第23話 黒い衝動
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(陵先生に奇子のことを知られる訳にはいかない)
そして、これ以上戦いに巻き込むわけにもいかない。
先生はようやく穏やかな日常を送っているのに。
そんなことを考えて押し黙っていたら、
「・・・もしもし」
いつのまにか、陵先生がスマホで電話をかけていた。
そして、その相手は。
「お久しぶりです、五条さん」
「え・・・」
そう、陵先生は五条さんに電話をしていた。
・・・それから、私と陵先生はそのビルを出て目抜き通りにある喫茶店に入った。
入店から間もなくして、
「和紗」
五条さんがやって来た。
「五条さん」
と、陵先生が椅子から立ち上がる。
しかし五条さんは陵先生に目もくれず、私に向かって言った。
「大丈夫?怪我は?」
「大丈夫」
私は答えた。
「陵先生が、助けてくれたから・・・」
すると、五条さんはそこで初めて陵先生の方へ視線を向けた。
「で、和紗を襲った呪詛師と呪霊ってのは?」
と尋ねる五条さんに、陵先生が答える。
「呪詛師の方は、髪をサイドテールに結んだ男です。柄の部分が手の形をした奇妙な剣を持ってました」
「サイドテール?」
「はい。そして、呪霊は・・・虹色の長い髪をした、見た目はまるで人間の女の子のような、呪霊でした」
と陵先生が言ったのを聞いて、五条さんはハッと短く息を飲んだ。
その様子を見て、陵先生は眉をひそめた。
「何か心当たりがあるんですか」
五条さんは口を噤んで思案した後、
「ああ」
と、頷いた。
「サイドテールは最近あった姉妹校交流会の時に呪術高専を襲撃した一味のひとりだ。呪霊の方は・・・」
そう五条さんが言いかけて、私は慌てて五条さんの手に触れてそれを制した。
すると五条さんは私を一瞥した後、
「・・・まっ、慶太が気に掛けることじゃないよ」
とカラッとした口調で言った。
それでも、陵先生はまだ気になるようだった。
「でも・・・」
「それより、『みささぎ』を制御出来てるようだね。良かったよ。ずっと気にしてたんだ」
「あ、はい・・・。おかげさまで」
「で。店の方は大丈夫?今休憩?」
「あっ!」
五条さんに指摘されて、陵先生は大きな声を出した。
「そうだ・・・。急いで戻らないと・・・!試食会の準備・・・!」
アタフタしながらも、陵先生は私に言った。
「鶴來さんは、もう大丈夫だよね。五条さんが来てくれたし」
「・・・・・・」
私は陵先生の顔を見上げた。
それからお礼を言おうと口を開こうとしたら、
「礼を言うよ。和紗を守ってくれて」
と、私より先に五条さんが言った。
すると、陵先生はホッとしたように微笑んだ。
だけどすぐにまたアタフタして、
「あ、コーヒー代・・・。あっ、ど、どうしよう・・・財布持ってきてない・・・」
「いいよ、僕が払っとくから」
五条さんが言った。
「和紗を助けてくれたお礼だよ」
「でも・・」
「ほら、急ぎな」
「・・・じゃあ、お言葉に甘えて」
と、陵先生はペコっと頭を下げた。
「・・・じゃあ。僕はこれで」
そうして、陵先生は店を出て私たちの前から立ち去った。
「・・・さてと」
ドカッと少し荒々しく五条さんは私の隣に座った。
「どうしてこういう状況になったのかってことは後で説明してもらうことにして」
「・・・・・・」
「『糠田が森の女型呪霊』、だよね。和紗が遭遇したのって」
「・・・はい」
私は頷いた。
「・・・あの、一緒にいたサイドテールの呪詛師が高専を襲撃した一味だっていうのは」
「あぁ、歌姫と野薔薇からの報告にあったんだ。特徴が合致する。今回の件のヤツと同一人物だろうね」
「・・・どうして奇子はそんなヤツと組んで・・・」
「奇子?」
