第26話 渋谷事変ー弐ー
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【2018年 11月1日 AM1:15】
渋谷の街は、瓦礫の山と焼野が原と化していた。
首都高速三号線を下り方面へ歩きながら、渋谷の街を見下ろす。
再開発が続く工事現場も、多くの人が行きかうスクランブル交差点も、すべてその面影は消えていた。
苦手だった街。
だけど、未知のワクワクと出会える街。
そんな光景が、まるで幻だったように思える。
夜蛾さんを先頭に、硝子さん、伊地知さん、猪野さん、新田さん、数名の呪術師と、保護した数名の非呪術師の人、そして私の一団が、戦場と化した渋谷を脱出すべく進んでいく。
その周囲をサトルを含む呪骸が護衛する。
幸いにも大型呪霊とは遭遇しなかったが、従来規模の呪霊と、そして夜蛾さんが言うところの『人造人間』との戦闘は幾つかあったが、何とか切り抜けて先を進む。
「人造人間って、何なんですか」
先を進みながら、私は夜蛾さんに尋ねた。
もしかして、私が首都高速に向かう途中で遭遇したカボチャ頭も、その『人造人間』だったのかもしれない。
心当たりがない訳じゃなかった。
いつか、宿儺から話を聞いた。
魂に干渉することでその形と肉体を変える術式を持つ、人型の呪霊がいることを。
もしかしたら、そいつの仕業のせいなのかもしれない。
「・・・・・・」
しかし、夜蛾さんは何も答えず歩き続けた。
知らない方がいいと、伝えているようにも思えた。
私も尋ねたのはそれきりで、黙って歩き続けた。
ゴオォン・・・
歩き続けていると、ひとつ何かが打ち付けるような振動が足元から響いてきた。
すると次の瞬間、
「わああぁあっ!」
「きゃあぁああっ!」
私たちが歩いているアスファルト部分が真っ二つに割れて、片側がぐらりと傾き始めた。
「和紗!」
斜めに傾いていくアスファルトに取り残されたのは、私と呪術師と一般人を含めた4人。
硝子さんや夜蛾さん達が、自分たちの方へ飛び移るように手を伸ばすけれど、それよりも崩れ落ちていく速度の方が早くて間に合わない。
「・・・・・!」
アスファルトはどんどん傾き、取り残された私たちは滑り台を逆走するように傾斜を上る。
決壊した時に、下敷きになるのを免れるために。
傾斜が限りなく45度に近づいた時、
ドオォン!
アスファルトが地上に激突し、崩落は止まった。
しかし、
「きゃああっ!」
衝撃に耐えきれず、私たちはゴロゴロとアスファルトを転げて行き地面に倒れ込んだ。
「う・・・」
身体に痺れるような衝撃が広がっている。
すぐに動けずに仰向けで寝転んでいたら、サトルが心配そうに私の顔を覗き込んできた。
「・・・サトル・・・」
どうやら私を案じて地上に降りてきてくれたらしい。
まだ体中が痺れていたけれど、何とか右手を上げてサトルの頭を撫でた。その時だった。
「グルルル・・・・」
うめき声が聞こえて、ハッと私は身体を起こした。
声の方を見ると、牛のような姿の大型呪霊がいる。
牛と言っても乳牛じゃない。闘牛のような、大きな角を持つ牛だ。
その牛型の大型呪霊は、高速道路の橋桁部分に頭から突っ込んで体当たりした。
ドオォン・・・
その衝撃で橋桁にヒビが入る。
さっきの崩落は、コイツのせいだ。
しかし今度は一度では橋桁は壊れず、道路部分は崩落せずに堪えている。
「夜蛾さん、硝子さん!行ってください!」
この声が届くのかはわからない。
だけど、私は叫んだ。
「こっちに構わず行ってください!」
しかし、その直後。
「うわぁぁあっ!」
悲鳴がして振り返る。
するとそこには、一緒に道路から転がり落ちた呪術師の一人が、通常の大きさの呪霊に右腕を噛みつかれていた。
(・・・助けないと・・・!)
