第20話 わたしは呪い
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私は冷笑して言った。
「そんな醜い姿じゃ無理なんじゃない?真人や私みたいならともかく、そんな富士山頭で人間になろうだなんて」
すると突然、漏瑚の頭が噴火した。
熱気が一気に部屋中に立ち込める。
「あっつ」
「・・・小娘、ひとつ教えてやる」
文字通り、怒り心頭の様子で漏瑚は言った。
「儂は人間になりたい訳ではない。そして、儂らの崇高なる目的は、地位の転覆ではない。元々が、儂らこそが真の人間。それを愚かな人間共に知らしめることだ」
それを聞いて、真人はフッと鼻で笑った。
「漏瑚、それひとつじゃなくてふたつだけど。身体だけじゃなく脳ミソまで縮んじゃった?」
「フフッ」
つられて私も笑う。
すると、漏瑚の頭はますます激しく炎とマグマを噴き上げた。
「真人・・・貴様ぁ・・・」
その傍で陀艮はアタフタして右往左往し、花御は漏瑚を諫めようと声を掛けるが、
「気色悪いからやめろといっておるだろう!!」
まさに火に油で、ますます漏瑚は憤慨する。
まさに一触即発のその時だった。
「ただいまー」
ガチャリとドアが開いて、袈裟姿の男が入ってきた。
「ん?」
袈裟姿の男は、いきなりの険悪な雰囲気に目を瞬かせる。
「漏瑚」
袈裟姿の男は言った。
「熱いからそれはやめてくれと以前も言っただろう。今度は一体何?」
その問いかけに答えたのは、
「§¨¶ΘΣ・・・」
花御だった。
私には何言っているのかわからないけれど、袈裟男には理解できるらしい。
花御はこれまでの経緯を説明したらしく、
「そう・・・なるほど」
と袈裟姿の男は頷き、私の方を見た。
「それは君にも落ち度はあるね。年長者は敬うものだよ」
「・・・・・・」
私は、じっと袈裟姿の男の顔を見た。
切れ長の糸目に、大きな福耳。永い黒髪をハーフアップでひっつめている。
そして、額に横に走る手術痕。
(夏油・・・傑・・・)
私は袈裟男の『魂の皺』を読んだ。
それが、この男の名前。
(・・・だけど、おかしい)
この夏油という男には、異なる『魂の皺』が幾つも折り重なるように見える。
一番はっきりと読み取れるのは『夏油傑』の『魂の皺』だけど・・・それ以外のものがおぼろげに見える。
「漏瑚もいけないよ。若者には優しく接しなきゃ」
私が戸惑っている間に、夏油は漏瑚にもたしなめるように言った。
すると、漏瑚は気が削がれたのか頭の噴火は沈下していき、
「フンっ」
と、そっぽを向いて部屋から出て行ってしまった。
「やれやれ」
夏油は肩をすくませて私の方を見た。
「扱いなれれば素直で可愛いヤツなんだけどね。すまないね」
「んー・・・」
「奇子、だったね。私は君を歓迎するよ」
夏油は言った。
「糠田が森の土地の呪いのことは知っている。呪霊『額多之君』に子どもを生贄に捧げる忌むべき風習を続けたあの地のことは」
「・・・・・・」
「強力な『呪い』だ。味方になってくれれば心強い」
そう言って、夏油は微笑んだ。
だけど、私は警戒していた。
そう、どこか・・・油断ならない雰囲気がこの男にはあった。
その後、真人と私は真人のアジトに向かった。
真人のアジトは、住宅地を流れる川の下水処理トンネルの中だった。
幾つもの配管が天井や壁に網の目のように入り組んでいる。
そんな所にハンモックが張ったり、実験室を設けたりして、なかなかに快適な空間だ。
「どうしてヤツと組んでるの?」
私の質問に、真人は目を瞬かせた。
「ヤツって?」
「夏油傑。アイツ、元々呪術師なんでしょ。『魂の皺』読んだ」
「らしいね。でも、だからだよ」
「うーん?」
「俺たちの計画に呪術師の存在は最大の障壁となる。奴らと対する時、内幕を知る夏油の存在が必要なんだよ」
「そんじょそこらの呪術師なら、真人だったら簡単にやっつけられるんじゃないの?」
「まぁね。でも、ひとりややこしい呪術師がいるっぽいんだよねぇ」
「・・・誰?」
「五条悟」
真人は言った。
