第23話 黒い衝動
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「さっき別れた後、すぐに『あけづる』を頂いたんだ」
私の背中を支えたまま、陵先生は言った。
「すぐにでも感想を伝えたいって思って・・・タッパーも返さなきゃって・・・。まだ近くにいるんじゃないかって、追いかけて探してたら、嫌な感じの呪力を感じて、ここに・・・」
「・・・・・・」
私は唖然とした後、
「・・・ぷっ」
思わず吹き出して笑ってしまった。
すると、陵先生は困惑して目を白黒させた。
「え、え・・・?」
「感想なんて・・・電話でもよかったのに。タッパーも・・・いつでもいいのに・・・」
「・・・そ、そうだね」
「・・・でも」
私は今になって恐怖で震える手を握ってなんとか抑え込みながら、私は言葉を続けた。
「・・・陵先生が来てくれなかったら・・・私、今頃・・・」
みんなの力になりたくて、そのために強くなって、自分の身は自分で護るって決めたのに。
真希ちゃんに狗巻君にパンダ君に、あれだけ特訓してもらったのに。
(結局、私は弱いままなんだ)
悔しい。
それに・・・。
『五条悟を陥れるためにね』
私は、五条さんにとっての弱みだと思われている。
ただ私ひとりが襲われて傷つくだけならいい。
だけど、私のせいで五条さんが苦しむことになったら。
(それだけは嫌)
そんなことになるなら私は・・・。
まだ震えが収まらない手をギュッと握りしめ続けていたら、
「・・・・・・っ」
陵先生が、私の背中をトントンと軽くたたいた。
まるで子どもをなだめる時の様に。
驚いて陵先生の顔を見たら、今までにない近い距離で目が合った。
すると陵先生は、
「あ、ご、ごめん。こんな馴れ馴れしくして」
と、手を止めて顔を逸らした。
「ごめん・・・。元気づける言葉をかけたいんだけど、上手い言葉が思い浮かばなくて」
「あ、いえ、あ、ありがとうございます。私なら大丈夫・・・」
するとその時、
『慶太ァ』
私と陵先生の間から『みささぎ』がヌッと顔を出してきた。
それで、私は陵先生から慌てて離れた。
「『みささぎ』」
陵先生は立ち上がり、『みささぎ』の額を撫でた。
「ご苦労様。ありがとう、休んでいいよ」
すると、『みささぎ』はズブズブと地面に溶けるように吸い込まれていくように消えていった。
そして、陵先生は私に尋ねた。
「怪我は?大丈夫?」
「はい。すぐに『反転術式』で治したから・・・」
そこで私はハッとした。
「サトル・・・サトルを探さなくちゃ!」
「え?サトルって・・・」
「五条さんにもらった呪骸なんです。呪霊を追って地下に行ったって・・・」
と、その時。
部屋の入り口からヒョッコリ顔を覗かせて、こちらを伺っているサトルに気がついた。
「サトル!」
と私が呼ぶと、サトルはピョンピョンと跳ねながらこちらに来て、ポスッと私の膝に収まった。
「よかった、無事で・・・」
と、私は小さく震えるサトルの頭を撫でた。
そして、ふと思った。
(そっか。『みささぎ』に怯えて隠れてたのか)
でも、さっきの『みささぎ』は少し違った。
以前の『みささぎ』はいつ暴走するかわからない危うさがあったけど、さっきは陵先生が『みささぎ』をしっかり制御していた。
そんな事を考えていたら、
「鶴來さん、さっきの二人は・・・」
と陵先生が尋ねてきた。
「男の人の方は人間だったけど、女の人の方は呪霊、だよね」
「・・・はい」
私が頷くと、陵先生は驚いた顔をした。
「やはりそうだったんだ・・・。気配が違うからまさかと思ったけど。でも、あんな人間に近い呪霊がいるなんて・・・」
「・・・・・・」
奇子は、『糠田が森の土地の呪い』だ。
糠田が森と『みささぎ』には、何らかの因縁がある可能性がある。
ーーー『ニ、にクイ・・・ぬかタがモリ・・・ガ・・・ニ、くい…』ーーー
