第23話 黒い衝動
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「じゃあ、呪霊に襲われてたのもワザと?」
「あー、うん。そぉ」
私の問いかけにサイドテールは頷いた。
「はじめはナンパを装って近づこうと思ったんだけど、奇子がおねえさんはガードが固いから無視されるだけだって。でも、困ってる人を放っておけない性分だって言ってたから」
また『奇子』だ。
私はその人を知らないのに、奇子という人物は私のことを知っているようだ。
「奇子って誰なの!?」
何者かに一方的に知られているという恐怖と、良心を利用されおびき寄せられたという怒りがないまぜになって、きつい口調で私は問いかけた。
しかしサイドテールは答えず、私の右肩の傷を見て、
「治ったね」
と言った。
さっき斬られた傷は『反転術式』で治したのだ。
「おねえさんの攻撃方法は『反転術式』で生み出した『退魔の力』。呪霊にはよく効くけれど、あいにく人間の僕には効かない」
と、サイドテールは握った剣の先を私に向けた。
「かといって、体術が出来るわけでもなさそうだし」
「・・・・・・」
「抵抗出来ないってわかるよね?さ、諦めて俺と一緒に来てよ」
と言いながら、サイドテールはジリジリと距離を詰めて来る。
「いやよ」
私は対峙して言った。
脳裏には、真希ちゃんの教えが響いている。
『肝心なのは、決して背中を見せないこと』
私がキッパリと拒否すると、サイドテールはカチンときたのか一瞬ムッと顔を歪ませた。
しかしすぐにニヤリとして、
「奇子には多少痛めつけてもいいって言われたんだ。おねえさんが『反転術式』を使ったとしても、何度も何度も痛めつけてあげるよ」
と言った。
「・・・・・・」
サイドテールが話している間にも、私ジッとサイドテールの様子をジッと観察していた。
(順手・・・)
サイドテールは順手で剣を持っていた。
(ということは、攻撃範囲は真下から真横の45度・・・)
すると、サイドテールは予測した通り剣を振るった。
その攻撃範囲に入らないように、私は身を翻す。そして、思い切り右足を振り上げてサイドテールの手を蹴り上げた。
「あっ」
サイドテールの手から剣が離れ、そのまま床に落ちてクルクルと回って滑っていく。
「・・・っ!」
その隙に、私は逃げようと走り出す。
しかし。
「あっ!」
駆け出そうと踏み込んだ右足のふくらはぎをザクリと斬られて、私は床に倒れ込んだ。
「・・・っ」
振り返ると、蹴り飛ばしたはずのサイドテールの剣が、柄の手の部分を脚の様にして動いて襲いかかっていた。
「残念。逃げられると思った?」
と、サイドテールは倒れ込んだ私の側に立った。そして、
「うぐっ!」
私の腹部を思い切り蹴り込んだ。
私は腹部を押さえながら身を縮ませ、そのまま動けなくなった。
「・・・っっ」
痛みは勿論のこと、こんな暴力を受けるのは初めてのことで、そのショックの方で身体が動かせなくなったのだ。
「んー♡」
サイドテールはそんな状態の私を見下ろし言った。
「俺、やっぱこういうのが向いてるんだよなぁ。自分よりも弱い人間を相手にする方が」
「・・・・・・」
「特に君みたいな汚れも畏れも知らない様なコが、初めてそれらを知って絶望していく様を見るのが堪らないんだよ・・・っと」
と、サイドテールは私の髪を掴んで顔を引き上げさせた。
「うっ・・・!」
私は唸った。
サイドテールは顔を近づけてまじまじと私の顔を覗き込んだ。
「・・・おねえさん、なかなか可愛いじゃない」
「・・・・・・」
「奇子に引き渡す前に、もう少しいじめちゃおうかな?」
「・・・・・・」
その次の瞬間。
「わっ!?」
私はサイドテールの顔に思い切り唾を吐き付けてやった。
驚いたサイドテールは瞬時に私の髪から手を離し、両手で顔を拭った。
「このっ・・・何するんだよ!?」
その隙に私は立ち上がり、再び走り出した。
