第19話 まぼろしの家族
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「あ、ゴメン」
と、五条さんは身体を起こした。
「ここでがっつくのはカッコ悪いもんね。和紗が望まないことはしないよ」
「は、はひがとうございまふ(訳:あ、ありがとうございます)・・・」
「ふふ。大人な余裕の僕、カッコイイ☆」
「・・・・・・」
そうこうしているうちに、私は次第にまどろんできて、そのまま五条さんの隣で眠ってしまった。
まるで海でひと泳ぎした後のような、深い深い眠りだった。
そんな私の隣で、
「・・・・・・(悶々)」
五条さんが眠れない夜を過ごしていることなど知らずに。
翌日、私と五条さんは東京へ戻った。
───こうして、私の長い夏が終わったのだった。
「久しぶりー、鶴來ちゃん!」
「モイちゃん!元気だった?」
「元気元気。なぁ聞いてや~。こないだカレシの家族に会ってな・・・」
「えっ、ホントに!?」
夏休みが終わり、専門学校も二学期が始まった。
休養していた先生が復帰して、代理だった陵 先生は当たり前だけど学校に来ていない。
現地実習でのことや京都に行ったこと。
そして、お父さんと再会したことも、もうすでに遥か昔のことに思える。
それぐらい、夏が終わって私の日々は忙しく廻り始めたのだ。
学校、アルバイト、そして『あけづる』を創る修業も続けていた。
『反転術式』は相変わらず不調で、それでも時々成功することもある。
・・・でも、その呪力を媒体の饅頭に込めるのはいつも失敗するけれど。
そして、アパートでの一人暮らしも続けていた。
五条さんはマンションに戻るようにと言ったけれど、私は固辞した。
(公私混同は良くない!それに・・・)
五条さんのそばにいたら、甘やかされてダメな自分になりそうだから。
そう考えたのだ。
とはいえ。
ピンポンと呼び鈴が鳴る。
ドアを開けると、
「お疲れサマンサー☆」
と、五条さんが立っていた。
こんな風に割としょっちゅう五条さんはアパートにやって来るのだ。
「・・・何の用ですか」
「うわっ、冷たっ。『またコイツ来やがって』って顔してるよ」
「・・・そんなこと」
「僕、和紗のカレシだよね?カレシが会いに来てフツーそんな顔する!?」
「もー!いいからさっさと入って下さい!」
と、私は五条さんを部屋に招き、ミルクと砂糖たっぷりのカフェオレを差し出した。
すると五条さんは、
「実は、『香志和彌 神社』について調べたんだ」
と、本題を切り出した。
「・・・・・・」
『香志和彌神社』は京都にある神社で、私のお母さんが倒れていた場所だ。
「ずっと気になっててね。それでわかったことがある」
五条さんは言った。
「『香志和彌神社』は、和紗が恵と行った『ラヴロックスポートランド』と同じさ」
「ラヴロックスポートランドと?」
「うん。その場所である儀式を行えば、非術師でも呪術における『縛り』の効果を得ることが出来る。いわゆる祈祷所や聖地と呼ばれる場所だったんだ。『かしわみ』は『かわしみ』、つまり『かわし身』の言葉が言い変わって伝わった名前。災いをかわす効力をもたらすことから名づけられた場所だ」
「それは・・・つまり・・・」
「和紗のお母さんは、『香志和彌神社』で百度参りの儀式を行い、『縛り』を結ぶことで、和紗を昏睡状態から救ったんだ」
「・・・・・・」
五条さんは私の表情を確かめながら続けた。
「和紗が受けた呪いを自分がおっ被るという『縛り』を結ぶことで、救ったんだ」
「・・・どうして呪いって」
「恵から聞いたんだ。和紗が『自分が呪われたせいで、お母さんも呪われた』って話してたって」
「・・・・・・」
私は驚いていた。