それを陵先生に話すことは、制御が出来てるとはいえ、『みささぎ』が暴走する引き金になるかもしれない。
私の背中を支えたまま、陵先生は言った。
「すぐにでも感想を伝えたいって思って・・・タッパーも返さなきゃって・・・。まだ近くにいるんじゃないかって、追いかけて探してたら、嫌な感じの呪力を感じて、ここに・・・」
「・・・・・・」
私は唖然とした後、
「・・・ぷっ」
思わず吹き出して笑ってしまった。
すると、陵先生は困惑して目を白黒させた。
「え、え・・・?」
「感想なんて・・・電話でもよかったのに。タッパーも・・・いつでもいいのに・・・」
「・・・そ、そうだね」
「・・・でも」
私は今になって恐怖で震える手を握ってなんとか抑え込みながら、私は言葉を続けた。
「・・・陵先生が来てくれなかったら・・・私、今頃・・・」
みんなの力になりたくて、そのために強くなって、自分の身は自分で護るって決めたのに。
真希ちゃんに狗巻君にパンダ君に、あれだけ特訓してもらったのに。
(結局、私は弱いままなんだ)
悔しい。
それに・・・。
『五条悟を陥れるためにね』
私は、五条さんにとっての弱みだと思われている。
ただ私ひとりが襲われて傷つくだけならいい。
だけど、私のせいで五条さんが苦しむことになったら。
(それだけは嫌)
そんなことになるなら私は・・・。
まだ震えが収まらない手をギュッと握りしめ続けていたら、
「・・・・・・っ」
陵先生が、私の背中をトントンと軽くたたいた。
まるで子どもをなだめる時の様に。
驚いて陵先生の顔を見たら、今までにない近い距離で目が合った。
すると陵先生は、
「あ、ご、ごめん。こんな馴れ馴れしくして」
と、手を止めて顔を逸らした。
「ごめん・・・。元気づける言葉をかけたいんだけど、上手い言葉が思い浮かばなくて」
「あ、いえ、あ、ありがとうございます。私なら大丈夫・・・」
するとその時、
『慶太ァ』
私と陵先生の間から『みささぎ』がヌッと顔を出してきた。
それで、私は陵先生から慌てて離れた。
「『みささぎ』」
陵先生は立ち上がり、『みささぎ』の額を撫でた。
「ご苦労様。ありがとう、休んでいいよ」
すると、『みささぎ』はズブズブと地面に溶けるように吸い込まれていくように消えていった。
そして、陵先生は私に尋ねた。
「怪我は?大丈夫?」
「はい。すぐに『反転術式』で治したから・・・」
そこで私はハッとした。
「サトル・・・サトルを探さなくちゃ!」
「え?サトルって・・・」
「五条さんにもらった呪骸なんです。呪霊を追って地下に行ったって・・・」
と、その時。
部屋の入り口からヒョッコリ顔を覗かせて、こちらを伺っているサトルに気がついた。
「サトル!」
と私が呼ぶと、サトルはピョンピョンと跳ねながらこちらに来て、ポスッと私の膝に収まった。
「よかった、無事で・・・」
と、私は小さく震えるサトルの頭を撫でた。
そして、ふと思った。
(そっか。『みささぎ』に怯えて隠れてたのか)
でも、さっきの『みささぎ』は少し違った。
以前の『みささぎ』はいつ暴走するかわからない危うさがあったけど、さっきは陵先生が『みささぎ』をしっかり制御していた。
そんな事を考えていたら、
「鶴來さん、さっきの二人は・・・」
と陵先生が尋ねてきた。
「男の人の方は人間だったけど、女の人の方は呪霊、だよね」
「・・・はい」
私が頷くと、陵先生は驚いた顔をした。
「やはりそうだったんだ・・・。気配が違うからまさかと思ったけど。でも、あんな人間に近い呪霊がいるなんて・・・」
「・・・・・・」
奇子は、『糠田が森の土地の呪い』だ。
糠田が森と『みささぎ』には、何らかの因縁がある可能性がある。
ーーー『ニ、にクイ・・・ぬかタがモリ・・・ガ・・・ニ、くい…』ーーー
それを陵先生に話すことは、制御が出来てるとはいえ、『みささぎ』が暴走する引き金になるかもしれない。