第25話 渋谷事変ー壱ー
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「鶴來さんは結婚してるんだよ」
と、陵先生が言った。
それを聞いて、祐平さんと陵先生のお母さん、そして私は、
「「「えぇっ!?」」」
と、驚きの声を上げる。
「いやいや、なんで和紗ちゃんがビックリしてんの」
「み、陵先生、どうしてその事を・・・!」
祐平さんのツッコミを無視して、私は陵先生を問い詰めた。
すると陵先生は「話しちゃダメだったのかな」というような顔しながら答える。
「え、五条さんから電話があって教えてくれたんだ。鶴來さんと入籍したって・・・」
するとそこへ。
「鶴來ちゃんが入籍!?」
チラシ配りを終えて、モイちゃんと大野君が戻って来た。
「あ、お疲れ様。下井さんに大野君」
「陵センセ!入籍って、鶴來ちゃんと誰が!?」
「あ、五条さんと・・・って、下井さんは五条さんと面識あるのかな?」
「あるあるー!メチャクチャ会ったことあるー!」
するとモイちゃんはぐるっとこちらを振り向いて、今度は私が問い詰められる。
「やっぱり五条さんはお婿さんやったんやー!何がお向かいさんやねん、白々しいウソついて黙ってるなんて水臭いな〜、鶴來ちゃん!」
「ち、違うの。別にウソなんか。それに・・・」
私は声を張って言った。
「婚約しただけで、入籍はまだです!」
・・・事は、鎌倉から帰ってから次の日に遡る。
「和紗ーっ、役所で婚姻届もらってきたよーっ。これで晴れて今日から君は五条和紗だよーっ」
と、紙切れ一枚を手に五条さんが私の部屋に飛び込んできた。
ノックもない突然の侵入者に、私はビクッと肩を震わせて振り返る。
「朝早くから出掛けたと思ったら、そんなものを・・・」
「ささっ、僕は記入済み捺印済みだよ。和紗も・・・」
「書きませんよ」
と私がバッサリ言うと、五条さんは愕然として問い詰めて来た。
「どうして!?プロポーズ受け入れてくれたよね!?」
「・・・ですけど、今すぐ結婚するとは言ってません」
「僕は今すぐのつもりなんだけど」
「無理ですよ」
「何が無理なの」
「・・・・・・」
私は五条さんが手にしている婚姻届に目を遣った。
「・・・そこに『その他』って欄があるでしょ」
「ん?ああ、うん」
「・・・私はまだ未成年です。だから、その欄にお父さんに結婚を認めるというを記入してもらわないと・・・」
「えっ。そーなの!?」
「・・・・・・」
下調べもせず、勢いだけで取りに行ったんだな・・・。
と半ば呆れていると、
「・・・お父さんに会いたくないから?」
と、五条さんが訊いてきた。
「・・・・・・」
「それなら僕ひとりで書いてもらうようにお願いしに行くけど」
「そんなことしなくていいです。それよりも私、五条さんのご実家に挨拶してないし」
「そんなこと入籍の後でいいよー」
「よくないですよ。それに、それに・・・」
「・・・・・・」
ずっと煮え切らない私の態度に、五条さんは小さく溜息を吐くと、婚姻届を折りたたんでポケットに仕舞い込んだ。
そして、
「どうしたの?何か気掛かりなことがあるなら話して」
と、両手で俯く私の頬を包み込んで顔を上げさせた。
視線がぶつかると、五条さんは「ん?」と首を傾げて促す。
「・・・私は、まだ何者でもないから」
私はおずおずと口を開いた。
「だから、せめて学校を卒業して、一人前でなくても和菓子職人になってからでないと、五条家の敷居は跨げません」
すると五条さんは目をパチクリした後、フッと小さく笑って、
「バカだなぁ」
と、額を私の額にコツンとくっつけた。
と、陵先生が言った。
それを聞いて、祐平さんと陵先生のお母さん、そして私は、
「「「えぇっ!?」」」
と、驚きの声を上げる。
「いやいや、なんで和紗ちゃんがビックリしてんの」
「み、陵先生、どうしてその事を・・・!」
祐平さんのツッコミを無視して、私は陵先生を問い詰めた。
すると陵先生は「話しちゃダメだったのかな」というような顔しながら答える。
「え、五条さんから電話があって教えてくれたんだ。鶴來さんと入籍したって・・・」
するとそこへ。
「鶴來ちゃんが入籍!?」
チラシ配りを終えて、モイちゃんと大野君が戻って来た。
「あ、お疲れ様。下井さんに大野君」
「陵センセ!入籍って、鶴來ちゃんと誰が!?」
「あ、五条さんと・・・って、下井さんは五条さんと面識あるのかな?」
「あるあるー!メチャクチャ会ったことあるー!」
するとモイちゃんはぐるっとこちらを振り向いて、今度は私が問い詰められる。
「やっぱり五条さんはお婿さんやったんやー!何がお向かいさんやねん、白々しいウソついて黙ってるなんて水臭いな〜、鶴來ちゃん!」
「ち、違うの。別にウソなんか。それに・・・」
私は声を張って言った。
「婚約しただけで、入籍はまだです!」
・・・事は、鎌倉から帰ってから次の日に遡る。
「和紗ーっ、役所で婚姻届もらってきたよーっ。これで晴れて今日から君は五条和紗だよーっ」
と、紙切れ一枚を手に五条さんが私の部屋に飛び込んできた。
ノックもない突然の侵入者に、私はビクッと肩を震わせて振り返る。
「朝早くから出掛けたと思ったら、そんなものを・・・」
「ささっ、僕は記入済み捺印済みだよ。和紗も・・・」
「書きませんよ」
と私がバッサリ言うと、五条さんは愕然として問い詰めて来た。
「どうして!?プロポーズ受け入れてくれたよね!?」
「・・・ですけど、今すぐ結婚するとは言ってません」
「僕は今すぐのつもりなんだけど」
「無理ですよ」
「何が無理なの」
「・・・・・・」
私は五条さんが手にしている婚姻届に目を遣った。
「・・・そこに『その他』って欄があるでしょ」
「ん?ああ、うん」
「・・・私はまだ未成年です。だから、その欄にお父さんに結婚を認めるというを記入してもらわないと・・・」
「えっ。そーなの!?」
「・・・・・・」
下調べもせず、勢いだけで取りに行ったんだな・・・。
と半ば呆れていると、
「・・・お父さんに会いたくないから?」
と、五条さんが訊いてきた。
「・・・・・・」
「それなら僕ひとりで書いてもらうようにお願いしに行くけど」
「そんなことしなくていいです。それよりも私、五条さんのご実家に挨拶してないし」
「そんなこと入籍の後でいいよー」
「よくないですよ。それに、それに・・・」
「・・・・・・」
ずっと煮え切らない私の態度に、五条さんは小さく溜息を吐くと、婚姻届を折りたたんでポケットに仕舞い込んだ。
そして、
「どうしたの?何か気掛かりなことがあるなら話して」
と、両手で俯く私の頬を包み込んで顔を上げさせた。
視線がぶつかると、五条さんは「ん?」と首を傾げて促す。
「・・・私は、まだ何者でもないから」
私はおずおずと口を開いた。
「だから、せめて学校を卒業して、一人前でなくても和菓子職人になってからでないと、五条家の敷居は跨げません」
すると五条さんは目をパチクリした後、フッと小さく笑って、
「バカだなぁ」
と、額を私の額にコツンとくっつけた。