第24話 藍色好きさ
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「これって、ひょっとして五条さんの子供の頃の身長を記録したものですか?」
私はその柱に近づき、そっとその印に触れた。
五条さんはリラックスした様子で畳の上にゴロンと横になりながら、
「うん、そう。懐かしいな」
と言った。
私はなんだか嬉しくなって、その印のひとつひとつに触れながらふっと微笑んだ。
「五条さんって小さな頃から背が高いと思ってたけれど、これを見たらそうでもなかったみたいですね」
「あー、そうだねぇ。中学に上がった辺りで急激に伸びたかなぁ」
「・・・五条さんって、どんな子どもだったんですか?」
「え~。それ、僕に訊くの~?」
と戸惑いつつも、五条さんは仰向けになって天井を見上げながらしばらく考え込んだ後、
「御三家のひとつ五条家の待望の嫡男。しかも、数百年ぶりの『六眼』と『無下限呪術』の抱き合わせ。そんなだから、そりゃあ両親も含めて周りにチヤホヤされて育って、さぞかしイヤなクソガキだったんじゃない?」
と言った。
「それじゃ今とそんなに変わってないですね」
「・・・それ冗談だよね?本気だったら、さすがの僕も泣くよ?」
「・・・冗談です、もちろん・・・」
私は取り繕うように更に質問した。
「じゃあ、そんなクソガキだった五条さんが成長したのって何かきっかけがあったんですか?」
「・・・・・・」
すると、五条さんは天井の一点を見据えたまま、更にさっきより長く考え込んだ。
「・・・呪術高専に入学して、ひとりのヘンな前髪の男に出会った。そいつは、そんな五条家のクソガキに対しても、臆することなくズケズケ言いたいことを言い放った。『呪術は非術師を守るためにある』だとか、『一人称が“俺”っていうのは威圧感があって良くない』だとか、小煩いったらなくってさ」
そう話しながらも、五条さんはどこか楽しそうに微笑んでいた。
きっと、五条さんの『親友』のことを話しているんだ。
(しかし、ヘンな前髪って・・・)
一体どんなのだったんだろうと想像している間にも、五条さんは続けた。
「そんな優等生ぶってるクセに、こっちの挑発にすぐ乗ってケンカふっかけてくるわ、街の不良に絡まれてスルーすりゃいいのにフルボッコにするわ、血の気が多い奴でさぁ」
「・・・・・・」
「でも、一緒に沢山の任務をこなして、沢山バカやって学長にゲンコツくらって、沢山笑った。でも、」
「・・・でも?」
「アイツは、この世界では一度も心から笑えなかったって言ってたな」
そう話した時、五条さんの顔から微笑みが消えていた。
「・・・・・・」
それを聞いて、私は何も言えなくなった。
五条さんもそれきり口を閉ざして、しばらくの間沈黙が続いた。
「・・・それでも」
しばらくして、五条さんは起き上がって言った。
「僕が成長出来たのは、傑に会えたからだよ」
「すぐる・・・」
それが五条さんの親友の名前。
この時、ようやくその人の名前を私は知った。
もっと話を聞いていたかったけれど、五条さんはニコリと笑ってから違う話題を切り出した。
「さ、そろそろ風呂貯まってるよ。入ってきたら?」
「うっ」
その瞬間、一気に私は現実に引き戻された。
「ご、五条さん先に入ってください。私、長風呂だからお湯冷めちゃうし・・・」
「そぉ?じゃ、先にパパっと入って来るね」
と言って、五条さんは立ちあがった。
そうして部屋を出て行く間際、ふとこちらを振り返り、
「・・・逃げちゃダメだよ」
と念を押すように言い残して、ピシャリと襖を閉めた。
「~~~~っっっ!!」
その途端、私は緊張感は一気にマックス最大値まで跳ね上がった。
(ど、どうしようっ!や、今更どうしようもないことはわかってるんだけど!お、落ち着いて・・・深呼吸・・・)
と、ス~っハ~っと深呼吸を繰り返す。
だけど。
(だ、だめだ!!)
余計にドキドキしてきた!
(何か気を紛らわせるもの・・・。テレビ・・・テレビがないっ!ほ、他に何か・・・)
そこでふと、先程の柱に刻まれた五条さんの身長の成長の印が目についた。
(そうだ。この印を一番古い日付のものから見ていこう!これで少しは気が紛れる・・・!)
