第25話 渋谷事変ー壱ー
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【同日 PM22:35】
渋谷に近づくにつれて、人の数はまばらになっていき、代わりに色濃い呪いの気配がたち登って迫ってくるのを感じた。
街中の高層ビルのネオンや大型ビジョンは消えることなく、いつものように辺りを眩しく照らしているのに、いつものように道を埋め尽くす沢山の人が忽然と消えている。
時々、何かに怯えて逃げ走る人とすれ違うくらいだ。
車道も交通規制がかけられているようで、時折、渋谷に留まっていた数台が郊外方向に走り去っていくのを見かけるだけだ。
「はぁっ、はぁっ・・・」
私はそんな流れに逆流して走り続ける。
そんな折、
「!」
道端で倒れている人がいた。
「大丈夫ですか!?」
黒いスーツ姿の男の人。
きっと伊地知さんと同じ補助監督だ。
私はその人の元へ駆け寄り、しゃがみ込んで容体を確認する。
「・・・っ」
一瞬、怯んでしまった。
その人は、腹や背中肩と数カ所刺し傷があった。
おそらく、背後から刺されたのだろう。
「・・・・・・・」
呪詛師・重面に斬られたことを思い出して、身体が強張る。だけど、
「うぅっ・・・」
その人が苦しそうに唸って、私はハッと現実に戻った。
「大丈夫。今、治します」
そして、『反転術式』を施す。
すると、傷口は塞がり血も止まって、その人の顔色も徐々に赤みが戻り、朦朧としていた意識も戻って、しっかりと目が合った。
私はホッとして、微笑んで尋ねる。
「大丈夫ですか?」
「は、はい。今のは反転術式・・・?貴方は一体・・・」
「それよりも、何があったんですか?渋谷で呪術テロが起きたって・・・」
一見非術師の、呪術界と何ら関係の無さそうな私がそう言ったので、その人は戸惑いながらも事の真相を語り始めた。
時間は現在より遡り、午後7時の事。
東急百貨店東急東横店を中心に、突如、『帳』が降ろされた。
その『帳』は、非術師を閉じ込め電波を遮り、呪術師は出入り可能のものだという。
現在も周辺の施設や地下鉄の駅構内には、多くの一般人 が閉じ込められているという。
この事態を収束するべく、学生も含めた呪術師と補助監督が招集され、それぞれ任務にあたっている、と。
私が治療したこの補助監督は連絡係として配置され待機していたところ、突如背後から襲われたという。
「五条さんは」
私は尋ねた。
「五条さんは・・・五条悟は今どこにいるんですか?」
「え・・・」
補助監督のその人はますます戸惑いながら答えた。
「私は現在の渋谷の状況を聞かされただけなので、呪術師の方々の配置など詳しい状況はわかりません・・・。五条さんのことも」
「・・・そう・・・ですか」
私は落胆しながら立ち上がり、再びゆっくりと歩き出した。
「どこ行くんですか?渋谷は危険ですよ!」
そう声を掛けられたけれど、私は耳を貸さずにその場を立ち去った。
(・・・五条さん・・・)
私はそっとペンダントに触れた。
不安な気持ちを落ち着かせるように、手のひらの中にギュッと握りしめる。
そうして歩き続けるうちに、高速道路沿いの道に辿り着いた。
(ここだ・・・首都高速3号線・・・)
車は一台も走っておらず、そのまま車道から高速道路へ上がっていけそうだ。
(今は夜蛾さんと硝子さんと合流することを考えよう)
そう思い改めて、駆け出そうとした時だった。
『お、おぉおかしし・・・た、たべるぅ?』
怪奇な声がして、バッと身構える。
高速道路の高架下のトンネルからカボチャのような頭の形をした呪霊が現れた。
(ハロウィンだからって・・・)
私はそっと『反転術式』で『退魔の力』を練る。
カボチャの呪霊は、ゆっくりとノソノソとこちらに近づいて来ると思いきや、突然に猛然と私に向かって飛びかかってきた。
「くっ・・・」
私は『退魔の力』を宿した右手を呪霊に向かってかざす。
これだけで、大抵の呪霊は怯んで逃げ出すはずだ。
しかし、
「!」
