第20話 わたしは呪い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ああ、もう!!またなのーーーっ!?」
目が覚めると、そこはまた糠田が森の地面の上だった。
またまたふりだしにもどってしまったのだ。
「もーっ!!面倒くさい!宿儺のヤツーーー!許さないんだから!」
・・・とはいえ、コワイからヤツにはもう関わらないでおこうっと。
「・・・真人、大丈夫かな」
私は仰向けのまま、すっかり暗くなった糠田が森の空を見つめた。
早く東京に戻らなきゃ。
だけど、すぐに起き上がる気力は湧かなかった。
(・・・私の術式は戦闘に役に立たない。虎杖悠仁に至っては効かないし。こんなので真人の傍にいても邪魔になるだけかなぁ)
でも、夏油は役に立つって言ってくれたし。
(私に出来ること・・・)
どうしたものかと考えながら、私はこれまで読んできた『魂の皺』に刻まれた数々の情報を反芻していた。
ダウンロードしたデータを再生したり早送りしたり巻き戻したりするように。
そんな時、和紗の記憶に行き当たった。
「んー?」
和紗の視点から見た、ある男の姿が映る。
「コイツは・・・」
白い髪に目隠しした男。
目隠しを外せば、吸い込まれるような碧い瞳が現れる。
これが『六眼』と呼ばれるものらしい。
「そうだ、コイツが五条悟だ」
そう呟きながら、和紗の『魂の皺』を解析していく。
コマ送りを繰り返しながら、和紗と五条悟のこれまでの関わりを辿っていく。
すると、こんな記憶に行き当たった。
「僕は和紗を愛してる」
本気とも冗談ともつかない調子で、五条悟がそう言い放った場面だった。
思わぬ場面にたどり着いて、私は困惑する。
(・・・何?何なの?そんな関係なの?このふたり)
するとその時、私はハッと閃いた。
「・・・ふふふっ」
私の術式は戦闘に役立てなくて、私自身も強い呪術師相手には戦えない。
だけど、私は、私より弱い人間を相手にすればいいんだ。
「そっかぁ。そうだ、そうすればよかったんだぁ!」
私は、私より弱い人間を陥れ利用して、私より強い人間を追い詰める。
だって、私は『呪い』。
『呪い』らしく、狡猾にーーー。
「じゃーーーん☆」
自慢のレインボーヘアーをツインテールにして、タイトなTシャツとホットパンツに身を包む。そして、右手には野球のバッド。
これが、私のニュールックだ。
「なんじゃぁ、その恰好は」
そんな私を見て、漏瑚は思い切り顔をしかめた。
「ハーレイクインのコスプレよ♡知らない?スーサイドスクワッドって映画に登場するの」
「儂はそんな人間の低俗な文化物見ぬわ」
「あっそ。ね、真人。どう似合う?」
と、私はくるりと回転しながら尋ねた。
真人は温泉につかりながら私の方を振り返り頷いた。
「うん、似合ってるよ」
その微笑みに胸がキュンとなって、私は堪らず温泉にバシャーンと飛び込み真人に抱きついた。
「好き好きーっ!私のジョーカー様ーっ♡」
「いちいち抱きつくなよ」
「飛び込むなー!湯が儂らにかかっただろうが!」
真人がつれなくても、漏瑚が口うるさくても、私はハッピーだ。
だって、私はもうひとりじゃないから。
・・・吉野順平を巡る虎杖悠仁と七海建人との闘いの後、真人達一行は人里離れた秘境の温泉地に療養に来ていた。
そんなことを知らなかった私は東京へ戻ってしばらく途方に暮れていたのだが、夏油が私を見つけてここへ連れてきてくれたのだ。
(意外といい奴?またひとりどっか行っちゃったけど)
結局、真人は虎杖悠仁にボコボコにされてしまい、宿儺を仲間に引き込むどころか、宿儺優位の『縛り』を科すことも失敗したらしい。
「でも、ま、勉強にはなったよ」
と、真人は一連の出来事を振り返る。
でも、言葉と裏腹にホントは悔しいんだと思う。
「ね、真人。私、考えたんだ」
そんな傷心であろう真人に私は言った。
「鶴來和紗を人質にとるの。和紗って五条悟の女っぽいんだよねー。で、五条悟が不利になるような縛りを科すの。吉野順平の時みたいに」
我ながら名案だと思ったのに、真人は不服そうに頬を膨らませて私の顔を見た。
「え、ダメ?」
「・・・君ってバカなの?そのやり方で失敗したんだけど。それに俺の当面の天敵は虎杖悠仁だから、五条悟にまで手が回らない」
「んー・・・そっか」
「五条悟対策は夏油にひとつプランがあるらしいしね。・・・でも、奇子もだいぶ『呪い』らしくなってきたね」
と、真人は私の頭に手を置いてポンポンとした。
「やってごらんよ。狡猾に、呪いらしく、人間らしく」
その微笑みに、私は胸をときめかせる。
「うん!」
私の目的は、今、はっきりと定まった。
天敵である鶴來和紗を利用して、五条悟を陥れること。
それで、真人達の計画に貢献して、和紗を殺して、『あけづる』をこの世から無くせれば万々歳。
