第19話 まぼろしの家族
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私がクスリともしないので、五条さんは困ったように頭を掻いた後、
「ま、思い詰めて焦ってもしょうがないよ。和紗はこれまで通り、学校にも通って呪術修行を続ける。糠田が森のことは心配しなくていいから」
「・・・・・・」
でも、私がこのまま『明埜乃舞降鶴乃御砡』を創ることが出来なかったら?
今この段階で押さえ込まなければ、あの女型呪霊がこれから先強大化していって、いずれ五条さんでさえ手に負えない存在になってしまうのでは?
不安が募って、どんどん膨らんでいく。
「・・・・・・」
その時、お父さんからお店の住所を教えてもらったことを思い出した。
私はスマホを手に取り、連絡先を確認した。
(神戸・・・)
今からでも日帰りで行けるはず。
「五条さん、報告ありがとうございました」
私は言った。
「私、出掛けるのでこれで・・・」
「どこ行くの?」
「え・・・」
問われて言葉に詰まる。
なんとなく、行き先を五条さんに知られるのは憚られた。
「バ、バイトです。あ、急がなくちゃ!さ、五条さんも出てって下さいよ!」
と、ウソをついて私はそそくさと出掛ける準備を始めた。
この時、私は『例のクセ』が出ていたのだけれど、
「・・・・・・」
それを五条さんがしっかり見ていることに、私は気づいていなかった。
東京駅。
ここに来るのは、この夏だけでも3回目だ。
(1回目は現地実習でしょ。2回目は帰省の時で、そして今回は・・・)
お父さんに会うために、神戸へ向かう。
『明埜乃舞降鶴乃御砡』のことを教えてもらうために。
そして、糠田が森にへ戻ることを説得するためにーーー。
「・・・・・・」
説得できるか自信はない。
でも、あの女型呪霊・・・糠田が森の土地の呪いを抑制出来るのは、現在、お父さんしかいないのだ。
私は意を決して、新幹線のホームへ向かった。
その時だった。
「東海道線に乗るの?行き先はどこなのかなー?」
と、いつのまにか隣りにいた五条さんが言った。
私は驚きで身を仰け反らせる。
「ご、五条さん!?」
「大阪?もしかしてまた京都?またデートする?以前は行けなかった甘味処も行こうよ」
「ど、どうして」
「つけてきたの。だって、和紗ウソついてたし。ウソつく時の例のクセ出てたよ〜。ムーって唇を突き出すク・セ♪」
と、五条さんは人差し指を私の唇の近くに突き立てた。
私はカーッと顔を赤らめて、
「だ、だからってつけてくる必要ないじゃないですか」
と、五条さんの指先を手で払った。
「だって、ほっとくわけにはいかないよ」
五条さんは手を引っ込めつつ言った。
「和紗、さっきからずっと思い詰めた顔してるし」
「・・・・・・」
「ね、何処行くつもりなの」
どうして、この人はいつも私のことを見透かしてしまうんだろうか。
『六眼』は、人の考えも見通せるのかな。
「・・・神戸」
半ば降参するような思いで、私は打ち明けた。
「お父さんの店があるんです。だから・・・」
それだけ言うと、五条さんは私がこれから何をしようとしているのかを察したようだった。そして、
「やっぱり、僕も一緒に行かないとね」
と言った。
(・・・お父さんを説得するのは私がしなくちゃいけないのに)
だけど、五条さんが一緒に居てくれると思うと心強く感じる。
でも、そんな風にすぐ五条さんに頼ってしまう自分が情け無い。
ホッとするやら情け無いやら、複雑な表情で私は五条さんの顔を見上げた。
すると五条さんはヘラッと笑って、
「だって、お父さんにはちゃんと挨拶しとかないとね〜。僕が将来の『つるぎ庵』のお婿さんですって」
と言った。
「・・・・・・」
私は無言でスタスタとホームに向かって歩き出した。
「あれ、和紗?」
「・・・・・・」
「ちょっと待ってよー。僕、駅弁買いたいからさー」
「・・・ご勝手にどうぞ!」
「ま、思い詰めて焦ってもしょうがないよ。和紗はこれまで通り、学校にも通って呪術修行を続ける。糠田が森のことは心配しなくていいから」
「・・・・・・」
でも、私がこのまま『明埜乃舞降鶴乃御砡』を創ることが出来なかったら?
