第26話 渋谷事変ー弐ー
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「伏黒君、どこへ行くつもり?」
「俺も、渋谷駅に・・・」
「無理だよ、そんな身体で」
「釘崎だけじゃない、きっと虎杖もそこにいる・・・。俺だけ、待ってられるかよ・・・」
「伏黒君!」
「・・・退いてくれ」
と、伏黒君は私を押し退けようとする。
するとその時、
「行ってどうする」
私の背後から夜蛾さんがヌッと姿を現した。
私は驚いて振り返る。
「夜蛾さん!?」
「今の貴様は呪力もまともに練れまい。ましてそのボロボロの身体では、渋谷駅へ行っても足手まといなだけだ」
「・・・・・・」
夜蛾さんが諌めるのを反抗するように、鋭い目つきで見遣りながら聞き流した後、伏黒君はそのまま夜蛾さんの横を通り過ぎようとした。
すると夜蛾さんは、
「ガッデム!」
と言った後、
「!!」
右拳を伏黒君のみぞおち辺りに深く叩き込んだ。
伏黒君の身体がくの字に折れ曲がると、
「うっ・・・!」
と唸って、グッタリと気絶してしまった。
その光景を見て、私と新田さんは顔面蒼白になる。
私は唖然として夜蛾さんに言った。
「や、夜蛾さん、伏黒君は重傷者なんですけど・・・」
「もうすぐヘリが到着する」
「え」
夜蛾さんは気絶した伏黒君を肩に担ぎながら言った。
「まず、伏黒と狗巻、そして真希を先に送る」
「・・・そうですか。よかったぁ・・・」
それを聞いて、私は少し安堵した。
しかしその後に、夜蛾さんは思いもよらない提案をした。
「・・・君もそのヘリに乗りここを離脱するといい」
「え・・・」
「状況は刻々と変化している。これ以上、非術師である君をここに置いておけない」
「・・・行きません」
「ぬ?」
今度は夜蛾さんが、思いもよらない言葉に戸惑う。
私はそんな夜蛾さんに言い続けた。
「私はここに残ります」
「しかし」
「今更私が非術師だなんて、夜蛾さん本気で言ってるんですか?」
「・・・・・・」
「私は行きません。ここで治療を続けます。そして・・・」
悠仁君が、野薔薇ちゃんが、パンダ君が、七海さんが、そして───。
そして、五条さんが帰ってくるのを待ってる。
それから間もなくヘリコプターがやって来て、伏黒君と狗巻君と真希ちゃんを乗せて離陸していく。
「・・・・・・」
遠ざかるヘリコプターを見送りながら、私は考えていた。
モイちゃんたちは、呪霊や呪詛師に遭遇することなく家に帰れただろうか。
渋谷に向かった陵 先生は、祐平さんと先生のお母さんは無事でいるだろうか。
その時、宿儺の言葉を思い出した。
『久方振りに、有象無象の人間共を屠った』
ゾクッと、総毛立った。
そんなこと、ある訳ない。
そんなこと、あってはいけない。
だけど、嫌な考えが頭から離れない。
カタカタと小刻みに震える身体が収まらない。
「・・・っ」
震えを収めようと自分で自分の身体を固く抱き締める。
だけど、震えはますますひどくなっていく。
「・・・・・・」
そこで、気がついた。
震えているのは、私じゃない。
震えているのは、地面だ。
ズンッ・・・ズンッ・・・
震動だけじゃない。
震動の前に、大きな地響きが聞こえる。
まるで足音のような。
この足音が、この震えの原因なのだ。
じゃあ、この足音は何の?
