第25話 渋谷事変ー壱ー
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「何者でなくても、僕には和紗が和紗であることで充分なのに」
「・・・それじゃあ私が納得出来ないんです」
「ん、わかった」
と言って、五条さんはくっつけた額を離した。
「僕らはふたりで納得する道を選んで行くんだもんね。待つよ、和紗が卒業するまで」
「・・・ありがとう」
「でも、僕は、早く皆んなの前で和紗を僕の妻だって呼びたいのに」
「・・・・・・」
「僕の奥さんだって、お嫁さんだって、自慢したいのになぁ」
「・・・どれも同じ意味ですけど」
「色んな呼び方したいんだよ。僕が和紗を色んな体位で愛するみたいに」
「〜〜〜っ!!」
ドゴッ
「い、痛いっ」
「・・・・・っ」
ドゴッ
「痛いっ。痛いよ、和紗、グーパンチは!?」
そんなこんなで、五条さんと私はまだ入籍はしていない(しかし、この調子だと他にも沢山の人に言いふらしてるな・・・)。
「そっかぁ」
私の話を聞いて、祐平さんは頷く。
「ごめんなぁ。そんな相手がおるのに、俺先走っちゃって、勝手に盛り上がって」
「いえ、気にしないで・・・」
「ほんと、ごめんなさい」
陵先生のお母さんも続いて口を開く。
「私もつられて浮かれてしまって。でも、婚約おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます」
思いもよらない人に祝福されて、照れくさくてなんだか不思議な気分だ。
どう振舞えばいいのかわからなくて視線をあちこち泳がせていたら、
「!?」
両目から滝のような涙を流す大野君と目が合った。
「大野君、どうしたの?大丈夫?」
「う、うぅう~」
【※大野は和紗に惚れています】
「うぅっ、鶴來さん、ううっ、お、おめでとう・・・。結婚式の時は、僕に、ウェディングケーキを作れせてよ・・・ううっ」
「あ、ありがと。式挙げるかわからないけど・・・」
号泣する大野君にモイちゃんが寄り添い、「よしよし」と励ます。
「ま、でも納得やわ。最近の鶴來ちゃん、ほわほわして柔らかい雰囲気で何だか幸せそうやなーってウチ思うててん」
「えぇ~・・・」
「ホンマやって!それにしても五条さん、なんでわざわざ陵先生に報告したんやろなぁ?そんな親しかったん?そもそもどこで知り合ったん?」
「え、えっと・・・」
まさか『呪い』絡みでとは言えず、ギクッとしていたら。
「さ、そろそろ仕事に戻ろう。これから忙しくなるよ」
と、陵先生が言った。
その言葉に「はーい」と返事して、モイちゃん達は店の中へ入っていった。
そして、祐平さんが言った。
「じゃあ慶太兄ちゃん、俺と母ちゃんも行くわ。仕事終わったら連絡して」
「どこ行くんだ」
「とりあえず渋谷かなぁ。ハロウィン名物のスクランブル交差点の仮装行列でも観に行こかな」
「気をつけて」
そうして、祐平さんと陵先生のお母さんは立ち去って行った。
そんな二人を見送った後、
「さ、私たちも仕事に戻りましょ」
「鶴來さん」
店の中へ入ろうとする私を陵先生が呼び止めた。
何だろうと思いながら足を止めて振り返ると、
「よかったね」
と、陵先生は微笑んでいた。
「以前に言ってた、『あけづる』を食べさせてあげたい人って五条さんのことでしょう」
「・・・はい」
私はコクリと小さく頷いた。
すると、陵先生は言った。
「ふたりの幸せを心から願ってる。五条さんと鶴來さんは、僕の恩人だから」
「陵先生・・・」
「今の僕がいるのは、ふたりのお陰だから」
そこまで言った後、陵先生は照れくさそうにソワソワし出して、
