第20話 わたしは呪い
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「黙ってねぇで、何か言えよ!!」
剃り込みの入った坊主頭にタンクトップと短パンのぶくぶく太った男が、10歳にも満たないであろうやせ細った男の子の頭を掴んで、そのまま畳に叩きつけた。
男の子はすぐに起き上がることは出来ず、そのまま畳に突っ伏していた。
男は男の子に向かって乱暴に言葉を投げかけ続ける。
「今日一日仕事が終わったら食おうって楽しみにしてたのによぉ・・・ふざけんなよ、テメェ・・・」
「ご、ごめんなさい・・・」
畳に突っ伏していた男の子が、ゆっくり顔を上げて言った。
「でも・・・お腹が減ってて・・・」
「そんなことどうでもいいんだよ!!」
と、男は男の子の腹部を蹴り上げた。
男の子の身体が浮き上がり、「うっ」と口からうめき声が上がる。
(・・・コイツ・・・)
私は堪らず窓をすり抜けて、その部屋へ侵入した。
そして、男に向かって手を伸ばそうとした時だった。
「それ以上やめてよ」
部屋の片隅に座る女が言った。
男と同じくタンクトップに短パン姿で、ブリーチで傷んだ長い髪を無造作にくくっている。
女はだらしなく背中を丸めスマホを触りながら言葉を続けた。
「アンタがそうやって傷つくるからさぁ、学校からにらまれてんだよね。面倒くさいからやめてくれない?」
すると男は、
「はぁ!?」
今度は怒りの矛先を女に向け始めた。
「だったらスマホいじってねぇでさっさと飯つくれよ!」
「アタシだってパートから帰って疲れてんだよ!飯ぐらい自分でつくれ!」
「そうしようとしたら、テメェのクソガキがオレのカップラーメン食っちまってたんだろうが!!人のモン黙って食うってガキにどんなしつけしてんだ!!」
「はぁ!?アタシのせいだって言いたいの!?」
「オメェが生んだガキだろうが!」
「そんなの好きで生んだワケじゃねぇよ!!」
そう醜く言い合う二人を、
(コイツら・・・うっっっざ・・・)
私は冷ややかな眼差しでみていた。
そして、同時に思い出していた。
『ごめんね・・・ごめんね・・・』
為す術なく、『額多之君』に子どもを奪われさめざめと涙する母親。
『すごいねぇ、花ちゃん!』
暖かい眼差しで愛おし気に我が子を見つめる母親。
同じ母親なのに。
同じ人間なのに。
この差は一体何なんだろう。
「・・・殺しても絶対良いよね」
と、私はまだ言い争いあっているふたりに向かって手を伸ばした。
その時だった。
「ウッ」
男が唸り声をあげたかと思うと、突然、そのスキンヘッドがグニャリと歪んで形を変えた。
側頭部が膨れ上がったと思ったら、次に眼球がギョロリと飛び出し、太った身体はシワシワにしぼんでいく。
「きゃあーーーーーっ!!」
その光景を目の当たりにして、女が悲鳴を上げる。
男の子は言葉もなく愕然として黙ってそれを見ている。
その間にも、男の顔と身体はグニグニと幾度となく変形を繰り返し、やがて爆ぜて辺りには血が飛び散った。
「きゃーーーっ!!いやーーーーっ!!」
女は錯乱して腰を抜かしてその場にへたり込む。
「お、お母さん」
男の子はそんな母親のそばに駆け寄り、声をかけた。
「だ、大丈夫・・・落ち着いて・・・」
しかし、女はキッと男の子を睨みつけた。
「・・・何したのよ」
「え?」
「アンタ、カレに何したのよ!!アンタがやったんでしょ!?」
「僕は・・・何も・・・」
「好きだったのに!あぁ、どうすんのよ、これ・・・!部屋が血だらけで・・・うぅ・・・ヴっ!?」
と、今度は女の腹部が風船のように腫れあがった。
「う、うわあっ!?」
母親の変容に、男の子が後ろに仰け反る。
母親は膨れ上がった腹を上にして、ブリッジの態勢で男の子に詰め寄る。
「タ、タスケ、テ・・・」
「お、おかあさん・・・」
男の子は怯えているが、逃げ出そうとしない。
原型を留めない姿になった母親は、ゆっくりと男の子を押し倒した。