カボチャの呪霊は『退魔の力』に怯まず、そのまま私に襲い掛かってくる。
私は寸でのところで身を捩り、カボチャの呪霊を避けた。
渋谷に近づくにつれて、人の数はまばらになっていき、代わりに色濃い呪いの気配がたち登って迫ってくるのを感じた。
街中の高層ビルのネオンや大型ビジョンは消えることなく、いつものように辺りを眩しく照らしているのに、いつものように道を埋め尽くす沢山の人が忽然と消えている。
時々、何かに怯えて逃げ走る人とすれ違うくらいだ。
車道も交通規制がかけられているようで、時折、渋谷に留まっていた数台が郊外方向に走り去っていくのを見かけるだけだ。
「はぁっ、はぁっ・・・」
私はそんな流れに逆流して走り続ける。
そんな折、
「!」
道端で倒れている人がいた。
「大丈夫ですか!?」
黒いスーツ姿の男の人。
きっと伊地知さんと同じ補助監督だ。
私はその人の元へ駆け寄り、しゃがみ込んで容体を確認する。
「・・・っ」
一瞬、怯んでしまった。
その人は、腹や背中肩と数カ所刺し傷があった。
おそらく、背後から刺されたのだろう。
「・・・・・・・」
呪詛師・重面に斬られたことを思い出して、身体が強張る。だけど、
「うぅっ・・・」
その人が苦しそうに唸って、私はハッと現実に戻った。
「大丈夫。今、治します」
そして、『反転術式』を施す。
すると、傷口は塞がり血も止まって、その人の顔色も徐々に赤みが戻り、朦朧としていた意識も戻って、しっかりと目が合った。
私はホッとして、微笑んで尋ねる。
「大丈夫ですか?」
「は、はい。今のは反転術式・・・?貴方は一体・・・」
「それよりも、何があったんですか?渋谷で呪術テロが起きたって・・・」
一見非術師の、呪術界と何ら関係の無さそうな私がそう言ったので、その人は戸惑いながらも事の真相を語り始めた。
時間は現在より遡り、午後7時の事。
東急百貨店東急東横店を中心に、突如、『帳』が降ろされた。
その『帳』は、非術師を閉じ込め電波を遮り、呪術師は出入り可能のものだという。
現在も周辺の施設や地下鉄の駅構内には、多くの
この事態を収束するべく、学生も含めた呪術師と補助監督が招集され、それぞれ任務にあたっている、と。
私が治療したこの補助監督は連絡係として配置され待機していたところ、突如背後から襲われたという。
「五条さんは」
私は尋ねた。
「五条さんは・・・五条悟は今どこにいるんですか?」
「え・・・」
補助監督のその人はますます戸惑いながら答えた。
「私は現在の渋谷の状況を聞かされただけなので、呪術師の方々の配置など詳しい状況はわかりません・・・。五条さんのことも」
「・・・そう・・・ですか」
私は落胆しながら立ち上がり、再びゆっくりと歩き出した。
「どこ行くんですか?渋谷は危険ですよ!」
そう声を掛けられたけれど、私は耳を貸さずにその場を立ち去った。
(・・・五条さん・・・)
私はそっとペンダントに触れた。
不安な気持ちを落ち着かせるように、手のひらの中にギュッと握りしめる。
そうして歩き続けるうちに、高速道路沿いの道に辿り着いた。
(ここだ・・・首都高速3号線・・・)
車は一台も走っておらず、そのまま車道から高速道路へ上がっていけそうだ。
(今は夜蛾さんと硝子さんと合流することを考えよう)
そう思い改めて、駆け出そうとした時だった。
『お、おぉおかしし・・・た、たべるぅ?』
怪奇な声がして、バッと身構える。
高速道路の高架下のトンネルからカボチャのような頭の形をした呪霊が現れた。
(ハロウィンだからって・・・)
私はそっと『反転術式』で『退魔の力』を練る。
カボチャの呪霊は、ゆっくりとノソノソとこちらに近づいて来ると思いきや、突然に猛然と私に向かって飛びかかってきた。
「くっ・・・」
私は『退魔の力』を宿した右手を呪霊に向かってかざす。
これだけで、大抵の呪霊は怯んで逃げ出すはずだ。
しかし、
「!」
カボチャの呪霊は『退魔の力』に怯まず、そのまま私に襲い掛かってくる。
私は寸でのところで身を捩り、カボチャの呪霊を避けた。