そう思って、深い夜の闇の向こうに目を遣る。
その奥に大きな物陰が見えた。
その物陰は次第にこちらへ向かって来る。
近づくにつれ、物陰の実体が明らかになる。
「・・・・・・」
私は圧倒されて、一歩もその場から動けなくなった。
目の前に現れたもの。
それは、今まで見たことのない、まるで怪獣のような、巨大な、呪霊だった。
「俺も、渋谷駅に・・・」
「無理だよ、そんな身体で」
「釘崎だけじゃない、きっと虎杖もそこにいる・・・。俺だけ、待ってられるかよ・・・」
「伏黒君!」
「・・・退いてくれ」
と、伏黒君は私を押し退けようとする。
するとその時、
「行ってどうする」
私の背後から夜蛾さんがヌッと姿を現した。
私は驚いて振り返る。
「夜蛾さん!?」
「今の貴様は呪力もまともに練れまい。ましてそのボロボロの身体では、渋谷駅へ行っても足手まといなだけだ」
「・・・・・・」
夜蛾さんが諌めるのを反抗するように、鋭い目つきで見遣りながら聞き流した後、伏黒君はそのまま夜蛾さんの横を通り過ぎようとした。
すると夜蛾さんは、
「ガッデム!」
と言った後、
「!!」
右拳を伏黒君のみぞおち辺りに深く叩き込んだ。
伏黒君の身体がくの字に折れ曲がると、
「うっ・・・!」
と唸って、グッタリと気絶してしまった。
その光景を見て、私と新田さんは顔面蒼白になる。
私は唖然として夜蛾さんに言った。
「や、夜蛾さん、伏黒君は重傷者なんですけど・・・」
「もうすぐヘリが到着する」
「え」
夜蛾さんは気絶した伏黒君を肩に担ぎながら言った。
「まず、伏黒と狗巻、そして真希を先に送る」
「・・・そうですか。よかったぁ・・・」
それを聞いて、私は少し安堵した。
しかしその後に、夜蛾さんは思いもよらない提案をした。
「・・・君もそのヘリに乗りここを離脱するといい」
「え・・・」
「状況は刻々と変化している。これ以上、非術師である君をここに置いておけない」
「・・・行きません」
「ぬ?」
今度は夜蛾さんが、思いもよらない言葉に戸惑う。
私はそんな夜蛾さんに言い続けた。
「私はここに残ります」
「しかし」
「今更私が非術師だなんて、夜蛾さん本気で言ってるんですか?」
「・・・・・・」
「私は行きません。ここで治療を続けます。そして・・・」
悠仁君が、野薔薇ちゃんが、パンダ君が、七海さんが、そして───。
そして、五条さんが帰ってくるのを待ってる。
それから間もなくヘリコプターがやって来て、伏黒君と狗巻君と真希ちゃんを乗せて離陸していく。
「・・・・・・」
遠ざかるヘリコプターを見送りながら、私は考えていた。
モイちゃんたちは、呪霊や呪詛師に遭遇することなく家に帰れただろうか。
渋谷に向かった
その時、宿儺の言葉を思い出した。
『久方振りに、有象無象の人間共を屠った』
ゾクッと、総毛立った。
そんなこと、ある訳ない。
そんなこと、あってはいけない。
だけど、嫌な考えが頭から離れない。
カタカタと小刻みに震える身体が収まらない。
「・・・っ」
震えを収めようと自分で自分の身体を固く抱き締める。
だけど、震えはますますひどくなっていく。
「・・・・・・」
そこで、気がついた。
震えているのは、私じゃない。
震えているのは、地面だ。
ズンッ・・・ズンッ・・・
震動だけじゃない。
震動の前に、大きな地響きが聞こえる。
まるで足音のような。
この足音が、この震えの原因なのだ。
じゃあ、この足音は何の?
そう思って、深い夜の闇の向こうに目を遣る。
その奥に大きな物陰が見えた。
その物陰は次第にこちらへ向かって来る。
近づくにつれ、物陰の実体が明らかになる。
「・・・・・・」
私は圧倒されて、一歩もその場から動けなくなった。
目の前に現れたもの。
それは、今まで見たことのない、まるで怪獣のような、巨大な、呪霊だった。