第20話 わたしは呪い
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真人は、自分のことを人が人を憎み恐れた腹から産まれた呪いと言った。
真人がアジトにしている場所へ向かう道すがら、私は自分のことを真人に話した。
何から生まれた呪いなのか、私の術式のことまで、私の全てを。
真人は興味深そうに関心を持って私の話を聞いてくれた。
「祓っても祓っても次々に生まれる、尽きることのない『呪い』か。それに『魂の皺』を読む術式・・・」
そう呟くと、真人はニッコリと笑った。
「面白いね」
それが、私に好意を示してくれたような気がして、私は嬉しくてはにかむ。
「で、君を封じ込める為の『あけづる』を造ろうとしている鶴來和紗って名前の人間を殺す為に東京へ来たってワケだ」
「うん、そうなの!」
私は言った。
「『あけづる』のせいで、私は土の中にいなきゃならなくて・・・ずっとずっと辛かった」
「うん」
「もう二度と土の中には戻りたくない。それに、真人から離れたくないし・・・」
と、私は真人の腕に抱きついた。
そして、
「ね、名前を付けて?」
と、おねだりをした。
すると、真人は訝しげな顔をした。
「名前?」
「うん、そう」
私はうなづいた。
「私、名前がないの。だから、真人につけて欲しい」
「名前ねぇ・・・」
「真人が名付けてくれるなら何でもいいよ!糠子みたいなダサい名前じゃなかったら」
「うーん・・・」
真人はしばし思案した後、
「・・・奇子」
と、言った。
「奇子?」
「最近読んだ本の登場人物の名前だよ」
キョトンとする私に真人は語った。
「周囲の大人たちの身勝手な理由で、土蔵に閉じ込められて育った少女の名前さ。彼女は外から遮断された世界で育ったため、肉体は大人でも精神は子どものまま」
「・・・・・・」
「そのアンバランスさが、なんだか君と似ている」
と、真人は微笑んだ。
それは、褒められているのかなんなのかよくわからなかったけど。
「・・・奇子」
名前の響きは気に入った。
「行こう、奇子」
真人は私の肩を抱いた。
「俺のアジトに行く前に、仲間達に合わせるよ。みんな俺の自慢の仲間さ」
真人の仲間が潜む隠れ家は、古い雑居ビルにあった。
元々は悪徳詐欺グループが使用していた事務所だったけれど、そこにいた連中を全て焼き殺して占拠したのだそうだ。
「奇子、紹介するよ」
その隠れ家に着くと、真人はさっそく仲間達と私を引き合わせた。
「漏瑚。大地の呪霊」
「なんじゃあ、この小娘は?」
頭が富士山。
なんかちびっこい。
「花御。森の呪霊」
「#£*〆″^」
でくのぼう。
頭に直接語りかけてくるのがちょっとうっとおしい。
「陀艮。海の呪霊」
「ぶふぅー」
タコ。
可愛い♡
「そして彼女は奇子。糠田が森の土地に染み込んだ悲しみと嘆きから生まれた呪いだよ」
と、真人は私を紹介した。
それを受けて、私はすこぶる笑顔で挨拶する。
「よろしくお願いしまぁす♡」
「・・・・・・」
しかし、漏瑚達は私を値踏みするような目付きで見てただ黙っている。
「・・・ちょっとぉ」
私はムッとして言った。
「人が仲良くしようと挨拶してるのにその態度はないんじゃない?」
「・・・おぬし、糠田が森の土地から生まれたと言ったな」
漏瑚が言った。
「しかし、儂は糠田が森など知らぬ。そのような僻地に生まれた小娘如きが、儂らの同胞に加わろうなどととても認められんなぁ」
何、このジジイ。
人が下手に出てりゃあ、お高くとまりやがって。
「・・・・・・」
私は真人に助け舟を求めて視線を送った。
しかし真人は黙ってニヤニヤとこの状況を楽しんでいる。
どうやらこれ以上の橋渡しはしてくれないらしい。
「・・・別にいいもん」
なので、私は言った。
「私は真人と一緒に居たいだけだしぃ。他に仲間なんていらないもの」
「な・・・」
