第23話 黒い衝動
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「私より五条さんの方が陵 先生に会ってるんじゃないんですか?『みささぎ』を抑制する修業・・・続けてるんでしょう?」
と、今度は私から質問をした。
「最近は会ってないよ」
依然としてムーッとむくれたまま五条さんは答えた。
「っていうか、夏以来会ってないねぇ。開店準備で忙しいとかで」
「そうなんですか?大丈夫なのかな・・・陵先生」
「大丈夫なんじゃない?連絡ないのが無事の知らせっていうし。むしろこれでいいよ。充実した日常を送って、呪いの事なんか忘れて。そうして呪いから解放されるのが一番だよ」
「・・・・・・」
実際にそうだったら本当に良いけれど。
そんな単純に事が上手く運ぶのかな?
「・・・・・・」
そんな事を考えていたら、ふと五条さんから張り付くような視線に気がついた。
見返すと、五条さんはまだむくれている。
「な、何なんですか」
「・・・・・・」
「ずっとむくれててもわからないんですけど?」
「・・・『あけづる』はさぁ」
「はい?」
「『あけづる』は僕と和紗の縁を結んだ大切なものなんだよ。その大切なものに他の男が絡んでくるのはヤダ」
「ヤダだって言われても・・・」
コドモか。
「それに、和紗が慶太の話をする時、不安になるんだよね」
「・・・・・・」
五条さんらしからぬ言葉に、私は目をパチパチと瞬かせた。
「不安って、どうしてそんなこと」
「僕、意外と心配症なんだよ。いつ和紗が他の男に心変わりしないかって」
「意外でしかないです。絶対自分にベタ惚れで他の人のことは眼中にないって自信満々なのかと思ってました」
「・・・・・・」
すると、ずっとむくれ顔だった五条さんがようやくニッと笑った。
それから手を伸ばして私の腕を掴むと、そのまま自分の方へ引き寄せた。
「それってつまり、和紗が僕にベタ惚れで他のヤツなんか眼中にないってこと?」
「・・・・・・っ」
「そうなの?」
「・・・やっぱり自信満々じゃないですか」
「とんでもない」
そして、五条さんは私を抱き締めた。
「それを和紗の言葉で聞きたいな」
「・・・言わなくてもわかるでしょ」
「わからないよ。でも、こうすれば少しはわかるかも」
そして、五条さんは私にキスをした。
(ベタ惚れとか、他の人が眼中にないとか・・・)
そんな言葉だけじゃ全てを言い表せない。
私の五条さんへの気持ち。
でも、どんな言葉で言い表せばいいのかもわからなくて・・・本当にこのキスで伝わればいいのに。
そんなことを願いながら瞼を閉じていたら、
さわっ
「ん?」
何か違和感を感じて、パチッと目を開いた。
ふと視線を下に向けると、五条さんの右手が私の胸に触れていた。
「何してるんですかーっ!?」
と、私はすぐさま五条さんの手を振り払った。
五条さんは小首をひねりながら言った。
「あれ?ダメだった?」
「ダ、ダメに決まってるでしょ!」
「イケると思ったのになぁ・・・」
「何が!?」
「あ、そうだ。『あけづる』の課題、もうひとつあった」
「・・・何ですか」
すると、五条さんは右手をモミモミと動かしながら言った。
「食感。もっとフニ~っとしてて柔らかくないと」
「・・・最っ低っ・・・」
・・・とはいえ。事実、食感に関してはまだまだ改良の必要性があった。
『あけづる』は口当たりが柔らかで、噛むごとに満足感があって、それでいてさらっと溶けていく。独特な食感だ。
実は、呪力を込めることよりも、この食感を再現することが一番難しいような気がする。
(・・・でも、私が思いつく方法は全部試してみたのに・・・)
五条さんが帰った後、私は製造過程を記録したノートを見返していた。
さっきまでの喜びはつかの間で、今は行き詰ってしまった気分だ。
「・・・・・・」
そんな時、ふと陵先生のことが思い浮かんだ。
と、今度は私から質問をした。
「最近は会ってないよ」
依然としてムーッとむくれたまま五条さんは答えた。
「っていうか、夏以来会ってないねぇ。開店準備で忙しいとかで」
「そうなんですか?大丈夫なのかな・・・陵先生」
「大丈夫なんじゃない?連絡ないのが無事の知らせっていうし。むしろこれでいいよ。充実した日常を送って、呪いの事なんか忘れて。そうして呪いから解放されるのが一番だよ」
「・・・・・・」
実際にそうだったら本当に良いけれど。
そんな単純に事が上手く運ぶのかな?
