第23話 黒い衝動
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「はい、どうぞ」
と、私は『あけづる』ふたつを載せた皿を五条さんに差し出した。
すかさず五条さんは手を伸ばす。
「いただきまーすっ」
その時だった。『あけづる』のひとつがフルフル震え始めたかと思ったら、
バシュッ
「わぁっ!?」
突然、爆発した。
私は飛び散った皮と餡子まみれになる。
五条さんは無下限バリアで無事だったけれど、
「なにこれ。ドッキリ?思い切り失敗してるけど」
とキョトンとして言った。
「ち、違いますよ」
私は顔についた餡子を拭いながら言った。
「呪力を込めたんです。『反転術式』の正のエネルギーを。やっと出来るようになったと思ったのに・・・」
「あ、そうだったの」
と、五条さんも指先で私の顔についた餡子を拭った。
「以前にも言ったと思うけど、こういう形状が不安定なモノには呪力を留めるのは難しいよ。込めるなら、直前とかにしないとね」
「やっと成功したと思ったのに・・・」
「まだまだだね。さ、味はどうかな」
と言うと、五条さんは私の頬に唇を寄せて、そのまま頬についた餡子をついばんだ。
思いも寄らない行動に、私は驚いて肩をビクッとさせた。
「な、何っ!?」
「味見だよ」
「やだっ!やめてください!」
「なんで?この方が美味しさ倍増だと思うよ?」
「もう一個あるんだからこっちを食べてください!」
「口の中でまた爆発したらヤダも~ん」
「こっちは呪力籠ってませんからっ」
と、私はもうひとつの『あけづる』を掴んで五条さんの口に押し込んだ。
「むぐっ」
五条さんは面食らいながらも、一口モグモグと咀嚼しゴクリと飲み込むと、
「・・・・・・」
そのまま『あけづる』をくわえたまま、呆然として固まってしまった。
そのリアクションに私は戸惑う。
「え、ど、どうしたんですか?」
「・・・・・・」
「そんなに不味いですか!?」
すると五条さんはハッと我に返って、私の顔を見た。
「いや・・・」
と、残りの『あけづる』を口から外して言った。
「ビックリして」
「え?」
「初めて『あけづる』を食べた時のことを思い出した」
「・・・・・・」
つまり、それって・・・。
「まだ課題は残ってるけど、味だけなら完璧じゃないかな」
そう五条さんが言ったのを聞いた時、
「・・・・・・」
私の目から、自然と涙がぽろっと流れた。
そんな自分にびっくりした。
おじいちゃんの味に近づけならば、私は自分がバンザイってはしゃいで喜ぶものだと思っていたから。
「あらら〜?どしたの」
驚いていたのは、五条さんも同じだった。
「・・・わからない」
と言いながら、私は手のひらで涙を拭った。
「・・・だけど、ちょっとだけホッとしたのかも」
すると五条さんはフッと微笑んだ。
だけど、すぐにニッと意地悪そうに唇の角を釣り上げた。
「これで満足するのはまだ早いよ~。言ったでしょ、まだまだ課題があるって。呪力のこととか。それに、毎回この味を創り出さないとね。今回たまたま上手くいっただけかもしれないし」
「・・・・・・」
そう言われて、私はふとある事を思い出した。
「そうだ。陵 先生も言ってた。気候とか湿度とかどんな条件下でも常に同じクオリティのものを創れるようにならないといけないって」
「・・・・・・」
すると、五条さんは口角をピクリとさせた。
「陵先生にも食べてほしいなぁ・・・」
「ちょっと待ってよ」
「はい?」
「なんでこの流れで慶太に食べてほしいってなるの」
と、五条さんは不機嫌だ。
私はその理由はわからないまま、問われたことに答えた。
「え・・・?『あけづる』を創るのに沢山アドバイスを頂いたから・・・」
「ナニソレ!?僕の知らないところでふたり連絡取り合ってたの!?」
