第23話 黒い衝動
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
隠そうとしない真っ直ぐな衝動をぶつけられて、私は驚きと惧れで何も言えなくなった。
五条さんは私の手を振りほどくと、シャツと下着に手をかけて一緒にそのままたくし上げた。
「いやっ・・・」
胸がはだけてあらわになる。
「やめて!」
私は右手を上げて五条さんの頬に向けて振りかぶった。
しかし。
「!」
私の手のひらは、五条さんには当たらない。
すると五条さんは、私を見下ろしながらフッと口元に小さく笑みを浮かべた。
「毎回毎回、そんな簡単に僕の事打てると思ってんの?」
「・・・・・・」
「僕の術式が何だったか忘れてた?」
「・・・・・・」
「『みささぎ』のことだって。一見慶太が制御してるように見えるけど、アレは未だに正体不明の危険な存在だ。糠田が森と因縁があるなら尚更・・・」
そう言うと、五条さんは少しの間俯いて、すぐにまた顔を上げた。
「・・・いや、言い訳だな。『みささぎ』のことがなくたって、僕は和紗が慶太と会うのが気に食わない。ふたりが近づくのが嫌なんだ」
「・・・・・・」
「訳がわからないって顔してるね」
五条さんは自嘲気味に笑った。
「でも、僕だってわからないよ。こんな感情は初めてだから」
そう言って、五条さんは私の胸を手のひらでつかむように触れた。
「今はただ、和紗を僕だけのものにしたい」
「・・・・・・」
私は振り上げた手を降ろして、強張る身体中の力を抜いた。
そして、顔を横に逸らし抵抗を辞めて静かに横たわった。
すると、五条さんは私の表情を伺うようにもう一度顔を上げた。
「和紗・・・」
「・・・私は」
私は顔を逸らしたまま言った。
「・・・私は、五条さんのことが好き。好きだけど・・・」
そう言って、五条さんの方に視線を向けた。
「こんな風には嫌・・・っ」
そう言ってしまうと、目からポロポロと涙が零れた。
すると五条さんはハッと息を飲んで、
「・・・ごめん」
と、乱れた私の服を整えた後、身体を起こした。
そして、手を伸ばして私の涙を拭おうとするけれど、
「・・・・・・」
私は顔を逸らしてそれを拒否した。
「・・・・・・」
五条さんは伸ばしたその手をそのまま自分の方へ戻し、クシャリと髪の毛を掴んでうつむいた。
しばらく沈黙が続いた後、
「・・・本当にごめん。どうかしてた」
と、五条さんは言った。
「・・・・・・」
私は顔を逸らしたまま、返事をすることが出来なかった。
五条さんは髪を掴んだ手を再び私の方へ伸ばし、今度は私の手に触れた。
私の気持ちを伺うように、指先だけにそっと。
「・・・・・・」
顔は見れないままだけれど、私はその手を握り返した。
すると、五条さんが少しホッとしたのが伝わってきた。
私は五条さんが好き。
誰よりも愛しくて、大切な人。
だけど、時々顔を覗かせる黒い衝動が怖い。
『額多之君』と対峙した時も。
陵先生を尋問した時も。
あの黒い衝動は、他にも見たことがある。
そうだ、『両面宿儺』だ。
宿儺に組み敷かれた時、同じものを私は目にした。
天災と同様に畏れられた呪いの王。
五条さんもいつか、あのような人ならざるものになってしまうのではないだろうか。
ふと、そんな不安が思い浮かんだ。
「・・・・・・」
五条さんが私の手を握り返す。
まだ顔は見せられないままだけれど、私はより強く五条さんの手を握り返した。
こわい。
だけど、どこにもいかないで。
私から離れないで。
そんな気持ちと願いに揺れながら、私たちはそのまま手を繋ぎ続けていた。
つづく
五条さんは私の手を振りほどくと、シャツと下着に手をかけて一緒にそのままたくし上げた。
「いやっ・・・」
胸がはだけてあらわになる。
「やめて!」
私は右手を上げて五条さんの頬に向けて振りかぶった。
しかし。
「!」
私の手のひらは、五条さんには当たらない。
すると五条さんは、私を見下ろしながらフッと口元に小さく笑みを浮かべた。
「毎回毎回、そんな簡単に僕の事打てると思ってんの?」
「・・・・・・」
「僕の術式が何だったか忘れてた?」
「・・・・・・」
「『みささぎ』のことだって。一見慶太が制御してるように見えるけど、アレは未だに正体不明の危険な存在だ。糠田が森と因縁があるなら尚更・・・」
そう言うと、五条さんは少しの間俯いて、すぐにまた顔を上げた。
「・・・いや、言い訳だな。『みささぎ』のことがなくたって、僕は和紗が慶太と会うのが気に食わない。ふたりが近づくのが嫌なんだ」
「・・・・・・」
「訳がわからないって顔してるね」
五条さんは自嘲気味に笑った。
「でも、僕だってわからないよ。こんな感情は初めてだから」
そう言って、五条さんは私の胸を手のひらでつかむように触れた。
「今はただ、和紗を僕だけのものにしたい」
「・・・・・・」
私は振り上げた手を降ろして、強張る身体中の力を抜いた。
そして、顔を横に逸らし抵抗を辞めて静かに横たわった。
すると、五条さんは私の表情を伺うようにもう一度顔を上げた。
「和紗・・・」
「・・・私は」
私は顔を逸らしたまま言った。
「・・・私は、五条さんのことが好き。好きだけど・・・」
そう言って、五条さんの方に視線を向けた。
「こんな風には嫌・・・っ」
そう言ってしまうと、目からポロポロと涙が零れた。
すると五条さんはハッと息を飲んで、
「・・・ごめん」
と、乱れた私の服を整えた後、身体を起こした。
そして、手を伸ばして私の涙を拭おうとするけれど、
「・・・・・・」
私は顔を逸らしてそれを拒否した。
「・・・・・・」
五条さんは伸ばしたその手をそのまま自分の方へ戻し、クシャリと髪の毛を掴んでうつむいた。
しばらく沈黙が続いた後、
「・・・本当にごめん。どうかしてた」
と、五条さんは言った。
「・・・・・・」
私は顔を逸らしたまま、返事をすることが出来なかった。
五条さんは髪を掴んだ手を再び私の方へ伸ばし、今度は私の手に触れた。
私の気持ちを伺うように、指先だけにそっと。
「・・・・・・」
顔は見れないままだけれど、私はその手を握り返した。
すると、五条さんが少しホッとしたのが伝わってきた。
私は五条さんが好き。
誰よりも愛しくて、大切な人。
だけど、時々顔を覗かせる黒い衝動が怖い。
『額多之君』と対峙した時も。
陵先生を尋問した時も。
あの黒い衝動は、他にも見たことがある。
そうだ、『両面宿儺』だ。
宿儺に組み敷かれた時、同じものを私は目にした。
天災と同様に畏れられた呪いの王。
五条さんもいつか、あのような人ならざるものになってしまうのではないだろうか。
ふと、そんな不安が思い浮かんだ。
「・・・・・・」
五条さんが私の手を握り返す。
まだ顔は見せられないままだけれど、私はより強く五条さんの手を握り返した。
こわい。
だけど、どこにもいかないで。
私から離れないで。
そんな気持ちと願いに揺れながら、私たちはそのまま手を繋ぎ続けていた。
つづく
16/16ページ