「・・・・・・」
そんな事を考えていたら、ふと五条さんから張り付くような視線に気がついた。
見返すと、五条さんはまだむくれている。
「な、何なんですか」
「・・・・・・」
「ずっとむくれててもわからないんですけど?」
「・・・『あけづる』はさぁ」
「はい?」
「『あけづる』は僕と和紗の縁を結んだ大切なものなんだよ。その大切なものに他の男が絡んでくるのはヤダ」
「ヤダだって言われても・・・」
コドモか。
「それに、和紗が慶太の話をする時、不安になるんだよね」
「・・・・・・」
五条さんらしからぬ言葉に、私は目をパチパチと瞬かせた。
「不安って、どうしてそんなこと」
「僕、意外と心配症なんだよ。いつ和紗が他の男に心変わりしないかって」
「意外でしかないです。絶対自分にベタ惚れで他の人のことは眼中にないって自信満々なのかと思ってました」
「・・・・・・」
すると、ずっとむくれ顔だった五条さんがようやくニッと笑った。
それから手を伸ばして私の腕を掴むと、そのまま自分の方へ引き寄せた。
「それってつまり、和紗が僕にベタ惚れで他のヤツなんか眼中にないってこと?」
「・・・・・・っ」
「そうなの?」
「・・・やっぱり自信満々じゃないですか」
「とんでもない」
そして、五条さんは私を抱き締めた。
「それを和紗の言葉で聞きたいな」
「・・・言わなくてもわかるでしょ」
「わからないよ。でも、こうすれば少しはわかるかも」
そして、五条さんは私にキスをした。
(ベタ惚れとか、他の人が眼中にないとか・・・)
そんな言葉だけじゃ全てを言い表せない。
私の五条さんへの気持ち。
でも、どんな言葉で言い表せばいいのかもわからなくて・・・本当にこのキスで伝わればいいのに。
そんなことを願いながら瞼を閉じていたら、
さわっ
「ん?」
何か違和感を感じて、パチッと目を開いた。
ふと視線を下に向けると、五条さんの右手が私の胸に触れていた。
「何してるんですかーっ!?」
と、私はすぐさま五条さんの手を振り払った。
五条さんは小首をひねりながら言った。
「あれ?ダメだった?」
「ダ、ダメに決まってるでしょ!」
「イケると思ったのになぁ・・・」
「何が!?」
「あ、そうだ。『あけづる』の課題、もうひとつあった」
「・・・何ですか」
すると、五条さんは右手をモミモミと動かしながら言った。
「食感。もっとフニ~っとしてて柔らかくないと」
「・・・最っ低っ・・・」
・・・とはいえ。事実、食感に関してはまだまだ改良の必要性があった。
『あけづる』は口当たりが柔らかで、噛むごとに満足感があって、それでいてさらっと溶けていく。独特な食感だ。
実は、呪力を込めることよりも、この食感を再現することが一番難しいような気がする。
(・・・でも、私が思いつく方法は全部試してみたのに・・・)
五条さんが帰った後、私は製造過程を記録したノートを見返していた。
さっきまでの喜びはつかの間で、今は行き詰ってしまった気分だ。
「・・・・・・」
そんな時、ふと陵先生のことが思い浮かんだ。