第24話 藍色好きさ
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奇子と呪詛師・重面に襲撃されて以来、五条さんは本当に全ての任務をキャンセルして、私につきっきりで護衛にあたった。
でも、私たちの間には必要最低限の会話しかない。
もちろん、触れ合うことも一切ない。
こんなに近くでこんなにも長い時間を一緒に過ごしているのに、まるでたまたま居合わせただけの他人同士みたい。
『こんな風には嫌・・・っ』
ボタンを掛け違えたままのシャツを着ているみたいな違和感が、私と五条さんの間に横たわっている。
掛け直せばいいとわかっているのだけれど、私は手を伸ばせずにいた。
五条さんが、そうすることを避けているような気がした。
そんな毎日が続いていたある日、どうしても代わりのきかない任務に五条さんがいかなければならないことになった。
「僕が留守の間は、恵に来てもらうから」
と、五条さんが言った。
それに対して、私は言った。
「そんな・・・大丈夫ですよ。この数日何も起こらなかったし。伏黒君だって忙しいだろうし」
すると、五条さんは呆れたように溜息を吐いた。
「あんな目に遭ったのによくそんな余裕あるね。何も起こらなかったのは、僕がそばにいたからでしょ。それにもうすぐここに着くみたいだし」
そう言った矢先に、インターホンが鳴った。
「お、来たみたいだね」
と、五条さんは玄関に向かった。
私も慌てて玄関に向かう。
五条さんがドアを開けて出迎えると、
「こんにちは」
と、伏黒君が私に向かって言った。
「・・・こんにちは」
私は小さく会釈して返した。
「じゃ、恵。僕が帰るまで頼んだよ」
と、五条さんは玄関に置いてあった鞄を持って、伏黒君と入れ替わるように出て行く。
「行ってきます」
バタンとドアが閉まる。
いってらっしゃいと言う時間も与えられなかった。
「・・・・・・」
少し落胆してその場で立ち尽くしていたら、
「ケンカしたんですか?」
と、伏黒君が単刀直入で聞いてきた。
「え」
私はたじろぐ。
「ど、どうしてそう思うの」
「いや・・・。出て行く前の、五条先生のアッサリした態度・・・。いつもならきっと鶴來さんにベタベタしてから出掛けるだろうに」
「・・・・・・(よくご存じで)」
「それに、どこかギクシャクしてた」
「・・・・・・」
本当に伏黒君は察しが良いな。
人のことなんて興味ないって顔してるのに。
本当は思いやりがあって、本当は優しいから。
「・・・別にケンカじゃないよ」
私は言った。
「だから、伏黒君は心配しないで」
「・・・いや。別にそんなことは心配してないですけど」
「・・・ドライだね」
「それより、あの糠田が森の女型呪霊に襲撃されたってことの方が心配です」
「・・・・・・」
「あの時の、アイツですよね」
あの時というのは、夏に私が帰省した時、伏黒君は定期巡回で糠田が森に来ていた時のことだ。
「やはり、鶴來さんが『あけづる』を創れるようになるのを警戒してのことなのか」
「・・・・・・」
伏黒君には、本当のことをいうべきなんだろうか。
奇子の狙いは、私を人質にして五条さんを陥れることなんだって。
「・・・あの、伏黒君」
「はい」
私は伏黒君に打ち明けた。
伏黒君の反応はというと、
「なんだそれ」
というものだった。
「まぁ確かに・・・なんだそれって感じだけど」
「いや、鶴來さんにとっては身の危険には違いないんですけど。それは悪手だ」
「あくしゅ?」
「打つべき手ではないということです」
「つまり・・・どういうこと?」
「人質作戦がことを奏したとしても、鶴來さんが解放されるのを見計らって、きっと五条先生は奴らを出し抜く。拗れて奴が鶴來さんに手を出せば、その時点で詰みだ。その怒りで五条さんはこの世を滅ぼす」
「滅ぼすって・・・。そんな大袈裟な」
「大袈裟じゃないです」
