第21話 京都姉妹校交流会
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すると、悠仁君の目が潤んで大きく揺らいだ。
そしてゆっくりと俯いていき、
「・・・人を殺した」
と、消え入りそうな声で言った。
「・・・・・・」
私はその言葉にショックを受けつつも、努めて平穏を装って尋ねた。
「・・・相手は、呪詛師・・・?」
「・・・いや、人だったモノって言うべきか・・・」
やや間があって、悠仁君は言葉を訂正した。
「いや、そんなの言い訳だよな。あれは生命だった。確かなひとつひとつの生命だった」
「・・・・・・」
「俺の手で、その生命を終わらせた」
「・・・・・・」
「・・・それがどんな人のものであったとして、それでその魂が救われたんだとしても、やっぱり、苦しい」
「・・・・・・」
「俺は、宿儺の指を全て取り込むって決めた時に、全てのことを覚悟したつもりだった。自分が死ぬことだって。でも、自分の手が他人の生命を奪うことに覚悟が出来てなかった」
「・・・・・・」
「なのに、俺は・・・」
「悠仁君」
私は悠仁君の肩に両手を回して抱きしめた。
包み込むように。
それ以上言葉を紡がせないように。
「・・・ありがとう。私のこと、心配してくれてるんだよね」
「・・・・・・」
「私も、悠仁君と同じ。私は、今の自分に出来ることをやっていこうって決めた。けど、もしもこの先、生命のやり取りを迫られたら、自分がどうするのか正直わからない。もちろん、死ぬわけにはいかないし、死にたくはない。けど、自分の手で相手の生命を取る覚悟があるかって言われると、出来るかわからない」
「・・・・・・」
「きっとその瞬間が来るまでわからない、本能に委ねるしかないことなの」
「・・・・・・」
「こんな甘い考えで、呪いの世界に踏み込むべきじゃないと思う。それでも、私は、今自分がいるこの場所で、今自分に出来ることをやっていくしかないって決めたの」
「・・・・・・」
「悠仁君の選択は咄嗟のものだった。だから、これで本当に良かったのかって苦しいんだろうけど」
「・・・・・・」
「私は、これで良かったと思ってるよ」
すると、私の腕の中の悠仁君は顔を上げ、こちらを見た。
目が合って、私は悠仁君に微笑んだ。
「その選択をしたから、悠仁君が今ここにいるんだもの」
「・・・・・・」
「それを他の人が責めても、悠仁君が自分を許せなくても、私は悠仁君の味方でいる」
「・・・・・・」
「これからも何があっても、私は悠仁君を肯定するよ」
すると、再び悠仁君の瞳がゆらゆらと揺らいだ。
いつも明るい活力に満ちていて、でも、どこか陰を引く大人びたところもあって。
そんな悠仁君が、今はただただよるべのない幼い子どもに見える。
「・・・和紗さん」
すると、悠仁君は私の手を取って、
「ありがとう」
と、自分の肩から私の腕を離した。
「もう大丈夫。ゴメン、愚痴って。なんかカッコ悪りぃ〜」
そして、いつもの屈託のない笑顔を浮かべた。
私は悠仁君から身体を離した。
「・・・そんなことないよ」
「いやいや。ひとりの男としてあるまじき態度だよ。情けねぇ」
「大丈夫。私には悠仁君は男の人っていうより、タロ(昔飼ってた芝犬)って感じだから!」
「はは・・・」
と、苦笑いしつつ、悠仁君は言った。
「・・・でも、和紗さんのことは俺が守るよ。以前に言ったでしょ。だから、和紗さんに手を汚させない」
「・・・・・・」
「だって、和紗さんの手は美味い和菓子をつくるためにあるんだから」
と、悠仁君は残りの『あけづる』を頬張った。
それから程なくして、テーブルに突っ伏すように眠ってしまった。
(疲れ切った顔してる)
しばらくこのまま寝かせてあげよう。
そう思って、私は五条さんの部屋からタオルケットを持ち出して、それを眠る悠仁君の肩にかけた。
(なんか以前も同じようなことがあったような)
そう、あの時は確か。
「久しぶりだな、饅頭娘」
するとその時、低い男の声が静まり返った部屋に響いた。
「・・・・・・」
あの時は、戸惑い狼狽えていた私だったけれど、今の私は冷静に声のする方を見た。
「・・・宿儺」
眠る悠仁君の頬に、一つ目と口が現れて私に向かって呼びかける。
それは、『両面宿儺』のものだ。
