第25話 渋谷事変ー壱ー
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あ、うん。すごく似合ってる・・・」
と言いかけたところで、
(ち、違う!!)
私は我に返って警戒の態勢をとった。
それにつられて、サトル達呪骸も身構える。
「この渋谷の状況・・・アンタの仕業なの!?」
「えー?違うわよぉ。これは夏油の立案よ~」
「夏油・・・」
その名を聞いて、私は愕然とする。
そして、ずっと忘れようとしていた、あの黒い袈裟姿が記憶の奥底から蘇ってきた。
どうして、その名を奇子が。
「そして、実行してるのは漏瑚に花御。それに真人。私は役に立たないからって、『帳』の外のザコを狩れって言われちゃった」
「・・・っ」
私がキッと睨みつけるのも意に介さず、奇子はペラペラと話し続ける。
「その途中で、陀艮とはぐれちゃった。大丈夫かなぁ?陀艮ってまだ赤ちゃんなのよ」
「・・・・・・」
「私はこんな大袈裟なことしなくてもいいって言ったのよ~」
睨み続ける私を傍目に見ながら、奇子は飄々として続けた。
「こんなことしなくても、和紗を人質に取れば、五条悟は『獄門彊』にあっさり入るって」
私はハッと息を飲んだ。
「ごくもん・・・?」
「なのに、誰も私の立案に乗ってくれなかったの。馬鹿ね。誰も愛というものをわかってないの、ウチの連中は」
「・・・・・・」
「あ、でも呪いだから仕方ないのか。あっ、そういう私も呪いだった~」
そう言って、奇子はケラケラと笑う。
「それで、わざわざこんな大掛かりな仕掛けをして、漏瑚と花御は夏油の無茶ぶりに応えようとして振り回されて、挙句花御は祓われ ちゃうし」
「・・・・・・」
「だけど、こういうやり方もいいわね」
「・・・・・・」
「だって、今日はハロウィンだもの♡派手に盛り上がらないとね」
その時、再び爆発が起こり、ビルが倒壊して黒煙と風塵が立ち上った。
奇子はその光景を嬉々として眺めながら、万歳するかのように両手を上げた。
「ハッピーハロウィーン♡」
その瞬間、私の心に抑えがたい黒い感情が走った。
「・・・は」
私は低く絞り出すように声を出した。
奇子はこちらを振り返る。
「ん?何か言った?」
「五条さんは・・・」
「あれ?言わなかったっけ?」
奇子は、呪いらしい歪んだ笑みを浮かべながら言った。
「封印されたのよ、『獄門彊』に」
そう言った直後。
「おっと」
奇子はクルっと宙をバク転して、高速道路の淵に立った。
『退魔の力』を秘めた私の拳は空ぶって、アスファルトを叩く。
その勢いのまま、私はアスファルトによろめき倒れた。
そんな私の姿を見て、奇子はせせら笑った。
「危ない危ない」
「・・・・・・」
「また糠田が森に戻っちゃうとこだった」
「・・・して」
「ん?何?」
私はバッと顔を上げて、奇子を睨みつけて言った。
「返して・・・!五条さんを返して!!」
奇子が応じるわけがない。
わかってる。わかってるけれど。
「残念だけど、私は『獄門彊』を持ってないの」
奇子は言った。
「持ってるのは夏油よ」
「夏油・・・」
私はゆらりと立ちあがった。
「どうしてあの人とアンタが組んでるの」
「あの人?」
奇子は目を瞬かせた。
「夏油のこと知ってるの?」
「・・・・・・」
「・・・ま、そんなことどうでもいっか。でも、せっかくだからいいことをひとつ教えてあげる」
「・・・・・・」
「あの夏油の姿もかりそめのモノに過ぎない」
「・・・?」
「アイツの真の名は・・・」
奇子がそう言いかけたところで、
「!」
サトルら呪骸達が一斉に奇子に襲い掛かった。
奇子はひらりとかわして、そのまま高速道路から飛び降りてしまった。
落ちていくその刹那、笑みを浮かべる奇子と目が合った。
「・・・いい、追わなくて」
と、私は追いかけようとするサトル達を制止した。
「・・・行こう。夜蛾さんと硝子さんのところへ」
今は、それが最優先事項だ。
だけど。
『封印されたのよ』
その言葉がずっとリフレインして、本当は心は虚無感でいっぱいだった。
と言いかけたところで、
(ち、違う!!)