「現代最強の呪術師といわれているらしい。実際、あの漏瑚が奇襲を仕掛けてけんもほろろに追い返された。漏瑚の呪力 が一回り小さいのも、その時のダメージから回復してないからだよ」
「そんな醜い姿じゃ無理なんじゃない?真人や私みたいならともかく、そんな富士山頭で人間になろうだなんて」
すると突然、漏瑚の頭が噴火した。
熱気が一気に部屋中に立ち込める。
「あっつ」
「・・・小娘、ひとつ教えてやる」
文字通り、怒り心頭の様子で漏瑚は言った。
「儂は人間になりたい訳ではない。そして、儂らの崇高なる目的は、地位の転覆ではない。元々が、儂らこそが真の人間。それを愚かな人間共に知らしめることだ」
それを聞いて、真人はフッと鼻で笑った。
「漏瑚、それひとつじゃなくてふたつだけど。身体だけじゃなく脳ミソまで縮んじゃった?」
「フフッ」
つられて私も笑う。
すると、漏瑚の頭はますます激しく炎とマグマを噴き上げた。
「真人・・・貴様ぁ・・・」
その傍で陀艮はアタフタして右往左往し、花御は漏瑚を諫めようと声を掛けるが、
「気色悪いからやめろといっておるだろう!!」
まさに火に油で、ますます漏瑚は憤慨する。
まさに一触即発のその時だった。
「ただいまー」
ガチャリとドアが開いて、袈裟姿の男が入ってきた。
「ん?」
袈裟姿の男は、いきなりの険悪な雰囲気に目を瞬かせる。
「漏瑚」
袈裟姿の男は言った。
「熱いからそれはやめてくれと以前も言っただろう。今度は一体何?」
その問いかけに答えたのは、
「§¨¶ΘΣ・・・」
花御だった。
私には何言っているのかわからないけれど、袈裟男には理解できるらしい。
花御はこれまでの経緯を説明したらしく、
「そう・・・なるほど」
と袈裟姿の男は頷き、私の方を見た。
「それは君にも落ち度はあるね。年長者は敬うものだよ」
「・・・・・・」
私は、じっと袈裟姿の男の顔を見た。
切れ長の糸目に、大きな福耳。永い黒髪をハーフアップでひっつめている。
そして、額に横に走る手術痕。
(夏油・・・傑・・・)
私は袈裟男の『魂の皺』を読んだ。
それが、この男の名前。
(・・・だけど、おかしい)
この夏油という男には、異なる『魂の皺』が幾つも折り重なるように見える。
一番はっきりと読み取れるのは『夏油傑』の『魂の皺』だけど・・・それ以外のものがおぼろげに見える。
「漏瑚もいけないよ。若者には優しく接しなきゃ」
私が戸惑っている間に、夏油は漏瑚にもたしなめるように言った。
すると、漏瑚は気が削がれたのか頭の噴火は沈下していき、
「フンっ」
と、そっぽを向いて部屋から出て行ってしまった。
「やれやれ」
夏油は肩をすくませて私の方を見た。
「扱いなれれば素直で可愛いヤツなんだけどね。すまないね」
「んー・・・」
「奇子、だったね。私は君を歓迎するよ」
夏油は言った。
「糠田が森の土地の呪いのことは知っている。呪霊『額多之君』に子どもを生贄に捧げる忌むべき風習を続けたあの地のことは」
「・・・・・・」
「強力な『呪い』だ。味方になってくれれば心強い」
そう言って、夏油は微笑んだ。
だけど、私は警戒していた。
そう、どこか・・・油断ならない雰囲気がこの男にはあった。
その後、真人と私は真人のアジトに向かった。
真人のアジトは、住宅地を流れる川の下水処理トンネルの中だった。
幾つもの配管が天井や壁に網の目のように入り組んでいる。
そんな所にハンモックが張ったり、実験室を設けたりして、なかなかに快適な空間だ。
「どうしてヤツと組んでるの?」
私の質問に、真人は目を瞬かせた。
「ヤツって?」
「夏油傑。アイツ、元々呪術師なんでしょ。『魂の皺』読んだ」
「らしいね。でも、だからだよ」
「うーん?」
「俺たちの計画に呪術師の存在は最大の障壁となる。奴らと対する時、内幕を知る夏油の存在が必要なんだよ」
「そんじょそこらの呪術師なら、真人だったら簡単にやっつけられるんじゃないの?」
「まぁね。でも、ひとりややこしい呪術師がいるっぽいんだよねぇ」
「・・・誰?」
「五条悟」
真人は言った。
「現代最強の呪術師といわれているらしい。実際、あの漏瑚が奇襲を仕掛けてけんもほろろに追い返された。漏瑚の