と、柱にかじりつく様にして印に目を落とした。
私はその柱に近づき、そっとその印に触れた。
五条さんはリラックスした様子で畳の上にゴロンと横になりながら、
「うん、そう。懐かしいな」
と言った。
私はなんだか嬉しくなって、その印のひとつひとつに触れながらふっと微笑んだ。
「五条さんって小さな頃から背が高いと思ってたけれど、これを見たらそうでもなかったみたいですね」
「あー、そうだねぇ。中学に上がった辺りで急激に伸びたかなぁ」
「・・・五条さんって、どんな子どもだったんですか?」
「え~。それ、僕に訊くの~?」
と戸惑いつつも、五条さんは仰向けになって天井を見上げながらしばらく考え込んだ後、
「御三家のひとつ五条家の待望の嫡男。しかも、数百年ぶりの『六眼』と『無下限呪術』の抱き合わせ。そんなだから、そりゃあ両親も含めて周りにチヤホヤされて育って、さぞかしイヤなクソガキだったんじゃない?」
と言った。
「それじゃ今とそんなに変わってないですね」
「・・・それ冗談だよね?本気だったら、さすがの僕も泣くよ?」
「・・・冗談です、もちろん・・・」
私は取り繕うように更に質問した。
「じゃあ、そんなクソガキだった五条さんが成長したのって何かきっかけがあったんですか?」
「・・・・・・」
すると、五条さんは天井の一点を見据えたまま、更にさっきより長く考え込んだ。
「・・・呪術高専に入学して、ひとりのヘンな前髪の男に出会った。そいつは、そんな五条家のクソガキに対しても、臆することなくズケズケ言いたいことを言い放った。『呪術は非術師を守るためにある』だとか、『一人称が“俺”っていうのは威圧感があって良くない』だとか、小煩いったらなくってさ」
そう話しながらも、五条さんはどこか楽しそうに微笑んでいた。
きっと、五条さんの『親友』のことを話しているんだ。
(しかし、ヘンな前髪って・・・)
一体どんなのだったんだろうと想像している間にも、五条さんは続けた。
「そんな優等生ぶってるクセに、こっちの挑発にすぐ乗ってケンカふっかけてくるわ、街の不良に絡まれてスルーすりゃいいのにフルボッコにするわ、血の気が多い奴でさぁ」
「・・・・・・」
「でも、一緒に沢山の任務をこなして、沢山バカやって学長にゲンコツくらって、沢山笑った。でも、」
「・・・でも?」
「アイツは、この世界では一度も心から笑えなかったって言ってたな」
そう話した時、五条さんの顔から微笑みが消えていた。
「・・・・・・」
それを聞いて、私は何も言えなくなった。
五条さんもそれきり口を閉ざして、しばらくの間沈黙が続いた。
「・・・それでも」
しばらくして、五条さんは起き上がって言った。
「僕が成長出来たのは、傑に会えたからだよ」
「すぐる・・・」
それが五条さんの親友の名前。
この時、ようやくその人の名前を私は知った。
もっと話を聞いていたかったけれど、五条さんはニコリと笑ってから違う話題を切り出した。
「さ、そろそろ風呂貯まってるよ。入ってきたら?」
「うっ」
その瞬間、一気に私は現実に引き戻された。
「ご、五条さん先に入ってください。私、長風呂だからお湯冷めちゃうし・・・」
「そぉ?じゃ、先にパパっと入って来るね」
と言って、五条さんは立ちあがった。
そうして部屋を出て行く間際、ふとこちらを振り返り、
「・・・逃げちゃダメだよ」
と念を押すように言い残して、ピシャリと襖を閉めた。
「~~~~っっっ!!」
その途端、私は緊張感は一気にマックス最大値まで跳ね上がった。
(ど、どうしようっ!や、今更どうしようもないことはわかってるんだけど!お、落ち着いて・・・深呼吸・・・)
と、ス~っハ~っと深呼吸を繰り返す。
だけど。
(だ、だめだ!!)
余計にドキドキしてきた!
(何か気を紛らわせるもの・・・。テレビ・・・テレビがないっ!ほ、他に何か・・・)
そこでふと、先程の柱に刻まれた五条さんの身長の成長の印が目についた。
(そうだ。この印を一番古い日付のものから見ていこう!これで少しは気が紛れる・・・!)
と、柱にかじりつく様にして印に目を落とした。