第26話 渋谷事変ー弐ー
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「それに」と伏黒君は付け加えて、
『何があっても、生きて和紗んとこ帰るよ?』
一瞬の沈黙の後、伏黒君は続ける。
「・・・五条先生は何があっても必ず帰るって、アンタにも話してるだろ」
「・・・・・・」
「あの人は普段いい加減な事ばかり言ってるけど、その言葉だけは本当の事だから」
「・・・・・・・」
「鶴來さんは、それを信じていればいい」
「・・・・・・」
いつしか、五条さんが七海さんに話していた言葉を思い出す。
『約束なんだ。和紗が僕のために『あけづる』を作る。そして、僕がそれを買いに行く。何処に行ってもどんな任務に就いていても、そのためだけに、僕は必ず生きて戻る』
「・・・うん」
涙が溢れないように唇を噛み締めて、私は二度頷いた。
「うん・・・!」
すると次の瞬間、伏黒君の右手が私の方へ伸びて来て、指先でそっと私の頰に触れた。
「・・・・・・」
私は驚いて、伏黒君を見返した。
伏黒君が真っ直ぐに私を見つめている。
しかし、すぐに手を引っ込めて、
「・・・すみません」
と言った。
「泣いてると、思ったから」
「・・・・・っ」
喉の奥がぎゅっとして、小さな嗚咽が溢れて落ちてしまう。
すると、伏黒君は今度は両手を伸ばして、私の肩に回した。
そして、そのまま自分の方へ引き寄せる。
「・・・!」
抱きしめられる形になって驚いていた、その時、
「あの、スミマセーン!」
部屋に人がやって来て、
「「!!」」
伏黒君は慌てて半ば私を突き放すようにして離れた。
私もまだ軽く動揺したまま立ち上がり、
「は、はーい?」
ベッドの下から姿を覗かせて、声の主の方を見た。
「あ、さっきはどーもッス」
するとそこには、先程治療した補助監督の女の子がいた。
(確か新田さんだったっけ)
と思い返しながら、私は新田さんの方は歩み寄る。
「どうしたんですか?まだどこか痛みますか?」
「いえ!そういうワケではないッス」
新田さんはハツラツとした独特の口調で言った。
「さっき治療してもらった時、きちんとお礼を言えてなかったことが気になって。だから、ありがとうございました!」
「そんな、お礼なんて。こちらはやるべきことをしたまでですから。でも、ご丁寧にありがとうございます」
「あはは。こちらこそお礼言われることなんて何もないッスよー」
という会話をしていたら、
「新田さん」
伏黒君がベッドにもたれかかるようにして立ち上がり、新田さんの名前を呼んだ。
「伏黒さん!」
新田さんが呼び返す。
どうやら二人は知り合いらしい。
「無事・・・ってワケでもなさそうッスけど、よかった、無事で」
「釘崎は」
と言った伏黒君の言葉に、新田さんの表情が固く強張った。
「釘崎は、どこへ行ったか知りませんか?」
すると、新田さんの表情はますます曇っていき、
「ご、ごめんなさい」
と、ポロポロと涙を流し出した。
「釘崎さんは、地下鉄渋谷駅のB5Fに向かいました」
その言葉に伏黒君はハッと息を呑んだ。
(渋谷駅・・・B5F?)
そこで何があるのかわからない私は、二人の顔を交互に見遣った。
新田さんは涙ながらに話し続けた。
「七海さんには、来ないように止められていたんスけど、釘崎さんは『ひとりだけ逃げる訳にはいかない』って。私も止めようとしたけど、それでも釘崎さんは・・・」
「・・・・・・」
そこまで聞いて、伏黒君はまだ力が入らないふらつく身体で歩き出した。
私は慌ててそれを止めるべく、伏黒君の前に立った。
『何があっても、生きて和紗んとこ帰るよ?』
一瞬の沈黙の後、伏黒君は続ける。
「・・・五条先生は何があっても必ず帰るって、アンタにも話してるだろ」
「・・・・・・」
「あの人は普段いい加減な事ばかり言ってるけど、その言葉だけは本当の事だから」
「・・・・・・・」
「鶴來さんは、それを信じていればいい」
「・・・・・・」
いつしか、五条さんが七海さんに話していた言葉を思い出す。
『約束なんだ。和紗が僕のために『あけづる』を作る。そして、僕がそれを買いに行く。何処に行ってもどんな任務に就いていても、そのためだけに、僕は必ず生きて戻る』
「・・・うん」
涙が溢れないように唇を噛み締めて、私は二度頷いた。
「うん・・・!」
すると次の瞬間、伏黒君の右手が私の方へ伸びて来て、指先でそっと私の頰に触れた。
「・・・・・・」
私は驚いて、伏黒君を見返した。
伏黒君が真っ直ぐに私を見つめている。
しかし、すぐに手を引っ込めて、
「・・・すみません」
と言った。
「泣いてると、思ったから」
「・・・・・っ」
喉の奥がぎゅっとして、小さな嗚咽が溢れて落ちてしまう。
すると、伏黒君は今度は両手を伸ばして、私の肩に回した。
そして、そのまま自分の方へ引き寄せる。
「・・・!」
抱きしめられる形になって驚いていた、その時、
「あの、スミマセーン!」
部屋に人がやって来て、
「「!!」」
伏黒君は慌てて半ば私を突き放すようにして離れた。
私もまだ軽く動揺したまま立ち上がり、
「は、はーい?」
ベッドの下から姿を覗かせて、声の主の方を見た。
「あ、さっきはどーもッス」
するとそこには、先程治療した補助監督の女の子がいた。
(確か新田さんだったっけ)
と思い返しながら、私は新田さんの方は歩み寄る。
「どうしたんですか?まだどこか痛みますか?」
「いえ!そういうワケではないッス」
新田さんはハツラツとした独特の口調で言った。
「さっき治療してもらった時、きちんとお礼を言えてなかったことが気になって。だから、ありがとうございました!」
「そんな、お礼なんて。こちらはやるべきことをしたまでですから。でも、ご丁寧にありがとうございます」
「あはは。こちらこそお礼言われることなんて何もないッスよー」
という会話をしていたら、
「新田さん」
伏黒君がベッドにもたれかかるようにして立ち上がり、新田さんの名前を呼んだ。
「伏黒さん!」
新田さんが呼び返す。
どうやら二人は知り合いらしい。
「無事・・・ってワケでもなさそうッスけど、よかった、無事で」
「釘崎は」
と言った伏黒君の言葉に、新田さんの表情が固く強張った。
「釘崎は、どこへ行ったか知りませんか?」
すると、新田さんの表情はますます曇っていき、
「ご、ごめんなさい」
と、ポロポロと涙を流し出した。
「釘崎さんは、地下鉄渋谷駅のB5Fに向かいました」
その言葉に伏黒君はハッと息を呑んだ。
(渋谷駅・・・B5F?)
そこで何があるのかわからない私は、二人の顔を交互に見遣った。
新田さんは涙ながらに話し続けた。
「七海さんには、来ないように止められていたんスけど、釘崎さんは『ひとりだけ逃げる訳にはいかない』って。私も止めようとしたけど、それでも釘崎さんは・・・」
「・・・・・・」
そこまで聞いて、伏黒君はまだ力が入らないふらつく身体で歩き出した。
私は慌ててそれを止めるべく、伏黒君の前に立った。