第19話 まぼろしの家族
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私はそのまま後ろを振り、五条さんの顔を見上げた。
顔を見合わせると、五条さんはふっと微笑んだ。
傘を差していないのに、不思議と雨に濡れていない。
そして、すぐに気づいた。
「そっか。無下限のバリア・・・」
「そっ。便利でしょ?とはいえ、ひと足遅かったかな。和紗、濡れちゃったね」
「・・・どうして」
「どうしてもこうもないでしょ。すぐ戻るって言ったのに戻らないし、突然先に帰れって言うし。そりゃ心配で探すでしょ」
「・・・すみません」
申し訳なさすぎて合わせる顔がなく、私は深く俯いた。
「新幹線のチケット、無駄にしちゃって・・・」
「そんなことは別にいいよ。それよりびしょ濡れの和紗をどうにかしないとね。そんなんじゃ新幹線乗れないし」
「・・・・・・」
「っていうかぁ」
五条さんは言った。
「お泊まりしちゃおっか?」
私は弾かれたように顔を上げた。
「え?」
間が抜けた声が出た。
「って、どうして同じ部屋なんですか!?」
一泊するべく、私と五条さんはハーバーランドにあるホテルにやって来た。
てっきり各自別々の部屋なのかと思ったら、同じひとつの部屋だったのだ。
動揺する私に対して、五条さんはというと、
「だって、ひと部屋しか空いてないっていわれたからさぁ」
と、あっけらかんとしている。
「何か問題でも?僕らかつてはひとつ屋根の下で一緒に暮らしてたワケだし」
「・・・ですけど、それとこれとは別のような。それにこんな高級ホテルじゃなくても」
「いいじゃん、せっかく神戸で一泊するんだからさぁ、どうせなら良いホテルに泊まりたいじゃない。ほら、コレ見てよ!」
と、五条さんは勢いよく窓のカーテンを開けた。
するとそこには、美しい神戸の夜景が広がっていた。
雨霧の中にポートタワーの赤い光と観覧車のイルミネーションが輝き、その光が海に反映して揺らめいている。
思わず目を奪われて、吸い込まれるように窓辺に張り付いた。
「わぁ!すごくキレイ・・・!」
「ね、この夜景のためだけでもこの部屋泊まる価値あるでしょ?」
「ホントですね!」
と、私はすっかり舞い上がってしまっていた。
「それじゃあシャワー浴びておいでよ。夏とはいえ、濡れたままだと風邪ひくよ」
と、五条さんが言った。
その言葉でハッと私は現実に戻った。
(ダメだ!私ってなんでこうチョロいの!?こんなのだから田舎者ってバカにされるのよーっ)
でも、もし私が他のホテルに行くって言ったら、五条さんのことだから自分が行くって言い出しかねないし・・・そうなったらそれも申し訳ない。
(でも、大丈夫なのかな)
と、私は内心警戒しながら、五条さんのチラッと様子を窺った。
五条さんは上着も脱いで目隠しを外しサングラスをかけて、すっかりリラックスモードだ。
「夕飯まだだったから、ルームサービス頼む?中華街で爆食いしたからお腹減ってない?」
と、のほほんとしている。
変な下心があるとは思えない。
(大丈夫・・・だよね)
なので、私はシャワーを浴びてくることにした。
(・・・って、大丈夫じゃない!!)
シャワーを浴びていたら、あることに気づいて私は再び動揺していた。
(ベッド・・・ひとつだけじゃなかった?)
そう、部屋のベッドはセミダブルサイズのものが一台だけなのだ。
(ど、どうしよう・・・)
やっぱり今からでも別のホテルに行く?
