第23話 黒い衝動
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「・・・・・・」
指だけはやめて。
でないと、和菓子が創れなくなる。
なのに、抵抗できない。
身体が・・・動かない。
その時だった。
ドガァアン!!
突然コンクリートの壁が破壊されて更に、
『ヌヌ``ヌヴゥヌヌ``・・・』
破壊された壁から、ザラついた強烈な呪いの気配が流れ込んでくるのを感じた。
「・・・・!!」
その気配に、私だけじゃなく奇子も重面も身を強張らせる。
そうして身構えていると、
『ヌ、ウ、ヌ``ウゥウ~・・・』
壁の穴から巨大な呪霊が姿を現した。
(・・・あれは・・・)
それは、見覚えのある呪霊だった。
上半身が筋骨隆々のランプの精のようなシルエット。
鼻腔と大きな口だけののっぺらぼうの顔に、脳味噌が剥き出しになった頭部。
「み・・・」
と、私がその呪霊の名を口にしようとした時だった。
「鶴來さんから離れろ」
呪霊に続いて、陵 先生が現れた。
そう。その呪霊は、特級過呪怨霊『みささぎ』だった。
「な、何なんだよ、オマエ!」
重面は威嚇するように剣を『みささぎ』に向けた。
「呪霊が人間を助けるつもりか!?」
その一方で、
「・・・貴方は」
奇子は、その大きな瞳で陵先生のことをジッと見つめていた。
(・・・『魂の皺』を読んで・・・)
その予測通り、奇子はニヤリと笑って、
「陵慶太」
と、知るはずのない先生の名前を呼んだ。
突然名前を呼ばれて、陵先生はピクリと反応したものの、表情は冷静だった。
「貴方、ずいぶんその怨霊に振り回されてきたのね」
奇子は揺さぶりをかける様に言葉を続けた。
「身に余る強大な呪力を受けて・・・。可哀想に。耐えきれず、貴方のお祖父さんもお父さんも自ら命を絶ったのね」
すると、陵先生は微かに眉を顰めた。
「本当は、貴方も楽になりたいんじゃない?」
奇子はそう言いながら陵先生に近づき、その肩にそっと手をかけて、しなを作りながら寄りかかった。そして、
「私なら苦しまずに済む様に手伝ってあげられるわよ?」
と、耳元で囁いた。
すると陵先生は、
「!」
勢いよく奇子の手を振り払った。
「いったぁ」
振り払われた手を奇子は撫でながら、不機嫌そうに呟いた。
「こんなつれなく断られるのは初めてよ」
「・・・僕は」
陵先生は言った。
「僕は、この力を誰かを護るために使う。そして、自分自身のことも・・・」
そして、キッと強い眼差しで奇子を睨みつけた。
それに呼応する様に、
『ウ"オ"オ"ォオ"オ"オ"!!』
と、『みささぎ』が身体の芯まで響く様な重低音で叫んだ。
その迫力に、奇子と重面も身をすくめる。
しかし、
「うっ」
「今すぐこの呪霊をひっこませろよ!この女の首を斬るぞ!」
重面が倒れている私の髪をまた掴んで顔を上げると、喉元に剣を突きつけた。
すると、陵先生は悔しそうに歯軋りした。
重面はその様子を見て調子づく。
「いーのかな、いーのかなぁ?俺、本気でやっちゃう・・・」
しかしその言葉が終わらぬうちに、
「ぐはぁっ!」
『みささぎ』は脅迫に構わず重面を殴り飛ばした。重面は吹っ飛ばされてコンクリートの壁にめり込んだ後、グッタリと床に倒れ込んだ。
「う・・・うう・・・」
重面はドバドバと鼻血を流しながらフラフラと立ちあがると、窓から身を乗り出した。そして、
「ひ、ひぃいいぃい~」
窓から飛び降りてしまった。
(ここ4階だけど!?)
と唖然としていたら、
「ははっ・・・。助かった。やっぱ俺ってついてる!」
と、重面の声が外から聞こえてきた。
そして、そのまま声は遠ざかっていく。どうやら逃げおおせたらしい。
『ウ"ウゥウ〜〜〜ッ』
『みささぎ』が奇子の方へ顔を向ける。
「こりゃヤバそうね」
そう言いながら、奇子はくるりと踵を返した。
「逃げまぁす♡」
そして、本当にそのまま逃げ出してしまった。
「鶴來さん!」
陵先生が駆けつけて、私をそっと抱き起こした。
「・・・陵、先生・・・。どうして・・・ここに・・・」
と言いながら、陵先生がさっき渡した『あけづる』の入ったタッパーを手にしていることに気づいた。
指だけはやめて。
でないと、和菓子が創れなくなる。
なのに、抵抗できない。
身体が・・・動かない。
その時だった。
ドガァアン!!