「でも、ひとつ忠告しといてあげる。アンタたちの目的聞いたよ。この世で人間と呪いの立場を転覆させるんだってね。でも・・・」
真人がアジトにしている場所へ向かう道すがら、私は自分のことを真人に話した。
何から生まれた呪いなのか、私の術式のことまで、私の全てを。
真人は興味深そうに関心を持って私の話を聞いてくれた。
「祓っても祓っても次々に生まれる、尽きることのない『呪い』か。それに『魂の皺』を読む術式・・・」
そう呟くと、真人はニッコリと笑った。
「面白いね」
それが、私に好意を示してくれたような気がして、私は嬉しくてはにかむ。
「で、君を封じ込める為の『あけづる』を造ろうとしている鶴來和紗って名前の人間を殺す為に東京へ来たってワケだ」
「うん、そうなの!」
私は言った。
「『あけづる』のせいで、私は土の中にいなきゃならなくて・・・ずっとずっと辛かった」
「うん」
「もう二度と土の中には戻りたくない。それに、真人から離れたくないし・・・」
と、私は真人の腕に抱きついた。
そして、
「ね、名前を付けて?」
と、おねだりをした。
すると、真人は訝しげな顔をした。
「名前?」
「うん、そう」
私はうなづいた。
「私、名前がないの。だから、真人につけて欲しい」
「名前ねぇ・・・」
「真人が名付けてくれるなら何でもいいよ!糠子みたいなダサい名前じゃなかったら」
「うーん・・・」
真人はしばし思案した後、
「・・・奇子」
と、言った。
「奇子?」
「最近読んだ本の登場人物の名前だよ」
キョトンとする私に真人は語った。
「周囲の大人たちの身勝手な理由で、土蔵に閉じ込められて育った少女の名前さ。彼女は外から遮断された世界で育ったため、肉体は大人でも精神は子どものまま」
「・・・・・・」
「そのアンバランスさが、なんだか君と似ている」
と、真人は微笑んだ。
それは、褒められているのかなんなのかよくわからなかったけど。
「・・・奇子」
名前の響きは気に入った。
「行こう、奇子」
真人は私の肩を抱いた。
「俺のアジトに行く前に、仲間達に合わせるよ。みんな俺の自慢の仲間さ」
真人の仲間が潜む隠れ家は、古い雑居ビルにあった。
元々は悪徳詐欺グループが使用していた事務所だったけれど、そこにいた連中を全て焼き殺して占拠したのだそうだ。
「奇子、紹介するよ」
その隠れ家に着くと、真人はさっそく仲間達と私を引き合わせた。
「漏瑚。大地の呪霊」
「なんじゃあ、この小娘は?」
頭が富士山。
なんかちびっこい。
「花御。森の呪霊」
「#£*〆″^」
でくのぼう。
頭に直接語りかけてくるのがちょっとうっとおしい。
「陀艮。海の呪霊」
「ぶふぅー」
タコ。
可愛い♡
「そして彼女は奇子。糠田が森の土地に染み込んだ悲しみと嘆きから生まれた呪いだよ」
と、真人は私を紹介した。
それを受けて、私はすこぶる笑顔で挨拶する。
「よろしくお願いしまぁす♡」
「・・・・・・」
しかし、漏瑚達は私を値踏みするような目付きで見てただ黙っている。
「・・・ちょっとぉ」
私はムッとして言った。
「人が仲良くしようと挨拶してるのにその態度はないんじゃない?」
「・・・おぬし、糠田が森の土地から生まれたと言ったな」
漏瑚が言った。
「しかし、儂は糠田が森など知らぬ。そのような僻地に生まれた小娘如きが、儂らの同胞に加わろうなどととても認められんなぁ」
何、このジジイ。
人が下手に出てりゃあ、お高くとまりやがって。
「・・・・・・」
私は真人に助け舟を求めて視線を送った。
しかし真人は黙ってニヤニヤとこの状況を楽しんでいる。
どうやらこれ以上の橋渡しはしてくれないらしい。
「・・・別にいいもん」
なので、私は言った。
「私は真人と一緒に居たいだけだしぃ。他に仲間なんていらないもの」
「な・・・」
「でも、ひとつ忠告しといてあげる。アンタたちの目的聞いたよ。この世で人間と呪いの立場を転覆させるんだってね。でも・・・」