第23話 黒い衝動
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「・・・その奇子ってヤツの目的は明らかだ。自分を封じ込める『あけづる』を創る可能性のある和紗を亡き者にすることだろうね」
五条さんは言った。
「だけど、それを呪詛師が一緒に組んでって聞くと疑問は残る。呪詛師が人間を襲うのは、ほとんどが金絡みだ。だけど、呪霊と組んだって金をもらえるわけでもない。背後に他に黒幕がいるか、他に目的があるのかもしれない」
「・・・・・・」
その時、私は自分の顔が凍り付くのがわかった。
『五条悟を陥れるためよ』
それが、奴らの目的だから。
奴らの真の狙いは、私じゃなくて五条さんの方だ。
「大丈夫?」
五条さんに声を掛けられて、私はハッと顔を上げた。
視線がぶつかる。
すると、五条さんは私の方に手を伸ばして私の頬に触れた。
「顔色が悪い。まあ、仕方ないけど」
「・・・・・・」
「心配しなくてもいいよ。和紗のそばには僕がいるんだから」
そう言って、五条さんはニッと笑みを浮かべた。
「今日は僕のマンションに一緒に帰ろう。その方が安全だ」
「・・・・・・」
私は小さくコクリと頷いた。
それから喫茶店を出て、タクシーで五条さんのマンションに向かった。
久しぶりに戻った五条さんのマンションは、私がいた頃の生活感が抜けて、初めて訪れた時の様に無機質な空間に戻っていた。
それでも、まるで実家に帰った時のような安心感がある。
リビングにあるソファに腰かけて、
「このソファに座ると、ホッとする」
と、私は笑った。
五条さんも私の隣に腰をかけて、
「さっきは『今日は』って言ったけど」
と、話を切り出した。
「しばらくの間はここにいた方が良い。むしろ、ずっとここにいたらいい」
「そんな訳には・・・」
「だって、またいつ今日の連中が襲ってくるかわからないでしょ」
「でも・・・」
すると、五条さんはおもむろにスマホを取り出して電話をかけ始めた。
「もしもし、伊地知~?」
その電話の相手は伊地知さんのようだ。
そして、
「あのさぁ、僕の向こう一か月の任務、全部キャンセルしてくれない?」
と、言い放った。
その言葉に、私は驚いて目を見張った。
もちろん伊地知さんも同様で、大きな声で「えっ!?」と言うのが電話から聞こえた。そして、困惑した口ぶりで五条さんにアレコレ話しているのが引き続き聞こえてきた。
それは出来ない、と説得しているのだろう。
五条さんの要求が無茶苦茶なことは、私でもわかる。
「無茶じゃないよ。任務なら他のみんなに割り振ったらいいでしょ?え、僕にしか対応できない任務?大丈夫っしょー。多少無理した方が呪術師として成長できるよ。じゃっ、僕はとりあえず一か月休むから調整ヨロシク~」
と、まだ伊地知さんが話しているのに電話を切ってしまった。
「五条さんっ」
私は慌てて言った。
「任務をキャンセルするって、どうしてそんなことを・・・!」
「どうしてって、和紗の傍にいて護るためだよ」
「ダメですよ・・・!五条さんの助けを必要としている人は沢山いるんだから」
「それよりも僕にとっては和紗の方が大事」
「私は大丈夫だから・・・」
「僕は大丈夫じゃないよ」
と言いながら、五条さんは目隠しを引き下ろし真っ直ぐに私の目を見つめた。
「悔しくて、ムカついて、やりきれない」
「・・・・・・」
その目に、どこか自責の念を感じる。
「僕が見ず知らずの他人を助けてる時に、和紗が危険な目に遭ってて、それを助けたのが、慶太だなんて」
「・・・・・・」
「ほんと、自分が何やってんだと思うよ」
「そんな・・・」
私は五条さんから視線を逸らしながら言った。
「そんな自分を責めるようなこと、言わないで。五条さんに何も落ち度はないんだから。五条さんは呪いに苦しめられてる人を助けるのが役目だもの。自分の役目を果たしてただけ・・・」
「だから、そんなことじゃないんだよ」
強い語気に、私はビクッと小さく震えた。