突然コンクリートの壁が破壊されて更に、
『ヌヌ``ヌヴゥヌヌ``・・・』
破壊された壁から、ザラついた強烈な呪いの気配が流れ込んでくるのを感じた。
「・・・・!!」
その気配に、私だけじゃなく奇子も重面も身を強張らせる。
そうして身構えていると、
『ヌ、ウ、ヌ``ウゥウ~・・・』
壁の穴から巨大な呪霊が姿を現した。
(・・・あれは・・・)
それは、見覚えのある呪霊だった。
上半身が筋骨隆々のランプの精のようなシルエット。
鼻腔と大きな口だけののっぺらぼうの顔に、脳味噌が剥き出しになった頭部。
「み・・・」
と、私がその呪霊の名を口にしようとした時だった。
「鶴來さんから離れろ」
呪霊に続いて、
そう。その呪霊は、特級過呪怨霊『みささぎ』だった。
「な、何なんだよ、オマエ!」
重面は威嚇するように剣を『みささぎ』に向けた。
「呪霊が人間を助けるつもりか!?」
その一方で、
「・・・貴方は」
奇子は、その大きな瞳で陵先生のことをジッと見つめていた。
(・・・『魂の皺』を読んで・・・)
その予測通り、奇子はニヤリと笑って、
「陵慶太」
と、知るはずのない先生の名前を呼んだ。
突然名前を呼ばれて、陵先生はピクリと反応したものの、表情は冷静だった。
「貴方、ずいぶんその怨霊に振り回されてきたのね」
奇子は揺さぶりをかける様に言葉を続けた。
「身に余る強大な呪力を受けて・・・。可哀想に。耐えきれず、貴方のお祖父さんもお父さんも自ら命を絶ったのね」
すると、陵先生は微かに眉を顰めた。
「本当は、貴方も楽になりたいんじゃない?」
奇子はそう言いながら陵先生に近づき、その肩にそっと手をかけて、しなを作りながら寄りかかった。そして、
「私なら苦しまずに済む様に手伝ってあげられるわよ?」
と、耳元で囁いた。
すると陵先生は、
「!」
勢いよく奇子の手を振り払った。
「いったぁ」
振り払われた手を奇子は撫でながら、不機嫌そうに呟いた。
「こんなつれなく断られるのは初めてよ」
「・・・僕は」
陵先生は言った。
「僕は、この力を誰かを護るために使う。そして、自分自身のことも・・・」
そして、キッと強い眼差しで奇子を睨みつけた。
それに呼応する様に、
『ウ"オ"オ"ォオ"オ"オ"!!』
と、『みささぎ』が身体の芯まで響く様な重低音で叫んだ。
その迫力に、奇子と重面も身をすくめる。
しかし、
「うっ」
「今すぐこの呪霊をひっこませろよ!この女の首を斬るぞ!」
重面が倒れている私の髪をまた掴んで顔を上げると、喉元に剣を突きつけた。
すると、陵先生は悔しそうに歯軋りした。
重面はその様子を見て調子づく。
「いーのかな、いーのかなぁ?俺、本気でやっちゃう・・・」
しかしその言葉が終わらぬうちに、
「ぐはぁっ!」
『みささぎ』は脅迫に構わず重面を殴り飛ばした。重面は吹っ飛ばされてコンクリートの壁にめり込んだ後、グッタリと床に倒れ込んだ。
「う・・・うう・・・」
重面はドバドバと鼻血を流しながらフラフラと立ちあがると、窓から身を乗り出した。そして、
「ひ、ひぃいいぃい~」
窓から飛び降りてしまった。
(ここ4階だけど!?)
と唖然としていたら、
「ははっ・・・。助かった。やっぱ俺ってついてる!」
と、重面の声が外から聞こえてきた。
そして、そのまま声は遠ざかっていく。どうやら逃げおおせたらしい。
『ウ"ウゥウ〜〜〜ッ』
『みささぎ』が奇子の方へ顔を向ける。
「こりゃヤバそうね」
そう言いながら、奇子はくるりと踵を返した。
「逃げまぁす♡」
そして、本当にそのまま逃げ出してしまった。
「鶴來さん!」
陵先生が駆けつけて、私をそっと抱き起こした。
「・・・陵、先生・・・。どうして・・・ここに・・・」
と言いながら、陵先生がさっき渡した『あけづる』の入ったタッパーを手にしていることに気づいた。