搬送されてないけど・・・」
すると、悠仁君は落胆した。
「そっか・・・。じゃあ高専の方に搬送されたのか・・・」
「悠仁君・・・」
私は恐る恐る尋ねた。
「野薔薇ちゃんに何かあったの?大丈夫なんだよね?」
「・・・・・・」
悠仁君の目が激しく動揺して揺らいだ。
少し長い沈黙が続いた後、
「釘崎は、真人の・・・敵の攻撃を喰らって、倒れた」
言葉をすり潰すような、重々しい口調で話し始めた。
「でも、その直後に東堂ともう一人、京都校の人が、助けに来て」
「東堂君が・・・」
「その京都校の人が、俺と釘崎に術式を施してくれた。受けた傷が、これ以上悪化しない術式を。釘崎の、呼吸も脈も止まってたけれど、時間がそんなに経ってないから、助かる可能性はゼロじゃないって・・・」
と話しながら、悠仁君の手が震えている。
私は悠仁君の手に自分の手を重ねた。
「・・・悠仁君」
帰ろう。
一緒に高専へ帰ろう。
そう言おうとした時だった。
「悠仁」
悠仁君の名前を呼んで、知らない男の人がやって来た。
ツンツンと毛先が跳ねた髪を二つ結びにして(どことなくミッ〇ーマウスみたい。トゲトゲのミッ〇ーマウス)、黒と白の和装とも洋装とも見える不思議な服装をしている。
目の周りはクマで青紫色で不健康そうな印象を受ける。そして印象的なのは、鼻筋を横に走る入れ墨のような模様。
私が不思議に思いながらまじまじと見ていると、その人は訝し気に私を見返しながら、言った。
「何をしている。その女は誰だ」
「脹相」
と、悠仁君はその人のことをそう呼んだ。
「警戒しなくていい。和紗さんは、俺の姉ちゃんみたいな人だよ」
と悠仁君が言うと、脹相という人はムッと眉をしかめた。
「お姉ちゃん?」
と呟くと、ズイッと私の目の前まで近づいてきて、
「俺は、悠仁のお兄ちゃんだ」
と、何故かドヤ顔で言った。
「え、お、おにいちゃん??」
悠仁君って一人っ子じゃなかったっけ?
私が戸惑っていると、
「あー、もー!!ややこしいから余計な事言うなよ!」
と、悠仁君が脹相を私から遠ざけた。
「ごめん、和紗さん。アイツとは色々あったんだけど、今はまぁ・・・一応味方というか・・・」
「う、うん・・・」
「・・・とにかく、高専まで送るよ」
「・・・・・・」
私は悠仁君の顔を見上げた。
「送るって・・・悠仁君は?」
「俺は・・・」
「一緒に帰ろう。伏黒君も、きっと野薔薇ちゃんも元気になって待ってるから。それに、七海さんだって・・・」
「和紗さん」
悠仁君は、泣きそうな声で言った。
「ナナミンは、死んだ」
その言葉を聞いて、比喩じゃなくて、本当に一瞬私の呼吸は止まった。
長い沈黙を経ても、
「・・・え」
としか言葉は出てこなかった。
嘘でしょう?
勘違いでしょう?
だって。
『『あけづる』、美味しかったです』
あれが、最後の会話だなんて。