第22話 京都姉妹校交流会〜打ち上げ編〜
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(うっ・・・)
皆の視線を一身に浴びて、私はたじろぐ。
「えっと、その・・・」
何をどう話せばいいのかわからず口籠もっていたら、
「くだらねー」
真希さんがベッドから立ち上がった。
すると、パンダ君が慌てて声をかけた。
「真希、どこ行くんだ。まだ安静にしてないと・・・」
「便所だよ」
と、真希さんはぶっきらぼうに言った。
「それに、ホレたハレたなんてくだらねぇ話、これ以上聞いてられるかよ。呪術高専 がいつから学園ラブコメの舞台になったんだよ」
そして、真希さんは医務室から出て行ってしまった。
そんな真希さんの姿を見送りながら、真依ちゃんが肩をすくめる。
「いやぁねぇ。変にプライド拗らせちゃって。ツンケンして嫌な感じ」
・・・ううん、違う。私が悪いんだ(っていうか、五条さんも)。
ついさっきまで命懸けの闘いをして、大怪我も負ったばかりのところに、いきなり部外者がこんな能天気な話題で騒いで。
(そりゃ、怒っても仕方ない・・・)
私は心の内で深く反省した。
そして、顔を上げて真っ直ぐに皆の顔を見渡した。
「あの、はじめましての方も多いので、自己紹介として私の話をさせてもらってもいいですか?」
と、私は尋ねた。
誰も何も応えなかったけれど、それが了承の合図と受け取って、私は話を始めた。
「私は、石川県の糠田が森という小さな村から来ました。糠田が森はその昔、ひとりの女性が自らの呪いで呪霊となった『額多之君 』に支配されていました。その『額多之君』を宥めるために、子どもを生贄に捧げるという悪習が長年糠田が森では続けられていたんです」
故郷のこと。
『額多ヶ守』の伝説のこと。
「こうした悪習は、糠田が森にもうひとつの呪いを根付かせました。子どもを生贄に捧げた母親たちの悲しみと悔恨から生まれた、呪いが。長年に渡り蓄積された呪いを解呪する術はなく、現在でも大きな脅威になってます。それでも、糠田が森に大きな影響がなかったのは、私の祖父が『あけづる』という呪玉を模した饅頭で村の皆んなを護っていたからなんです」
『糠田が森の土地の呪い』のこと。
『あけづる』のこと。
おじいちゃんのこと。
「・・・でも、祖父が今年の一月に急逝して・・・。唯一の家族を失った私に寄り添ってくれたのが、五条さんだったんです。そして五条さんは、祖父の跡を継いで『あけづる』を創るという私の意志にも寄り添ってくれて、私を導いてくれたんです。それは、今も・・・」
そして、五条さんのこと。
どう思ってるなんて尋ねられても、恥ずかしくて上手く言えない。
だけど、これだけははっきり言える。
「だから、私にとって五条さんは恩人で、そして、かけがえのない人です」
私がそう言い切ると、
「・・・素晴らしい関係じゃないか」
と、太く編んだ三つ編みを顔の前に垂らした女の人が拍手をし始めた。
すると他の皆もそれにつられて、
パチパチパチ・・・
と、拍手を送ってくれた。
「え・・・?いや、その、えっと・・・?」
これは何に対しての拍手なの?