斬られた傷と腹部の痛みは、『反転術式』で治した。
出口に向かい、そのまま駆け出て行こうとしたその時だった。
「あー、うん。そぉ」
私の問いかけにサイドテールは頷いた。
「はじめはナンパを装って近づこうと思ったんだけど、奇子がおねえさんはガードが固いから無視されるだけだって。でも、困ってる人を放っておけない性分だって言ってたから」
また『奇子』だ。
私はその人を知らないのに、奇子という人物は私のことを知っているようだ。
「奇子って誰なの!?」
何者かに一方的に知られているという恐怖と、良心を利用されおびき寄せられたという怒りがないまぜになって、きつい口調で私は問いかけた。
しかしサイドテールは答えず、私の右肩の傷を見て、
「治ったね」
と言った。
さっき斬られた傷は『反転術式』で治したのだ。
「おねえさんの攻撃方法は『反転術式』で生み出した『退魔の力』。呪霊にはよく効くけれど、あいにく人間の僕には効かない」
と、サイドテールは握った剣の先を私に向けた。
「かといって、体術が出来るわけでもなさそうだし」
「・・・・・・」
「抵抗出来ないってわかるよね?さ、諦めて俺と一緒に来てよ」
と言いながら、サイドテールはジリジリと距離を詰めて来る。
「いやよ」
私は対峙して言った。
脳裏には、真希ちゃんの教えが響いている。
『肝心なのは、決して背中を見せないこと』
私がキッパリと拒否すると、サイドテールはカチンときたのか一瞬ムッと顔を歪ませた。
しかしすぐにニヤリとして、
「奇子には多少痛めつけてもいいって言われたんだ。おねえさんが『反転術式』を使ったとしても、何度も何度も痛めつけてあげるよ」
と言った。
「・・・・・・」
サイドテールが話している間にも、私ジッとサイドテールの様子をジッと観察していた。
(順手・・・)
サイドテールは順手で剣を持っていた。
(ということは、攻撃範囲は真下から真横の45度・・・)
すると、サイドテールは予測した通り剣を振るった。
その攻撃範囲に入らないように、私は身を翻す。そして、思い切り右足を振り上げてサイドテールの手を蹴り上げた。
「あっ」
サイドテールの手から剣が離れ、そのまま床に落ちてクルクルと回って滑っていく。
「・・・っ!」
その隙に、私は逃げようと走り出す。
しかし。
「あっ!」
駆け出そうと踏み込んだ右足のふくらはぎをザクリと斬られて、私は床に倒れ込んだ。
「・・・っ」
振り返ると、蹴り飛ばしたはずのサイドテールの剣が、柄の手の部分を脚の様にして動いて襲いかかっていた。
「残念。逃げられると思った?」
と、サイドテールは倒れ込んだ私の側に立った。そして、
「うぐっ!」
私の腹部を思い切り蹴り込んだ。
私は腹部を押さえながら身を縮ませ、そのまま動けなくなった。
「・・・っっ」
痛みは勿論のこと、こんな暴力を受けるのは初めてのことで、そのショックの方で身体が動かせなくなったのだ。
「んー♡」
サイドテールはそんな状態の私を見下ろし言った。
「俺、やっぱこういうのが向いてるんだよなぁ。自分よりも弱い人間を相手にする方が」
「・・・・・・」
「特に君みたいな汚れも畏れも知らない様なコが、初めてそれらを知って絶望していく様を見るのが堪らないんだよ・・・っと」
と、サイドテールは私の髪を掴んで顔を引き上げさせた。
「うっ・・・!」
私は唸った。
サイドテールは顔を近づけてまじまじと私の顔を覗き込んだ。
「・・・おねえさん、なかなか可愛いじゃない」
「・・・・・・」
「奇子に引き渡す前に、もう少しいじめちゃおうかな?」
「・・・・・・」
その次の瞬間。
「わっ!?」
私はサイドテールの顔に思い切り唾を吐き付けてやった。
驚いたサイドテールは瞬時に私の髪から手を離し、両手で顔を拭った。
「このっ・・・何するんだよ!?」
その隙に私は立ち上がり、再び走り出した。
斬られた傷と腹部の痛みは、『反転術式』で治した。
出口に向かい、そのまま駆け出て行こうとしたその時だった。