今この段階で押さえ込まなければ、あの女型呪霊がこれから先強大化していって、いずれ五条さんでさえ手に負えない存在になってしまうのでは?
不安が募って、どんどん膨らんでいく。
「・・・・・・」
その時、お父さんからお店の住所を教えてもらったことを思い出した。
私はスマホを手に取り、連絡先を確認した。
(神戸・・・)
今からでも日帰りで行けるはず。
「五条さん、報告ありがとうございました」
私は言った。
「私、出掛けるのでこれで・・・」
「どこ行くの?」
「え・・・」
問われて言葉に詰まる。
なんとなく、行き先を五条さんに知られるのは憚られた。
「バ、バイトです。あ、急がなくちゃ!さ、五条さんも出てって下さいよ!」
と、ウソをついて私はそそくさと出掛ける準備を始めた。
この時、私は『例のクセ』が出ていたのだけれど、
「・・・・・・」
それを五条さんがしっかり見ていることに、私は気づいていなかった。
東京駅。
ここに来るのは、この夏だけでも3回目だ。
(1回目は現地実習でしょ。2回目は帰省の時で、そして今回は・・・)
お父さんに会うために、神戸へ向かう。
『明埜乃舞降鶴乃御砡』のことを教えてもらうために。
そして、糠田が森にへ戻ることを説得するためにーーー。
「・・・・・・」
説得できるか自信はない。
でも、あの女型呪霊・・・糠田が森の土地の呪いを抑制出来るのは、現在、お父さんしかいないのだ。
私は意を決して、新幹線のホームへ向かった。
その時だった。
「東海道線に乗るの?行き先はどこなのかなー?」
と、いつのまにか隣りにいた五条さんが言った。
私は驚きで身を仰け反らせる。
「ご、五条さん!?」
「大阪?もしかしてまた京都?またデートする?以前は行けなかった甘味処も行こうよ」
「ど、どうして」
「つけてきたの。だって、和紗ウソついてたし。ウソつく時の例のクセ出てたよ〜。ムーって唇を突き出すク・セ♪」
と、五条さんは人差し指を私の唇の近くに突き立てた。
私はカーッと顔を赤らめて、
「だ、だからってつけてくる必要ないじゃないですか」
と、五条さんの指先を手で払った。
「だって、ほっとくわけにはいかないよ」
五条さんは手を引っ込めつつ言った。
「和紗、さっきからずっと思い詰めた顔してるし」
「・・・・・・」
「ね、何処行くつもりなの」
どうして、この人はいつも私のことを見透かしてしまうんだろうか。
『六眼』は、人の考えも見通せるのかな。
「・・・神戸」
半ば降参するような思いで、私は打ち明けた。
「お父さんの店があるんです。だから・・・」
それだけ言うと、五条さんは私がこれから何をしようとしているのかを察したようだった。そして、
「やっぱり、僕も一緒に行かないとね」
と言った。
(・・・お父さんを説得するのは私がしなくちゃいけないのに)
だけど、五条さんが一緒に居てくれると思うと心強く感じる。
でも、そんな風にすぐ五条さんに頼ってしまう自分が情け無い。
ホッとするやら情け無いやら、複雑な表情で私は五条さんの顔を見上げた。
すると五条さんはヘラッと笑って、
「だって、お父さんにはちゃんと挨拶しとかないとね〜。僕が将来の『つるぎ庵』のお婿さんですって」
と言った。
「・・・・・・」
私は無言でスタスタとホームに向かって歩き出した。
「あれ、和紗?」
「・・・・・・」
「ちょっと待ってよー。僕、駅弁買いたいからさー」
「・・・ご勝手にどうぞ!」