あれは独り言のつもりだったから、それを伏黒君が聞いていて覚えていて、五条さんに報告するとは思っていなかったからだ。
と、五条さんは身体を起こした。
「ここでがっつくのはカッコ悪いもんね。和紗が望まないことはしないよ」
「は、はひがとうございまふ(訳:あ、ありがとうございます)・・・」
「ふふ。大人な余裕の僕、カッコイイ☆」
「・・・・・・」
そうこうしているうちに、私は次第にまどろんできて、そのまま五条さんの隣で眠ってしまった。
まるで海でひと泳ぎした後のような、深い深い眠りだった。
そんな私の隣で、
「・・・・・・(悶々)」
五条さんが眠れない夜を過ごしていることなど知らずに。
翌日、私と五条さんは東京へ戻った。
───こうして、私の長い夏が終わったのだった。
「久しぶりー、鶴來ちゃん!」
「モイちゃん!元気だった?」
「元気元気。なぁ聞いてや~。こないだカレシの家族に会ってな・・・」
「えっ、ホントに!?」
夏休みが終わり、専門学校も二学期が始まった。
休養していた先生が復帰して、代理だった
現地実習でのことや京都に行ったこと。
そして、お父さんと再会したことも、もうすでに遥か昔のことに思える。
それぐらい、夏が終わって私の日々は忙しく廻り始めたのだ。
学校、アルバイト、そして『あけづる』を創る修業も続けていた。
『反転術式』は相変わらず不調で、それでも時々成功することもある。
・・・でも、その呪力を媒体の饅頭に込めるのはいつも失敗するけれど。
そして、アパートでの一人暮らしも続けていた。
五条さんはマンションに戻るようにと言ったけれど、私は固辞した。
(公私混同は良くない!それに・・・)
五条さんのそばにいたら、甘やかされてダメな自分になりそうだから。
そう考えたのだ。
とはいえ。
ピンポンと呼び鈴が鳴る。
ドアを開けると、
「お疲れサマンサー☆」
と、五条さんが立っていた。
こんな風に割としょっちゅう五条さんはアパートにやって来るのだ。
「・・・何の用ですか」
「うわっ、冷たっ。『またコイツ来やがって』って顔してるよ」
「・・・そんなこと」
「僕、和紗のカレシだよね?カレシが会いに来てフツーそんな顔する!?」
「もー!いいからさっさと入って下さい!」
と、私は五条さんを部屋に招き、ミルクと砂糖たっぷりのカフェオレを差し出した。
すると五条さんは、
「実は、『
と、本題を切り出した。
「・・・・・・」
『香志和彌神社』は京都にある神社で、私のお母さんが倒れていた場所だ。
「ずっと気になっててね。それでわかったことがある」
五条さんは言った。
「『香志和彌神社』は、和紗が恵と行った『ラヴロックスポートランド』と同じさ」
「ラヴロックスポートランドと?」
「うん。その場所である儀式を行えば、非術師でも呪術における『縛り』の効果を得ることが出来る。いわゆる祈祷所や聖地と呼ばれる場所だったんだ。『かしわみ』は『かわしみ』、つまり『かわし身』の言葉が言い変わって伝わった名前。災いをかわす効力をもたらすことから名づけられた場所だ」
「それは・・・つまり・・・」
「和紗のお母さんは、『香志和彌神社』で百度参りの儀式を行い、『縛り』を結ぶことで、和紗を昏睡状態から救ったんだ」
「・・・・・・」
五条さんは私の表情を確かめながら続けた。
「和紗が受けた呪いを自分がおっ被るという『縛り』を結ぶことで、救ったんだ」
「・・・どうして呪いって」
「恵から聞いたんだ。和紗が『自分が呪われたせいで、お母さんも呪われた』って話してたって」
「・・・・・・」
私は驚いていた。
あれは独り言のつもりだったから、それを伏黒君が聞いていて覚えていて、五条さんに報告するとは思っていなかったからだ。