(どうしてこんなことになっちゃったんだろう)
・・・って、私のせいだよね。
こんなことに五条さんを巻き込んでしまって。
(ほんとに私、一体何してるんだろう)
『あけづる』を創るどころか、反転術式までできなくなってしまって。
結局、お父さんを説得出来なくて。
五条さんにも迷惑ばかりかけて。
「・・・・・・」
私はキュッとシャワーを止めた。
顔を見合わせると、五条さんはふっと微笑んだ。
傘を差していないのに、不思議と雨に濡れていない。
そして、すぐに気づいた。
「そっか。無下限のバリア・・・」
「そっ。便利でしょ?とはいえ、ひと足遅かったかな。和紗、濡れちゃったね」
「・・・どうして」
「どうしてもこうもないでしょ。すぐ戻るって言ったのに戻らないし、突然先に帰れって言うし。そりゃ心配で探すでしょ」
「・・・すみません」
申し訳なさすぎて合わせる顔がなく、私は深く俯いた。
「新幹線のチケット、無駄にしちゃって・・・」
「そんなことは別にいいよ。それよりびしょ濡れの和紗をどうにかしないとね。そんなんじゃ新幹線乗れないし」
「・・・・・・」
「っていうかぁ」
五条さんは言った。
「お泊まりしちゃおっか?」
私は弾かれたように顔を上げた。
「え?」
間が抜けた声が出た。
「って、どうして同じ部屋なんですか!?」
一泊するべく、私と五条さんはハーバーランドにあるホテルにやって来た。
てっきり各自別々の部屋なのかと思ったら、同じひとつの部屋だったのだ。
動揺する私に対して、五条さんはというと、
「だって、ひと部屋しか空いてないっていわれたからさぁ」
と、あっけらかんとしている。
「何か問題でも?僕らかつてはひとつ屋根の下で一緒に暮らしてたワケだし」
「・・・ですけど、それとこれとは別のような。それにこんな高級ホテルじゃなくても」
「いいじゃん、せっかく神戸で一泊するんだからさぁ、どうせなら良いホテルに泊まりたいじゃない。ほら、コレ見てよ!」
と、五条さんは勢いよく窓のカーテンを開けた。
するとそこには、美しい神戸の夜景が広がっていた。
雨霧の中にポートタワーの赤い光と観覧車のイルミネーションが輝き、その光が海に反映して揺らめいている。
思わず目を奪われて、吸い込まれるように窓辺に張り付いた。
「わぁ!すごくキレイ・・・!」
「ね、この夜景のためだけでもこの部屋泊まる価値あるでしょ?」
「ホントですね!」
と、私はすっかり舞い上がってしまっていた。
「それじゃあシャワー浴びておいでよ。夏とはいえ、濡れたままだと風邪ひくよ」
と、五条さんが言った。
その言葉でハッと私は現実に戻った。
(ダメだ!私ってなんでこうチョロいの!?こんなのだから田舎者ってバカにされるのよーっ)
でも、もし私が他のホテルに行くって言ったら、五条さんのことだから自分が行くって言い出しかねないし・・・そうなったらそれも申し訳ない。
(でも、大丈夫なのかな)
と、私は内心警戒しながら、五条さんのチラッと様子を窺った。
五条さんは上着も脱いで目隠しを外しサングラスをかけて、すっかりリラックスモードだ。
「夕飯まだだったから、ルームサービス頼む?中華街で爆食いしたからお腹減ってない?」
と、のほほんとしている。
変な下心があるとは思えない。
(大丈夫・・・だよね)
なので、私はシャワーを浴びてくることにした。
(・・・って、大丈夫じゃない!!)
シャワーを浴びていたら、あることに気づいて私は再び動揺していた。
(ベッド・・・ひとつだけじゃなかった?)
そう、部屋のベッドはセミダブルサイズのものが一台だけなのだ。
(ど、どうしよう・・・)
やっぱり今からでも別のホテルに行く?
(どうしてこんなことになっちゃったんだろう)
・・・って、私のせいだよね。
こんなことに五条さんを巻き込んでしまって。
(ほんとに私、一体何してるんだろう)
『あけづる』を創るどころか、反転術式までできなくなってしまって。
結局、お父さんを説得出来なくて。
五条さんにも迷惑ばかりかけて。
「・・・・・・」
私はキュッとシャワーを止めた。