見返すと、五条さんは冷たい目をして言った。
「僕にとって、和紗以外の人間なんてどうでもいい。和紗を護れなきゃ意味なんてない」
五条さんは言った。
「だけど、それを呪詛師が一緒に組んでって聞くと疑問は残る。呪詛師が人間を襲うのは、ほとんどが金絡みだ。だけど、呪霊と組んだって金をもらえるわけでもない。背後に他に黒幕がいるか、他に目的があるのかもしれない」
「・・・・・・」
その時、私は自分の顔が凍り付くのがわかった。
『五条悟を陥れるためよ』
それが、奴らの目的だから。
奴らの真の狙いは、私じゃなくて五条さんの方だ。
「大丈夫?」
五条さんに声を掛けられて、私はハッと顔を上げた。
視線がぶつかる。
すると、五条さんは私の方に手を伸ばして私の頬に触れた。
「顔色が悪い。まあ、仕方ないけど」
「・・・・・・」
「心配しなくてもいいよ。和紗のそばには僕がいるんだから」
そう言って、五条さんはニッと笑みを浮かべた。
「今日は僕のマンションに一緒に帰ろう。その方が安全だ」
「・・・・・・」
私は小さくコクリと頷いた。
それから喫茶店を出て、タクシーで五条さんのマンションに向かった。
久しぶりに戻った五条さんのマンションは、私がいた頃の生活感が抜けて、初めて訪れた時の様に無機質な空間に戻っていた。
それでも、まるで実家に帰った時のような安心感がある。
リビングにあるソファに腰かけて、
「このソファに座ると、ホッとする」
と、私は笑った。
五条さんも私の隣に腰をかけて、
「さっきは『今日は』って言ったけど」
と、話を切り出した。
「しばらくの間はここにいた方が良い。むしろ、ずっとここにいたらいい」
「そんな訳には・・・」
「だって、またいつ今日の連中が襲ってくるかわからないでしょ」
「でも・・・」
すると、五条さんはおもむろにスマホを取り出して電話をかけ始めた。
「もしもし、伊地知~?」
その電話の相手は伊地知さんのようだ。
そして、
「あのさぁ、僕の向こう一か月の任務、全部キャンセルしてくれない?」
と、言い放った。
その言葉に、私は驚いて目を見張った。
もちろん伊地知さんも同様で、大きな声で「えっ!?」と言うのが電話から聞こえた。そして、困惑した口ぶりで五条さんにアレコレ話しているのが引き続き聞こえてきた。
それは出来ない、と説得しているのだろう。
五条さんの要求が無茶苦茶なことは、私でもわかる。
「無茶じゃないよ。任務なら他のみんなに割り振ったらいいでしょ?え、僕にしか対応できない任務?大丈夫っしょー。多少無理した方が呪術師として成長できるよ。じゃっ、僕はとりあえず一か月休むから調整ヨロシク~」
と、まだ伊地知さんが話しているのに電話を切ってしまった。
「五条さんっ」
私は慌てて言った。
「任務をキャンセルするって、どうしてそんなことを・・・!」
「どうしてって、和紗の傍にいて護るためだよ」
「ダメですよ・・・!五条さんの助けを必要としている人は沢山いるんだから」
「それよりも僕にとっては和紗の方が大事」
「私は大丈夫だから・・・」
「僕は大丈夫じゃないよ」
と言いながら、五条さんは目隠しを引き下ろし真っ直ぐに私の目を見つめた。
「悔しくて、ムカついて、やりきれない」
「・・・・・・」
その目に、どこか自責の念を感じる。
「僕が見ず知らずの他人を助けてる時に、和紗が危険な目に遭ってて、それを助けたのが、慶太だなんて」
「・・・・・・」
「ほんと、自分が何やってんだと思うよ」
「そんな・・・」
私は五条さんから視線を逸らしながら言った。
「そんな自分を責めるようなこと、言わないで。五条さんに何も落ち度はないんだから。五条さんは呪いに苦しめられてる人を助けるのが役目だもの。自分の役目を果たしてただけ・・・」
「だから、そんなことじゃないんだよ」
強い語気に、私はビクッと小さく震えた。
見返すと、五条さんは冷たい目をして言った。
「僕にとって、和紗以外の人間なんてどうでもいい。和紗を護れなきゃ意味なんてない」