「さ、仕事だ」
と、店に入っていった。
「・・・・・・」
私はフッと微笑んで、後に続いて店に入った。
「・・・それじゃあ私が納得出来ないんです」
「ん、わかった」
と言って、五条さんはくっつけた額を離した。
「僕らはふたりで納得する道を選んで行くんだもんね。待つよ、和紗が卒業するまで」
「・・・ありがとう」
「でも、僕は、早く皆んなの前で和紗を僕の妻だって呼びたいのに」
「・・・・・・」
「僕の奥さんだって、お嫁さんだって、自慢したいのになぁ」
「・・・どれも同じ意味ですけど」
「色んな呼び方したいんだよ。僕が和紗を色んな体位で愛するみたいに」
「〜〜〜っ!!」
ドゴッ
「い、痛いっ」
「・・・・・っ」
ドゴッ
「痛いっ。痛いよ、和紗、グーパンチは!?」
そんなこんなで、五条さんと私はまだ入籍はしていない(しかし、この調子だと他にも沢山の人に言いふらしてるな・・・)。
「そっかぁ」
私の話を聞いて、祐平さんは頷く。
「ごめんなぁ。そんな相手がおるのに、俺先走っちゃって、勝手に盛り上がって」
「いえ、気にしないで・・・」
「ほんと、ごめんなさい」
陵先生のお母さんも続いて口を開く。
「私もつられて浮かれてしまって。でも、婚約おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます」
思いもよらない人に祝福されて、照れくさくてなんだか不思議な気分だ。
どう振舞えばいいのかわからなくて視線をあちこち泳がせていたら、
「!?」
両目から滝のような涙を流す大野君と目が合った。
「大野君、どうしたの?大丈夫?」
「う、うぅう~」
【※大野は和紗に惚れています】
「うぅっ、鶴來さん、ううっ、お、おめでとう・・・。結婚式の時は、僕に、ウェディングケーキを作れせてよ・・・ううっ」
「あ、ありがと。式挙げるかわからないけど・・・」
号泣する大野君にモイちゃんが寄り添い、「よしよし」と励ます。
「ま、でも納得やわ。最近の鶴來ちゃん、ほわほわして柔らかい雰囲気で何だか幸せそうやなーってウチ思うててん」
「えぇ~・・・」
「ホンマやって!それにしても五条さん、なんでわざわざ陵先生に報告したんやろなぁ?そんな親しかったん?そもそもどこで知り合ったん?」
「え、えっと・・・」
まさか『呪い』絡みでとは言えず、ギクッとしていたら。
「さ、そろそろ仕事に戻ろう。これから忙しくなるよ」
と、陵先生が言った。
その言葉に「はーい」と返事して、モイちゃん達は店の中へ入っていった。
そして、祐平さんが言った。
「じゃあ慶太兄ちゃん、俺と母ちゃんも行くわ。仕事終わったら連絡して」
「どこ行くんだ」
「とりあえず渋谷かなぁ。ハロウィン名物のスクランブル交差点の仮装行列でも観に行こかな」
「気をつけて」
そうして、祐平さんと陵先生のお母さんは立ち去って行った。
そんな二人を見送った後、
「さ、私たちも仕事に戻りましょ」
「鶴來さん」
店の中へ入ろうとする私を陵先生が呼び止めた。
何だろうと思いながら足を止めて振り返ると、
「よかったね」
と、陵先生は微笑んでいた。
「以前に言ってた、『あけづる』を食べさせてあげたい人って五条さんのことでしょう」
「・・・はい」
私はコクリと小さく頷いた。
すると、陵先生は言った。
「ふたりの幸せを心から願ってる。五条さんと鶴來さんは、僕の恩人だから」
「陵先生・・・」
「今の僕がいるのは、ふたりのお陰だから」
そこまで言った後、陵先生は照れくさそうにソワソワし出して、
「さ、仕事だ」
と、店に入っていった。
「・・・・・・」
私はフッと微笑んで、後に続いて店に入った。