と、戸惑っていたら。
「いやー、どーもどーも」
と、五条さんは私の肩を右手で抱いて、左手を上げて拍手に応えた。
ところが、
「いや、これで拍手喝采っておかしいでしょ!」
歌姫さんだけは拍手せず(確かにおかしいし)、五条さんに向かって人差し指を突き立てて行った。
「五条・・・アンタ、やっぱり最低よ。こんな純朴で真面目な良い子を、呪術を教えることを口実に東京に誘い出して挙句ドサクサに誑しこんで・・・」
「失礼だなー、純愛だよー」
「アンタが純愛!?ちゃんちゃらおかしいわよ」
「自分がカレシいない歴=実年齢だからって妬かない妬かない」
「妬いてねぇよ!!ってか=実年齢じゃねぇ!!」
と、歌姫さんがキレた直後。
「何だ、騒がしいな」
と、サングラスをかけたコワモテの男の人と長く垂れ下がった眉と髭を蓄えた御老人が、医務室に入ってきた。
皆の視線を一身に浴びて、私はたじろぐ。
「えっと、その・・・」
何をどう話せばいいのかわからず口籠もっていたら、
「くだらねー」
真希さんがベッドから立ち上がった。
すると、パンダ君が慌てて声をかけた。
「真希、どこ行くんだ。まだ安静にしてないと・・・」
「便所だよ」
と、真希さんはぶっきらぼうに言った。
「それに、ホレたハレたなんてくだらねぇ話、これ以上聞いてられるかよ。
そして、真希さんは医務室から出て行ってしまった。
そんな真希さんの姿を見送りながら、真依ちゃんが肩をすくめる。
「いやぁねぇ。変にプライド拗らせちゃって。ツンケンして嫌な感じ」
・・・ううん、違う。私が悪いんだ(っていうか、五条さんも)。
ついさっきまで命懸けの闘いをして、大怪我も負ったばかりのところに、いきなり部外者がこんな能天気な話題で騒いで。
(そりゃ、怒っても仕方ない・・・)
私は心の内で深く反省した。
そして、顔を上げて真っ直ぐに皆の顔を見渡した。
「あの、はじめましての方も多いので、自己紹介として私の話をさせてもらってもいいですか?」
と、私は尋ねた。
誰も何も応えなかったけれど、それが了承の合図と受け取って、私は話を始めた。
「私は、石川県の糠田が森という小さな村から来ました。糠田が森はその昔、ひとりの女性が自らの呪いで呪霊となった『
故郷のこと。
『額多ヶ守』の伝説のこと。
「こうした悪習は、糠田が森にもうひとつの呪いを根付かせました。子どもを生贄に捧げた母親たちの悲しみと悔恨から生まれた、呪いが。長年に渡り蓄積された呪いを解呪する術はなく、現在でも大きな脅威になってます。それでも、糠田が森に大きな影響がなかったのは、私の祖父が『あけづる』という呪玉を模した饅頭で村の皆んなを護っていたからなんです」
『糠田が森の土地の呪い』のこと。
『あけづる』のこと。
おじいちゃんのこと。
「・・・でも、祖父が今年の一月に急逝して・・・。唯一の家族を失った私に寄り添ってくれたのが、五条さんだったんです。そして五条さんは、祖父の跡を継いで『あけづる』を創るという私の意志にも寄り添ってくれて、私を導いてくれたんです。それは、今も・・・」
そして、五条さんのこと。
どう思ってるなんて尋ねられても、恥ずかしくて上手く言えない。
だけど、これだけははっきり言える。
「だから、私にとって五条さんは恩人で、そして、かけがえのない人です」
私がそう言い切ると、
「・・・素晴らしい関係じゃないか」
と、太く編んだ三つ編みを顔の前に垂らした女の人が拍手をし始めた。
すると他の皆もそれにつられて、
パチパチパチ・・・
と、拍手を送ってくれた。
「え・・・?いや、その、えっと・・・?」
これは何に対しての拍手なの?
と、戸惑っていたら。
「いやー、どーもどーも」
と、五条さんは私の肩を右手で抱いて、左手を上げて拍手に応えた。
ところが、
「いや、これで拍手喝采っておかしいでしょ!」
歌姫さんだけは拍手せず(確かにおかしいし)、五条さんに向かって人差し指を突き立てて行った。
「五条・・・アンタ、やっぱり最低よ。こんな純朴で真面目な良い子を、呪術を教えることを口実に東京に誘い出して挙句ドサクサに誑しこんで・・・」
「失礼だなー、純愛だよー」
「アンタが純愛!?ちゃんちゃらおかしいわよ」
「自分がカレシいない歴=実年齢だからって妬かない妬かない」
「妬いてねぇよ!!ってか=実年齢じゃねぇ!!」
と、歌姫さんがキレた直後。
「何だ、騒がしいな」
と、サングラスをかけたコワモテの男の人と長く垂れ下がった眉と髭を蓄えた御老人が、医務室に入ってきた。