伏黒君は言った。
「実際それが出来る力が、五条先生にはあるんですよ」
でも、私たちの間には必要最低限の会話しかない。
もちろん、触れ合うことも一切ない。
こんなに近くでこんなにも長い時間を一緒に過ごしているのに、まるでたまたま居合わせただけの他人同士みたい。
『こんな風には嫌・・・っ』
ボタンを掛け違えたままのシャツを着ているみたいな違和感が、私と五条さんの間に横たわっている。
掛け直せばいいとわかっているのだけれど、私は手を伸ばせずにいた。
五条さんが、そうすることを避けているような気がした。
そんな毎日が続いていたある日、どうしても代わりのきかない任務に五条さんがいかなければならないことになった。
「僕が留守の間は、恵に来てもらうから」
と、五条さんが言った。
それに対して、私は言った。
「そんな・・・大丈夫ですよ。この数日何も起こらなかったし。伏黒君だって忙しいだろうし」
すると、五条さんは呆れたように溜息を吐いた。
「あんな目に遭ったのによくそんな余裕あるね。何も起こらなかったのは、僕がそばにいたからでしょ。それにもうすぐここに着くみたいだし」
そう言った矢先に、インターホンが鳴った。
「お、来たみたいだね」
と、五条さんは玄関に向かった。
私も慌てて玄関に向かう。
五条さんがドアを開けて出迎えると、
「こんにちは」
と、伏黒君が私に向かって言った。
「・・・こんにちは」
私は小さく会釈して返した。
「じゃ、恵。僕が帰るまで頼んだよ」
と、五条さんは玄関に置いてあった鞄を持って、伏黒君と入れ替わるように出て行く。
「行ってきます」
バタンとドアが閉まる。
いってらっしゃいと言う時間も与えられなかった。
「・・・・・・」
少し落胆してその場で立ち尽くしていたら、
「ケンカしたんですか?」
と、伏黒君が単刀直入で聞いてきた。
「え」
私はたじろぐ。
「ど、どうしてそう思うの」
「いや・・・。出て行く前の、五条先生のアッサリした態度・・・。いつもならきっと鶴來さんにベタベタしてから出掛けるだろうに」
「・・・・・・(よくご存じで)」
「それに、どこかギクシャクしてた」
「・・・・・・」
本当に伏黒君は察しが良いな。
人のことなんて興味ないって顔してるのに。
本当は思いやりがあって、本当は優しいから。
「・・・別にケンカじゃないよ」
私は言った。
「だから、伏黒君は心配しないで」
「・・・いや。別にそんなことは心配してないですけど」
「・・・ドライだね」
「それより、あの糠田が森の女型呪霊に襲撃されたってことの方が心配です」
「・・・・・・」
「あの時の、アイツですよね」
あの時というのは、夏に私が帰省した時、伏黒君は定期巡回で糠田が森に来ていた時のことだ。
「やはり、鶴來さんが『あけづる』を創れるようになるのを警戒してのことなのか」
「・・・・・・」
伏黒君には、本当のことをいうべきなんだろうか。
奇子の狙いは、私を人質にして五条さんを陥れることなんだって。
「・・・あの、伏黒君」
「はい」
私は伏黒君に打ち明けた。
伏黒君の反応はというと、
「なんだそれ」
というものだった。
「まぁ確かに・・・なんだそれって感じだけど」
「いや、鶴來さんにとっては身の危険には違いないんですけど。それは悪手だ」
「あくしゅ?」
「打つべき手ではないということです」
「つまり・・・どういうこと?」
「人質作戦がことを奏したとしても、鶴來さんが解放されるのを見計らって、きっと五条先生は奴らを出し抜く。拗れて奴が鶴來さんに手を出せば、その時点で詰みだ。その怒りで五条さんはこの世を滅ぼす」
「滅ぼすって・・・。そんな大袈裟な」
「大袈裟じゃないです」
伏黒君は言った。
「実際それが出来る力が、五条先生にはあるんですよ」
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