「いえ、現地実習以来会ってもないし連絡も取ってないです」
それは本当のことだ。
あの日以来、陵先生とは一度も会ってない。
と、私は『あけづる』ふたつを載せた皿を五条さんに差し出した。
すかさず五条さんは手を伸ばす。
「いただきまーすっ」
その時だった。『あけづる』のひとつがフルフル震え始めたかと思ったら、
バシュッ
「わぁっ!?」
突然、爆発した。
私は飛び散った皮と餡子まみれになる。
五条さんは無下限バリアで無事だったけれど、
「なにこれ。ドッキリ?思い切り失敗してるけど」
とキョトンとして言った。
「ち、違いますよ」
私は顔についた餡子を拭いながら言った。
「呪力を込めたんです。『反転術式』の正のエネルギーを。やっと出来るようになったと思ったのに・・・」
「あ、そうだったの」
と、五条さんも指先で私の顔についた餡子を拭った。
「以前にも言ったと思うけど、こういう形状が不安定なモノには呪力を留めるのは難しいよ。込めるなら、直前とかにしないとね」
「やっと成功したと思ったのに・・・」
「まだまだだね。さ、味はどうかな」
と言うと、五条さんは私の頬に唇を寄せて、そのまま頬についた餡子をついばんだ。
思いも寄らない行動に、私は驚いて肩をビクッとさせた。
「な、何っ!?」
「味見だよ」
「やだっ!やめてください!」
「なんで?この方が美味しさ倍増だと思うよ?」
「もう一個あるんだからこっちを食べてください!」
「口の中でまた爆発したらヤダも~ん」
「こっちは呪力籠ってませんからっ」
と、私はもうひとつの『あけづる』を掴んで五条さんの口に押し込んだ。
「むぐっ」
五条さんは面食らいながらも、一口モグモグと咀嚼しゴクリと飲み込むと、
「・・・・・・」
そのまま『あけづる』をくわえたまま、呆然として固まってしまった。
そのリアクションに私は戸惑う。
「え、ど、どうしたんですか?」
「・・・・・・」
「そんなに不味いですか!?」
すると五条さんはハッと我に返って、私の顔を見た。
「いや・・・」
と、残りの『あけづる』を口から外して言った。
「ビックリして」
「え?」
「初めて『あけづる』を食べた時のことを思い出した」
「・・・・・・」
つまり、それって・・・。
「まだ課題は残ってるけど、味だけなら完璧じゃないかな」
そう五条さんが言ったのを聞いた時、
「・・・・・・」
私の目から、自然と涙がぽろっと流れた。
そんな自分にびっくりした。
おじいちゃんの味に近づけならば、私は自分がバンザイってはしゃいで喜ぶものだと思っていたから。
「あらら〜?どしたの」
驚いていたのは、五条さんも同じだった。
「・・・わからない」
と言いながら、私は手のひらで涙を拭った。
「・・・だけど、ちょっとだけホッとしたのかも」
すると五条さんはフッと微笑んだ。
だけど、すぐにニッと意地悪そうに唇の角を釣り上げた。
「これで満足するのはまだ早いよ~。言ったでしょ、まだまだ課題があるって。呪力のこととか。それに、毎回この味を創り出さないとね。今回たまたま上手くいっただけかもしれないし」
「・・・・・・」
そう言われて、私はふとある事を思い出した。
「そうだ。
「・・・・・・」
すると、五条さんは口角をピクリとさせた。
「陵先生にも食べてほしいなぁ・・・」
「ちょっと待ってよ」
「はい?」
「なんでこの流れで慶太に食べてほしいってなるの」
と、五条さんは不機嫌だ。
私はその理由はわからないまま、問われたことに答えた。
「え・・・?『あけづる』を創るのに沢山アドバイスを頂いたから・・・」
「ナニソレ!?僕の知らないところでふたり連絡取り合ってたの!?」
「いえ、現地実習以来会ってもないし連絡も取ってないです」
それは本当のことだ。
あの日以来、陵先生とは一度も会ってない。