そして、鎌のような形に変形した右腕を男の子の首元に突き付ける。
剃り込みの入った坊主頭にタンクトップと短パンのぶくぶく太った男が、10歳にも満たないであろうやせ細った男の子の頭を掴んで、そのまま畳に叩きつけた。
男の子はすぐに起き上がることは出来ず、そのまま畳に突っ伏していた。
男は男の子に向かって乱暴に言葉を投げかけ続ける。
「今日一日仕事が終わったら食おうって楽しみにしてたのによぉ・・・ふざけんなよ、テメェ・・・」
「ご、ごめんなさい・・・」
畳に突っ伏していた男の子が、ゆっくり顔を上げて言った。
「でも・・・お腹が減ってて・・・」
「そんなことどうでもいいんだよ!!」
と、男は男の子の腹部を蹴り上げた。
男の子の身体が浮き上がり、「うっ」と口からうめき声が上がる。
(・・・コイツ・・・)
私は堪らず窓をすり抜けて、その部屋へ侵入した。
そして、男に向かって手を伸ばそうとした時だった。
「それ以上やめてよ」
部屋の片隅に座る女が言った。
男と同じくタンクトップに短パン姿で、ブリーチで傷んだ長い髪を無造作にくくっている。
女はだらしなく背中を丸めスマホを触りながら言葉を続けた。
「アンタがそうやって傷つくるからさぁ、学校からにらまれてんだよね。面倒くさいからやめてくれない?」
すると男は、
「はぁ!?」
今度は怒りの矛先を女に向け始めた。
「だったらスマホいじってねぇでさっさと飯つくれよ!」
「アタシだってパートから帰って疲れてんだよ!飯ぐらい自分でつくれ!」
「そうしようとしたら、テメェのクソガキがオレのカップラーメン食っちまってたんだろうが!!人のモン黙って食うってガキにどんなしつけしてんだ!!」
「はぁ!?アタシのせいだって言いたいの!?」
「オメェが生んだガキだろうが!」
「そんなの好きで生んだワケじゃねぇよ!!」
そう醜く言い合う二人を、
(コイツら・・・うっっっざ・・・)
私は冷ややかな眼差しでみていた。
そして、同時に思い出していた。
『ごめんね・・・ごめんね・・・』
為す術なく、『額多之君』に子どもを奪われさめざめと涙する母親。
『すごいねぇ、花ちゃん!』
暖かい眼差しで愛おし気に我が子を見つめる母親。
同じ母親なのに。
同じ人間なのに。
この差は一体何なんだろう。
「・・・殺しても絶対良いよね」
と、私はまだ言い争いあっているふたりに向かって手を伸ばした。
その時だった。
「ウッ」
男が唸り声をあげたかと思うと、突然、そのスキンヘッドがグニャリと歪んで形を変えた。
側頭部が膨れ上がったと思ったら、次に眼球がギョロリと飛び出し、太った身体はシワシワにしぼんでいく。
「きゃあーーーーーっ!!」
その光景を目の当たりにして、女が悲鳴を上げる。
男の子は言葉もなく愕然として黙ってそれを見ている。
その間にも、男の顔と身体はグニグニと幾度となく変形を繰り返し、やがて爆ぜて辺りには血が飛び散った。
「きゃーーーっ!!いやーーーーっ!!」
女は錯乱して腰を抜かしてその場にへたり込む。
「お、お母さん」
男の子はそんな母親のそばに駆け寄り、声をかけた。
「だ、大丈夫・・・落ち着いて・・・」
しかし、女はキッと男の子を睨みつけた。
「・・・何したのよ」
「え?」
「アンタ、カレに何したのよ!!アンタがやったんでしょ!?」
「僕は・・・何も・・・」
「好きだったのに!あぁ、どうすんのよ、これ・・・!部屋が血だらけで・・・うぅ・・・ヴっ!?」
と、今度は女の腹部が風船のように腫れあがった。
「う、うわあっ!?」
母親の変容に、男の子が後ろに仰け反る。
母親は膨れ上がった腹を上にして、ブリッジの態勢で男の子に詰め寄る。
「タ、タスケ、テ・・・」
「お、おかあさん・・・」
男の子は怯えているが、逃げ出そうとしない。
原型を留めない姿になった母親は、ゆっくりと男の子を押し倒した。
そして、鎌のような形に変形した右腕を男の子の首元に突き付ける。