「そう名乗ったんです。糠田が森の女型の呪霊が」
すると、五条さんは深刻な表情で黙り込んだ。
そして、これ以上戦いに巻き込むわけにもいかない。
先生はようやく穏やかな日常を送っているのに。
そんなことを考えて押し黙っていたら、
「・・・もしもし」
いつのまにか、陵先生がスマホで電話をかけていた。
そして、その相手は。
「お久しぶりです、五条さん」
「え・・・」
そう、陵先生は五条さんに電話をしていた。
・・・それから、私と陵先生はそのビルを出て目抜き通りにある喫茶店に入った。
入店から間もなくして、
「和紗」
五条さんがやって来た。
「五条さん」
と、陵先生が椅子から立ち上がる。
しかし五条さんは陵先生に目もくれず、私に向かって言った。
「大丈夫?怪我は?」
「大丈夫」
私は答えた。
「陵先生が、助けてくれたから・・・」
すると、五条さんはそこで初めて陵先生の方へ視線を向けた。
「で、和紗を襲った呪詛師と呪霊ってのは?」
と尋ねる五条さんに、陵先生が答える。
「呪詛師の方は、髪をサイドテールに結んだ男です。柄の部分が手の形をした奇妙な剣を持ってました」
「サイドテール?」
「はい。そして、呪霊は・・・虹色の長い髪をした、見た目はまるで人間の女の子のような、呪霊でした」
と陵先生が言ったのを聞いて、五条さんはハッと短く息を飲んだ。
その様子を見て、陵先生は眉をひそめた。
「何か心当たりがあるんですか」
五条さんは口を噤んで思案した後、
「ああ」
と、頷いた。
「サイドテールは最近あった姉妹校交流会の時に呪術高専を襲撃した一味のひとりだ。呪霊の方は・・・」
そう五条さんが言いかけて、私は慌てて五条さんの手に触れてそれを制した。
すると五条さんは私を一瞥した後、
「・・・まっ、慶太が気に掛けることじゃないよ」
とカラッとした口調で言った。
それでも、陵先生はまだ気になるようだった。
「でも・・・」
「それより、『みささぎ』を制御出来てるようだね。良かったよ。ずっと気にしてたんだ」
「あ、はい・・・。おかげさまで」
「で。店の方は大丈夫?今休憩?」
「あっ!」
五条さんに指摘されて、陵先生は大きな声を出した。
「そうだ・・・。急いで戻らないと・・・!試食会の準備・・・!」
アタフタしながらも、陵先生は私に言った。
「鶴來さんは、もう大丈夫だよね。五条さんが来てくれたし」
「・・・・・・」
私は陵先生の顔を見上げた。
それからお礼を言おうと口を開こうとしたら、
「礼を言うよ。和紗を守ってくれて」
と、私より先に五条さんが言った。
すると、陵先生はホッとしたように微笑んだ。
だけどすぐにまたアタフタして、
「あ、コーヒー代・・・。あっ、ど、どうしよう・・・財布持ってきてない・・・」
「いいよ、僕が払っとくから」
五条さんが言った。
「和紗を助けてくれたお礼だよ」
「でも・・」
「ほら、急ぎな」
「・・・じゃあ、お言葉に甘えて」
と、陵先生はペコっと頭を下げた。
「・・・じゃあ。僕はこれで」
そうして、陵先生は店を出て私たちの前から立ち去った。
「・・・さてと」
ドカッと少し荒々しく五条さんは私の隣に座った。
「どうしてこういう状況になったのかってことは後で説明してもらうことにして」
「・・・・・・」
「『糠田が森の女型呪霊』、だよね。和紗が遭遇したのって」
「・・・はい」
私は頷いた。
「・・・あの、一緒にいたサイドテールの呪詛師が高専を襲撃した一味だっていうのは」
「あぁ、歌姫と野薔薇からの報告にあったんだ。特徴が合致する。今回の件のヤツと同一人物だろうね」
「・・・どうして奇子はそんなヤツと組んで・・・」
「奇子?」
「そう名乗ったんです。糠田が森の女型の呪霊が」
すると、五条さんは深刻な表情で黙り込んだ。