第24話 藍色好きさ

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糠田が森の女型呪霊

そんなこんなで、その週末。

「やっぱり、鎌倉紅谷のクルミッ子は外せないですよね~。鎌倉小川軒のレーズンウィッチも!あっ!鎌倉いとこのきんつばと、輪心の輪心バウムも!」

鎌倉に向かう電車の中で、私のワクワクは留まることを知らない。

「あとは何と言っても、鳩サブレ―!これも外せないですよね!」
「鳩サブレ―?別にどこでも買えるじゃない」

と、五条さんが訝し気に言った。
すかさず私は「ふふふ」とほくそ笑みながら返す。

「鎌倉の本店には、本店でしか買えない限定パッケージがあるんですよ~」
「むむっ。そうなの?」
「それに、あの鳩をモチーフにしたグッズも販売してるんですよ。それがまたすごく可愛いんです!色々買い漁っちゃおうと思って!」
「へぇ~。商売上手だねぇ」
「・・・・・・」

そこで、私はふと思いついた。

「『あけづる』の焼印の鶴のキャラクターグッズを制作して『つるぎ庵』で販売したら売れるかな・・・」
和紗って意外と野心家だよね~。でも、そういうとこがスキ」
「あっ、海!」

五条さんの言うことをスルーして、私は車窓の外に目を遣った。
東京から鎌倉まで思った以上に近くて、あっという間に到着した。

「あー、懐かしいなぁ」

と、駅を降りるなり五条さんが言った。

「懐かしい?」

私が聞き返すと、五条さんは答えた。

「五条家の別荘が鎌倉にあんの。子どもだった頃、よく連れてこられたなぁって思い出して」
「別荘ですか」
「うん。泊まろうと思えばいつでも泊まれるよ」
「え・・・」

五条さんは何の気なしに言ったことに、私はドキッとしてしまった。

(いやいや。日帰りだし!お泊まりの用意してないし!っていうか、お泊まりでドキドキなんて今更?)

和紗
「は、はいっ」

呼びかけられて、私は我に返った。
振り向くと、五条さんがイタズラな笑みを浮かべながら、サングラス越しに私の顔を覗き込んでいる。

「今、お泊りと思ってドキドキしてたでしょ?」
「なっ・・・」
「僕は構わないよー。和紗にその気があるならねー」
「・・・その気って何の気ですか」
「え~。そんなの僕の口から言えないよ~」
「私はその気も何もないです!っていうか五条さん、海より深く反省してるんでしょ!」
「うっ。それを言われると」
「さっ。くだらない話はここまでにして早く行きましょう!行きたいところ沢山あるんだから」

と、私はさっさと歩き出す。
その後ろを五条さんが「待ってよ~」なんて言いながら悠々とついてくる。

まず向かうのは、鎌倉のランドマークである鶴岡八幡宮。
境内には彼岸花が沢山咲いていたけれど、

「紅葉にはまだ早かったかぁ」

と、青々とした木の枝先を見上げながら私は少し残念と呟いた。
すると、五条さんが言った。

「そうだねぇ。まだ10月だしねぇ。紅葉は来月じゃないかな」
「きっと綺麗なんだろうなぁ。社の朱色と相まって」
「また観に来たらいいじゃない」

そう言いながら五条さんは私の手を握って、

「お楽しみを一気に味わってしまうのってもったいないじゃない」

と、指と指を絡めた。

「さ、お参りに行こうか~」

そして、私の手を引き歩き出す。

「・・・・・・」

嬉しさと、気恥ずかしさと、緊張感が混ざり合って、私は複雑な表情だ。
でも、私は幸せだ。

(・・・神様)

本宮に辿り着き、私はそっと祈った。

(これ以上の幸せはなくてもいい。でも、今のこの幸せがずっと続きますように)



「し、幸せ〜っ!」

鶴岡八幡宮を参拝した後、小町通で食べ歩きする。
甘いものからしょっぱいもの、何でもござれの勢いで、目につくものを買い漁っていく。

「よく食べるねぇ」

という五条さんこそ、両手にいっぱい食べ物を手にしている。
そんな野暮なツッコミはせず、私は言った。

「今日は散策で沢山歩くので、カロリーのカウントはゼロです!(キリッ☆)」

その宣言通り、鎌倉観光は沢山の距離を歩く。
そして次に向かったのは・・・。
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