そして、ずっと真人の傍にいることーーー。
つづく
目が覚めると、そこはまた糠田が森の地面の上だった。
またまたふりだしにもどってしまったのだ。
「もーっ!!面倒くさい!宿儺のヤツーーー!許さないんだから!」
・・・とはいえ、コワイからヤツにはもう関わらないでおこうっと。
「・・・真人、大丈夫かな」
私は仰向けのまま、すっかり暗くなった糠田が森の空を見つめた。
早く東京に戻らなきゃ。
だけど、すぐに起き上がる気力は湧かなかった。
(・・・私の術式は戦闘に役に立たない。虎杖悠仁に至っては効かないし。こんなので真人の傍にいても邪魔になるだけかなぁ)
でも、夏油は役に立つって言ってくれたし。
(私に出来ること・・・)
どうしたものかと考えながら、私はこれまで読んできた『魂の皺』に刻まれた数々の情報を反芻していた。
ダウンロードしたデータを再生したり早送りしたり巻き戻したりするように。
そんな時、和紗の記憶に行き当たった。
「んー?」
和紗の視点から見た、ある男の姿が映る。
「コイツは・・・」
白い髪に目隠しした男。
目隠しを外せば、吸い込まれるような碧い瞳が現れる。
これが『六眼』と呼ばれるものらしい。
「そうだ、コイツが五条悟だ」
そう呟きながら、和紗の『魂の皺』を解析していく。
コマ送りを繰り返しながら、和紗と五条悟のこれまでの関わりを辿っていく。
すると、こんな記憶に行き当たった。
「僕は和紗を愛してる」
本気とも冗談ともつかない調子で、五条悟がそう言い放った場面だった。
思わぬ場面にたどり着いて、私は困惑する。
(・・・何?何なの?そんな関係なの?このふたり)
するとその時、私はハッと閃いた。
「・・・ふふふっ」
私の術式は戦闘に役立てなくて、私自身も強い呪術師相手には戦えない。
だけど、私は、私より弱い人間を相手にすればいいんだ。
「そっかぁ。そうだ、そうすればよかったんだぁ!」
私は、私より弱い人間を陥れ利用して、私より強い人間を追い詰める。
だって、私は『呪い』。
『呪い』らしく、狡猾にーーー。
「じゃーーーん☆」
自慢のレインボーヘアーをツインテールにして、タイトなTシャツとホットパンツに身を包む。そして、右手には野球のバッド。
これが、私のニュールックだ。
「なんじゃぁ、その恰好は」
そんな私を見て、漏瑚は思い切り顔をしかめた。
「ハーレイクインのコスプレよ♡知らない?スーサイドスクワッドって映画に登場するの」
「儂はそんな人間の低俗な文化物見ぬわ」
「あっそ。ね、真人。どう似合う?」
と、私はくるりと回転しながら尋ねた。
真人は温泉につかりながら私の方を振り返り頷いた。
「うん、似合ってるよ」
その微笑みに胸がキュンとなって、私は堪らず温泉にバシャーンと飛び込み真人に抱きついた。
「好き好きーっ!私のジョーカー様ーっ♡」
「いちいち抱きつくなよ」
「飛び込むなー!湯が儂らにかかっただろうが!」
真人がつれなくても、漏瑚が口うるさくても、私はハッピーだ。
だって、私はもうひとりじゃないから。
・・・吉野順平を巡る虎杖悠仁と七海建人との闘いの後、真人達一行は人里離れた秘境の温泉地に療養に来ていた。
そんなことを知らなかった私は東京へ戻ってしばらく途方に暮れていたのだが、夏油が私を見つけてここへ連れてきてくれたのだ。
(意外といい奴?またひとりどっか行っちゃったけど)
結局、真人は虎杖悠仁にボコボコにされてしまい、宿儺を仲間に引き込むどころか、宿儺優位の『縛り』を科すことも失敗したらしい。
「でも、ま、勉強にはなったよ」
と、真人は一連の出来事を振り返る。
でも、言葉と裏腹にホントは悔しいんだと思う。
「ね、真人。私、考えたんだ」
そんな傷心であろう真人に私は言った。
「鶴來和紗を人質にとるの。和紗って五条悟の女っぽいんだよねー。で、五条悟が不利になるような縛りを科すの。吉野順平の時みたいに」
我ながら名案だと思ったのに、真人は不服そうに頬を膨らませて私の顔を見た。
「え、ダメ?」
「・・・君ってバカなの?そのやり方で失敗したんだけど。それに俺の当面の天敵は虎杖悠仁だから、五条悟にまで手が回らない」
「んー・・・そっか」
「五条悟対策は夏油にひとつプランがあるらしいしね。・・・でも、奇子もだいぶ『呪い』らしくなってきたね」
と、真人は私の頭に手を置いてポンポンとした。
「やってごらんよ。狡猾に、呪いらしく、人間らしく」
その微笑みに、私は胸をときめかせる。
「うん!」
私の目的は、今、はっきりと定まった。
天敵である鶴來和紗を利用して、五条悟を陥れること。
それで、真人達の計画に貢献して、和紗を殺して、『あけづる』をこの世から無くせれば万々歳。
そして、ずっと真人の傍にいることーーー。
つづく
12/12ページ