私は我に返って警戒の態勢をとった。
それにつられて、サトル達呪骸も身構える。
「この渋谷の状況・・・アンタの仕業なの!?」
「えー?違うわよぉ。これは夏油の立案よ~」
「夏油・・・」
その名を聞いて、私は愕然とする。
そして、ずっと忘れようとしていた、あの黒い袈裟姿が記憶の奥底から蘇ってきた。
どうして、その名を奇子が。
「そして、実行してるのは漏瑚に花御。それに真人。私は役に立たないからって、『帳』の外のザコを狩れって言われちゃった」
「・・・っ」
私がキッと睨みつけるのも意に介さず、奇子はペラペラと話し続ける。
「その途中で、陀艮とはぐれちゃった。大丈夫かなぁ?陀艮ってまだ赤ちゃんなのよ」
「・・・・・・」
「私はこんな大袈裟なことしなくてもいいって言ったのよ~」
睨み続ける私を傍目に見ながら、奇子は飄々として続けた。
「こんなことしなくても、和紗を人質に取れば、五条悟は『獄門彊』にあっさり入るって」
私はハッと息を飲んだ。
「ごくもん・・・?」
「なのに、誰も私の立案に乗ってくれなかったの。馬鹿ね。誰も愛というものをわかってないの、ウチの連中は」
「・・・・・・」
「あ、でも呪いだから仕方ないのか。あっ、そういう私も呪いだった~」
そう言って、奇子はケラケラと笑う。
「それで、わざわざこんな大掛かりな仕掛けをして、漏瑚と花御は夏油の無茶ぶりに応えようとして振り回されて、挙句花御は
「・・・・・・」
「だけど、こういうやり方もいいわね」
「・・・・・・」
「だって、今日はハロウィンだもの♡派手に盛り上がらないとね」
その時、再び爆発が起こり、ビルが倒壊して黒煙と風塵が立ち上った。
奇子はその光景を嬉々として眺めながら、万歳するかのように両手を上げた。
「ハッピーハロウィーン♡」
その瞬間、私の心に抑えがたい黒い感情が走った。
「・・・は」
私は低く絞り出すように声を出した。
奇子はこちらを振り返る。
「ん?何か言った?」
「五条さんは・・・」
「あれ?言わなかったっけ?」
奇子は、呪いらしい歪んだ笑みを浮かべながら言った。
「封印されたのよ、『獄門彊』に」
そう言った直後。
「おっと」
奇子はクルっと宙をバク転して、高速道路の淵に立った。
『退魔の力』を秘めた私の拳は空ぶって、アスファルトを叩く。
その勢いのまま、私はアスファルトによろめき倒れた。
そんな私の姿を見て、奇子はせせら笑った。
「危ない危ない」
「・・・・・・」
「また糠田が森に戻っちゃうとこだった」
「・・・して」
「ん?何?」
私はバッと顔を上げて、奇子を睨みつけて言った。
「返して・・・!五条さんを返して!!」
奇子が応じるわけがない。
わかってる。わかってるけれど。
「残念だけど、私は『獄門彊』を持ってないの」
奇子は言った。
「持ってるのは夏油よ」
「夏油・・・」
私はゆらりと立ちあがった。
「どうしてあの人とアンタが組んでるの」
「あの人?」
奇子は目を瞬かせた。
「夏油のこと知ってるの?」
「・・・・・・」
「・・・ま、そんなことどうでもいっか。でも、せっかくだからいいことをひとつ教えてあげる」
「・・・・・・」
「あの夏油の姿もかりそめのモノに過ぎない」
「・・・?」
「アイツの真の名は・・・」
奇子がそう言いかけたところで、
「!」
サトルら呪骸達が一斉に奇子に襲い掛かった。
奇子はひらりとかわして、そのまま高速道路から飛び降りてしまった。
落ちていくその刹那、笑みを浮かべる奇子と目が合った。
「・・・いい、追わなくて」
と、私は追いかけようとするサトル達を制止した。
「・・・行こう。夜蛾さんと硝子さんのところへ」
今は、それが最優先事項だ。
だけど。
『封印されたのよ』
その言葉がずっとリフレインして、本当は心は虚無感でいっぱいだった。