「相変わらず、甘ったるい匂いを漂わせているな」
と、両面宿儺はニヤリと笑った。
そしてゆっくりと俯いていき、
「・・・人を殺した」
と、消え入りそうな声で言った。
「・・・・・・」
私はその言葉にショックを受けつつも、努めて平穏を装って尋ねた。
「・・・相手は、呪詛師・・・?」
「・・・いや、人だったモノって言うべきか・・・」
やや間があって、悠仁君は言葉を訂正した。
「いや、そんなの言い訳だよな。あれは生命だった。確かなひとつひとつの生命だった」
「・・・・・・」
「俺の手で、その生命を終わらせた」
「・・・・・・」
「・・・それがどんな人のものであったとして、それでその魂が救われたんだとしても、やっぱり、苦しい」
「・・・・・・」
「俺は、宿儺の指を全て取り込むって決めた時に、全てのことを覚悟したつもりだった。自分が死ぬことだって。でも、自分の手が他人の生命を奪うことに覚悟が出来てなかった」
「・・・・・・」
「なのに、俺は・・・」
「悠仁君」
私は悠仁君の肩に両手を回して抱きしめた。
包み込むように。
それ以上言葉を紡がせないように。
「・・・ありがとう。私のこと、心配してくれてるんだよね」
「・・・・・・」
「私も、悠仁君と同じ。私は、今の自分に出来ることをやっていこうって決めた。けど、もしもこの先、生命のやり取りを迫られたら、自分がどうするのか正直わからない。もちろん、死ぬわけにはいかないし、死にたくはない。けど、自分の手で相手の生命を取る覚悟があるかって言われると、出来るかわからない」
「・・・・・・」
「きっとその瞬間が来るまでわからない、本能に委ねるしかないことなの」
「・・・・・・」
「こんな甘い考えで、呪いの世界に踏み込むべきじゃないと思う。それでも、私は、今自分がいるこの場所で、今自分に出来ることをやっていくしかないって決めたの」
「・・・・・・」
「悠仁君の選択は咄嗟のものだった。だから、これで本当に良かったのかって苦しいんだろうけど」
「・・・・・・」
「私は、これで良かったと思ってるよ」
すると、私の腕の中の悠仁君は顔を上げ、こちらを見た。
目が合って、私は悠仁君に微笑んだ。
「その選択をしたから、悠仁君が今ここにいるんだもの」
「・・・・・・」
「それを他の人が責めても、悠仁君が自分を許せなくても、私は悠仁君の味方でいる」
「・・・・・・」
「これからも何があっても、私は悠仁君を肯定するよ」
すると、再び悠仁君の瞳がゆらゆらと揺らいだ。
いつも明るい活力に満ちていて、でも、どこか陰を引く大人びたところもあって。
そんな悠仁君が、今はただただよるべのない幼い子どもに見える。
「・・・和紗さん」
すると、悠仁君は私の手を取って、
「ありがとう」
と、自分の肩から私の腕を離した。
「もう大丈夫。ゴメン、愚痴って。なんかカッコ悪りぃ〜」
そして、いつもの屈託のない笑顔を浮かべた。
私は悠仁君から身体を離した。
「・・・そんなことないよ」
「いやいや。ひとりの男としてあるまじき態度だよ。情けねぇ」
「大丈夫。私には悠仁君は男の人っていうより、タロ(昔飼ってた芝犬)って感じだから!」
「はは・・・」
と、苦笑いしつつ、悠仁君は言った。
「・・・でも、和紗さんのことは俺が守るよ。以前に言ったでしょ。だから、和紗さんに手を汚させない」
「・・・・・・」
「だって、和紗さんの手は美味い和菓子をつくるためにあるんだから」
と、悠仁君は残りの『あけづる』を頬張った。
それから程なくして、テーブルに突っ伏すように眠ってしまった。
(疲れ切った顔してる)
しばらくこのまま寝かせてあげよう。
そう思って、私は五条さんの部屋からタオルケットを持ち出して、それを眠る悠仁君の肩にかけた。
(なんか以前も同じようなことがあったような)
そう、あの時は確か。
「久しぶりだな、饅頭娘」
するとその時、低い男の声が静まり返った部屋に響いた。
「・・・・・・」
あの時は、戸惑い狼狽えていた私だったけれど、今の私は冷静に声のする方を見た。
「・・・宿儺」
眠る悠仁君の頬に、一つ目と口が現れて私に向かって呼びかける。
それは、『両面宿儺』のものだ。
「相変わらず、甘ったるい匂いを漂わせているな」
と、両面宿儺はニヤリと笑った。