しかし、すぐにハッとして気づいた。
「イィマママ・・・何ンン時ィィィ・・・?」
「ノ、ノノリイィカエハ、ドコココォ?」
私たちは、既に多くの呪霊に取り囲まれていた。
「くっ・・・」
もはや人を助ける余裕はなかった。
次々と襲ってくる呪霊を撃退しつつ、その場を離れることで精いっぱいだった。
渋谷の街は、瓦礫の山と焼野が原と化していた。
首都高速三号線を下り方面へ歩きながら、渋谷の街を見下ろす。
再開発が続く工事現場も、多くの人が行きかうスクランブル交差点も、すべてその面影は消えていた。
苦手だった街。
だけど、未知のワクワクと出会える街。
そんな光景が、まるで幻だったように思える。
夜蛾さんを先頭に、硝子さん、伊地知さん、猪野さん、新田さん、数名の呪術師と、保護した数名の非呪術師の人、そして私の一団が、戦場と化した渋谷を脱出すべく進んでいく。
その周囲をサトルを含む呪骸が護衛する。
幸いにも大型呪霊とは遭遇しなかったが、従来規模の呪霊と、そして夜蛾さんが言うところの『人造人間』との戦闘は幾つかあったが、何とか切り抜けて先を進む。
「人造人間って、何なんですか」
先を進みながら、私は夜蛾さんに尋ねた。
もしかして、私が首都高速に向かう途中で遭遇したカボチャ頭も、その『人造人間』だったのかもしれない。
心当たりがない訳じゃなかった。
いつか、宿儺から話を聞いた。
魂に干渉することでその形と肉体を変える術式を持つ、人型の呪霊がいることを。
もしかしたら、そいつの仕業のせいなのかもしれない。
「・・・・・・」
しかし、夜蛾さんは何も答えず歩き続けた。
知らない方がいいと、伝えているようにも思えた。
私も尋ねたのはそれきりで、黙って歩き続けた。
ゴオォン・・・
歩き続けていると、ひとつ何かが打ち付けるような振動が足元から響いてきた。
すると次の瞬間、
「わああぁあっ!」
「きゃあぁああっ!」
私たちが歩いているアスファルト部分が真っ二つに割れて、片側がぐらりと傾き始めた。
「和紗!」
斜めに傾いていくアスファルトに取り残されたのは、私と呪術師と一般人を含めた4人。
硝子さんや夜蛾さん達が、自分たちの方へ飛び移るように手を伸ばすけれど、それよりも崩れ落ちていく速度の方が早くて間に合わない。
「・・・・・!」
アスファルトはどんどん傾き、取り残された私たちは滑り台を逆走するように傾斜を上る。
決壊した時に、下敷きになるのを免れるために。
傾斜が限りなく45度に近づいた時、
ドオォン!
アスファルトが地上に激突し、崩落は止まった。
しかし、
「きゃああっ!」
衝撃に耐えきれず、私たちはゴロゴロとアスファルトを転げて行き地面に倒れ込んだ。
「う・・・」
身体に痺れるような衝撃が広がっている。
すぐに動けずに仰向けで寝転んでいたら、サトルが心配そうに私の顔を覗き込んできた。
「・・・サトル・・・」
どうやら私を案じて地上に降りてきてくれたらしい。
まだ体中が痺れていたけれど、何とか右手を上げてサトルの頭を撫でた。その時だった。
「グルルル・・・・」
うめき声が聞こえて、ハッと私は身体を起こした。
声の方を見ると、牛のような姿の大型呪霊がいる。
牛と言っても乳牛じゃない。闘牛のような、大きな角を持つ牛だ。
その牛型の大型呪霊は、高速道路の橋桁部分に頭から突っ込んで体当たりした。
ドオォン・・・
その衝撃で橋桁にヒビが入る。
さっきの崩落は、コイツのせいだ。
しかし今度は一度では橋桁は壊れず、道路部分は崩落せずに堪えている。
「夜蛾さん、硝子さん!行ってください!」
この声が届くのかはわからない。
だけど、私は叫んだ。
「こっちに構わず行ってください!」
しかし、その直後。
「うわぁぁあっ!」
悲鳴がして振り返る。
するとそこには、一緒に道路から転がり落ちた呪術師の一人が、通常の大きさの呪霊に右腕を噛みつかれていた。
(・・・助けないと・・・!)
しかし、すぐにハッとして気づいた。
「イィマママ・・・何ンン時ィィィ・・・?」
「ノ、ノノリイィカエハ、ドコココォ?」
私たちは、既に多くの呪霊に取り囲まれていた。
「くっ・・・」
もはや人を助ける余裕はなかった。
次々と襲ってくる呪霊を撃退しつつ、その場を離れることで精いっぱいだった。